2025年10月26日に投開票された宮城県知事選挙で、現職の村井嘉浩氏(無所属、65歳)が6選を果たしました。一方、対抗馬として立候補した自民党元参議院議員の和田政宗氏(51歳、無所属)は、参政党との政策連携のもとで戦いましたが、32万4375票(得票率約48%)で惜敗。村井氏との差はわずか1万5815票と接戦となりました。特に仙台市内では和田氏が3万6000票以上上回る善戦を見せ、若年層や都市部の支持を集めました。
選挙後、10月27日、自民党宮城県連は和田氏に対する党処分の検討を正式に開始しました。理由は、和田氏が自民党の党籍を保持したまま、他党(参政党)と政策覚書を結び、連携して出馬した点にあります。県連会長の小野寺五典氏(税制調査会長)は記者団に対し、「本来であれば自ら党を去るのが筋」と厳しい姿勢を示しました。この動きは、選挙直後の県連会合で複数の自民県議から問題視されたことがきっかけです。
和田氏は自民党所属の元参議院議員(2019年当選、宮城県選挙区)で、保守派として知られ、YouTubeチャンネル「和田政宗の本音でGO!」などで積極的に発信しています。主な政策は、出産・育児費用の完全無償化、土葬墓地の推進、水道事業の再公営化、移民政策の見直し、再エネ依存の抑制など、保守層に響く内容です。これらは、参政党の神谷宗幣代表が強く主張するテーマと重なる部分が多く、両者の親和性が高いのが連携の背景です。
参政党は2025年7月の参院選で躍進した新興政党で、独自候補擁立を検討していましたが、9月19日に断念。代わりに和田氏と「政策覚書」を締結し、組織的な支援(街頭演説やSNS拡散)を行いました。神谷代表は選挙期間中、仙台で複数回の応援演説を実施し、「参政党の候補者以上に本気で応援する」と強調。結果、和田氏は自民党県連の支援を受けない「対抗馬」として位置づけられ、保守分裂の構図を生みました。
一方、村井氏は自民党県議団の支援、公明党の支持、県町村会の推薦を背景に、半導体誘致やデジタル活用による経済・人口対策をアピール。長期政権(5期20年)の実績を武器に、地方・高齢層の支持を固めました。選挙戦ではSNS上でデマや中傷が飛び交い(例: 村井氏の「移民推進」疑惑)、参政党支持層の熱狂が目立ちましたが、和田氏の党籍保持が自民党内での反発を招きました。
自民党は党員の他党連携を厳しく禁じており、過去に類似事例(例: 無許可の他党支援)で離党勧告や除名処分が下されています。和田氏の場合、党籍を残したままの出馬が「党の規律違反」と見なされ、宮城県連の判断は党本部(総裁の高市早苗氏)への報告を経て決定される可能性が高いです。県連幹部の発言から、和田氏の「自発的な離党」を促すニュアンスですが、応じなければ正式処分(離党勧告や党員資格停止)が避けられないでしょう。この一件は、自民党内の保守派分裂を象徴し、参政党のような新興勢力の台頭を党が警戒する材料となります。
全体として、この事件は自民党の内部分裂と新興政党の台頭を象徴するもので、2025年後半の政治地図を塗り替えるきっかけになるでしょう。和田氏の動向が鍵で、保守陣営の再編が進む可能性が高いです。