2025年12月4日、山形県警は窃盗容疑でベトナム国籍のファム・タン・トゥン容疑者(36)=大阪府大阪市在住・無職=を逮捕しました。この事件は、今年3月に山形銀行を装ったボイスフィッシング(自動音声電話による詐欺)で県内複数企業が被害に遭った不正送金事件に関連し、容疑者は「出し子」(被害金を引き出す役割)とみられています。特に、第三セクターの山形鉄道(フラワー長井線運営)が約1億円超の被害を被った点で注目を集めています。以下では、事件の背景と分析、今後の影響を解説します。情報は警察発表と報道に基づきます。
事件の経緯と手口:
事件は2025年3月10日前後に発生。犯行グループは、山形銀行の法人向けインターネットバンキング「やまぎんEB」を装い、県内企業に自動音声電話をかけつけました。電話では「セキュリティ設定が必要です」「お客様情報が更新されていません」「このままでは口座が制限されます」といった不安を煽るメッセージを流し、受信者が番号を押すと「ネットバンクのサポート」を名乗る人物につながります。 ここで、メールやSMSで偽のURLを送り、企業担当者をフィッシングサイトへ誘導。ID・パスワード、ワンタイムパスワード、認証情報を入力させることで、不正アクセスを許し、ネットバンキングから現金を振り出させました。 振り出された資金は、他人名義のキャッシュカードを使ってATMで引き出される流れです。
ファム容疑者は、この引き出し役として、2025年10月16日以降に大阪府内のATMで4回にわたり合計約350万円を引き出した疑いが持たれています。防犯カメラの映像や送金記録から特定され、12月4日に逮捕。 この350万円は山形鉄道の被害金とは直接関連しないものの、同一グループの犯行とみられています。容疑者の認否は公表されていませんが、警察は「複数人が関わる組織的な犯行」と位置づけ、共犯者の追及を進めています。
被害の規模と特徴:
この事件の分析として、ボイスフィッシングの「ばらまき型」手口が特徴的です。国際電話(例: 1830…)を使い、企業を一斉に狙うことで成功率を上げ、応対した相手だけを深追い。 外国人(ベトナム国籍)の関与が目立つのは、グループの国際性(海外サーバー使用や多言語対応)を示唆しますが、日本国内の企業セキュリティの甘さ(認証情報の共有ミス)が根本原因。2025年の特殊詐欺被害総額は前年比増加傾向で、法人向けが急増中です。
この逮捕は事件の端緒に過ぎず、グループの全容解明が鍵となります。以下に主な影響をまとめます。
この事件は、デジタル化の影で増すサイバー詐欺の脅威を象徴。企業は「知らないリンクは押さない」「銀行から直接確認」を徹底し、警察の呼びかけに応じることが重要です。詳細は山形県警や金融庁の公式サイトで確認を。