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韓国芸能界の薬物問題の歴史(1990年代〜2025年現在)

韓国芸能界の薬物問題の歴史(1990年代〜2025年現在)

韓国芸能界は世界で最も華やかかつ過酷なエンターテインメント産業の一つであり、同時に薬物スキャンダルが最も頻発する業界でもあります。以下、時代ごとに整理しました。

時期主な事件・人物薬物の種類社会・業界への影響
1990年代後半パク・ヨンハ(2000年)、ユン・ジホ(1998年)など若手俳優の覚醒剤事件覚醒剤(ヒロポン)まだ「薬物=犯罪者」のイメージが強く、事実上の追放が多かった
2000〜2009年故チャン・ジャヨン事件(2009年、薬物+性接待強要)
ジュエリーのキム・ウンジョン(2009年)
クラウンJ(2008年)
大麻、覚醒剤、コカイン2009年がピーク。芸能人の薬物逮捕が年間20人を超える。兵役逃れのための意図的薬物使用も発覚
2010〜2013年パク・ボム(2NE1、2010・2014年)→覚醒剤密輸疑惑(後に不起訴)
パク・シフ(2013年)
T.O.P(BIGBANG、2017年だが2016年使用)
ジュヨン(元Highlight、2013年)
大麻、覚醒剤、LSD「兵役逃れ薬物使用」が社会問題化。2011年に芸能人兵役特例制度が廃止される大きな要因に
2014〜2018年勝利(BIGBANG)バーニングサン事件(2019年発覚、2015-16年使用)
パク・ユチョン(JYJ、2019年)
ロバート・ハリー(2017年
B.I(iKON、2019年 LSD・大麻)
大麻、コカイン、エクスタシー、GHBバーニングサン事件で芸能界・警察・財閥の癒着が暴かれ、韓国史上最大級のスキャンダルに
2019〜2021年G-DRAGON(2011年大麻、2023年再捜査)
イ・スンギの恋人イ・ダインの兄(2020年)
故ク・ハラの元恋人チェ・ジョンボム(薬物+リベンジポルノ)
大麻、コカインコロナ禍でクラブが閉鎖されたため、一時的に薬物事件が減少。しかし2021年から再び急増
2022〜2025年ユ・アイン(2023年、プロポフォール・大麻・ケタミン・コカイン・ゾルピデムなど6種)
イ・ソンギュン(2023年10月死去、大麻・ケタミンなど)
クォン・ジヨン(G-DRAGON、2023年再捜査→不起訴)
ドン・ヨンベ(2024年)
PSY(2025年現在、向精神薬の代理処方・代理受領)
プロポフォール(牛乳注射)、向精神薬、大麻、コカイン2023年が史上最悪の年。プロポフォール中毒が社会問題化。2024-2025年は「合法薬物の不正使用」(睡眠薬・抗不安薬)が急増
2025年現在PSY(向精神薬代理受領)
俳優イ・ビョンホン弟イ・ジホン(2025年4月逮捕)
NCT テイル(2025年6月、ゾルピデム不正使用疑惑)
スティルノックス、ザナックスなど向精神性睡眠・抗不安薬「違法薬物」から「処方薬の不正使用」へと主流が移行。芸能人の睡眠障害・精神疾患が深刻化

韓国芸能界薬物問題の特徴とくに深刻な3つの構造的理由

  1. 世界一過酷な労働環境
  • 年間300日以上スケジュールが入るアイドルも普通
  • 睡眠時間平均3〜4時間 → 睡眠薬・覚醒剤の依存が起きやすい
  • 2023年調査ではK-POPアイドルの約38%が睡眠薬を常用しているとの報告(韓国精神医学会)
  1. 極端な「イメージ管理」と「完璧主義」
  • ちょっとしたスキャンダルで即活動中止・契約解除
  • だからこそ「バレない薬」(プロポフォール、睡眠薬、向精神薬)が選ばれる
  1. 警察・検察の「芸能人狩り」体質
  • 国民の怒りのガス抜きとして、芸能人がターゲットになりやすい
  • 2023年のイ・ソンギュン事件では、警察の過剰捜査・情報漏洩が死に追い込んだとして大バッシング

最近10年のトレンド変化

| 2010年代前半 | → 2010年代後半〜2020年代 → 2025年現在 |
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| 主な薬物:大麻・覚醒剤 | → プロポフォール(牛乳注射) | → 合法向精神薬(スティルノックス、ザナックスなど)の不正取得・代理受領 |
| 入手ルート:クラブ・海外 | → 美容クリニック・整形外科 | → 大学病院の有名教授による「VIP処方」 |
| 典型事例:T.O.P、勝利 | → ユ・アイン、イ・ソンギュン | → PSY(2025年)、NCTメンバーなど |

まとめ

韓国芸能界の薬物問題は、単なる「個人のモラル欠如」ではなく、
「世界一過酷な労働環境」+「極端な完璧主義」+「社会の八つ当たり構造」
が複雑に絡み合った、構造的な病巣です。

PSYの2025年事件は、まさにその最新形態——「違法薬物ではなく、合法薬物の不正使用」という、新たなステージに入ったことを象徴しています。

katchan17