グリーンランドのレアアース(希土類元素、REE)資源は、世界的に注目される未開発の巨大ポテンシャルを有していますが、2026年1月現在、商業生産はゼロです。主な理由は厳しい北極気候、インフラ不足、環境・ウラン規制、地元反対などです。
全体の埋蔵量・推定資源(2025-2026年最新推定)
- 確認埋蔵量(経済的に採掘可能なもの):約1.5百万トン(REO換算)。世界ランキングで8位(USGS Mineral Commodity Summaries 2025に基づく)。
- 中国(44百万トン)の約3.4%、ブラジル(21百万トン)の約7%程度。
- 米国(1.9百万トン)よりやや少なく、カナダ(約0.83百万トン)や南アフリカを上回る。
- 総資源量(推定含む、探査でさらに増加可能性):一部推定で36-42百万トン以上(一部の地質調査で、中国に次ぐ第2位級の可能性)。ただし、これは「潜在資源」で、確認埋蔵量は1.5百万トンに留まる。
- 重希土類(HREE)の割合:特にディスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)が豊富で、将来のEV磁石・風力発電・軍事用途で高価値。TanbreezではHREEが27%超と、世界平均(5-10%)を大きく上回る。
主な鉱床詳細(南部グリーンランドに集中)
グリーンランドのREE資源の大部分は、南部のGardar地域(Ilimaussaq複合体など)にあり、以下の2大プロジェクトが中心です。
- Kvanefjeld(Kuannersuit)プロジェクト
- 世界第3位級の陸上REE鉱床。
- 総資源量:約11百万トン(REO換算)、うち重希土類37万トン。
- 鉱石グレード:1.43% TREO(高品位で経済性が高い)。
- ウラン含有量が高い(約250-350 ppm)ため、2021年のグリーンランド議会によるウラン含有100 ppm超の鉱山禁止法で開発凍結。
- 運営企業:Energy Transition Minerals(旧Greenland Minerals、中国のShenghe Resourcesが大株主)。
- 現状:法的紛争中(仲裁却下後も訴訟継続)。生産見込みなし。
- Tanbreezプロジェクト
- 世界最大級のREE鉱床とされる(推定28.2百万トン REO)。
- 重希土類割合:27%超(特に価値が高い)。
- 鉱石グレード:0.38%(低いが、量でカバー)。
- 運営企業:Critical Metals Corp(米系、2025年に買収・進展中)。
- 最新状況(2026年1月):探査・パイロットプラント建設中。US EXIM Bankから1.2億ドルの融資興味表明。2027-2028年生産開始目標。サウジとの精錬JVも検討。ウランフリーで規制クリア。
- モジュラー方式で早期生産を目指し、米国・欧州向け供給契約済み(75%超)。
価値・比較分析(中国との対比)
- 中国:埋蔵量44百万トン、生産量世界の60-70%(2024年約27万トン)。加工も独占。輸出制限で西側依存が問題化。
- グリーンランド:埋蔵量は中国の約3-4%(確認ベース)だが、重希土類の割合が高い点で戦略的価値大。中国依存脱却の「代替供給源」として米国・EUが注目。
- 潜在的影響:Tanbreezがフル稼働すれば年間数万トン供給可能(世界需要の数%)。Kvanefjeld解禁ならさらに倍増。気候変動による氷解でアクセス向上中だが、環境負荷・地元反対が障壁。
- 経済価値:レアアース市場規模は数百億ドル規模。重希土類1トン価格は数万-数十万ドル。グリーンランド全体の潜在価値は数兆ドル級とされるが、採掘コスト(インフラ・輸送)が極めて高く、現実的には「数十年単位の投資」。
まとめと現状の壁
- グリーンランドは中国依存を減らす西側最重要の未開発REE源だが、2026年現在生産ゼロ。
- Tanbreezが進展中(米主導)で、Kvanefjeldはウラン規制で停滞。
- トランプ政権の買収圧力は、この資源支配を狙った側面が強いが、地元住民(約5.7万人)の反対・独立志向、環境法、NATO同盟関係で実現は困難。
- 将来的に気候変動でアクセス改善すれば、世界供給構造を変える可能性大。ただし、採掘開始まで最低5-10年はかかる見込み。
最新情報は変動しやすいため、USGSやCritical Metals Corpの公式発表を追うことをおすすめします。
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