フローレンスの医療的ケア児支援の詳細
認定NPO法人フローレンスは、医療的ケア児(日常的にたんの吸引、経管栄養、人工呼吸器などの医療的ケアが必要な子ども)とその家族の支援を主要事業の一つとしており、2014年から本格的に取り組んでいます。医療技術の進歩により生存率が向上した一方で、預け先不足や家族の負担が深刻化する中、フローレンスは現場でのサービス提供と政策提言を並行して推進。2025年現在、のべ406名以上の医療的ケア児・障害児を支援しています(2025年3月末時点)。
背景と目的
- 課題認識: 医療的ケア児の預け先が極端に少なく、親(特に母親)の就労継続が難しく、孤立や経済的負担が生じやすい。
- フローレンスの役割: 「障害の有無に関わらず、すべての子どもが保育を受けられ、保護者が子育てと仕事を両立できる社会」を目指す。レスパイトケア(家族の休息支援)と子どもの発達支援を重視。
- 政策貢献: 2015年に事務局を務める「全国医療的ケア児者支援協議会」を設立。提言活動により、2021年6月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)」が成立。国・自治体の支援責務を明文化し、公立保育園での受け入れ促進の基盤を築きました。
主なサービス(3つの柱)
フローレンスは、子どもの状態や家族のニーズに合わせた柔軟な支援を提供。主に東京都内を中心に展開(一部仙台・横浜・川崎など)。
- 障害児保育園ヘレン(2014年開始、日本初の障害児専門長時間保育園)
- 内容: 重度障害児・医療的ケア児を対象に、看護師・リハビリスタッフ・保育スタッフのチームで長時間預かり。遊び、療育、医療的ケアを一体提供。
- 対象: 主に未就学児(1歳前後〜)。自治体の保育認定が必要(就労・疾病等)。
- 園舎: ヘレン荻窪(杉並区)、ヘレン経堂(世田谷区)、ヘレン東雲(江東区)、ヘレン中村橋(練馬区)など。
- 特徴: 集団保育で社会性育成。感染リスクを考慮した安全管理。
- 障害児訪問保育アニー(2015年開始)
- 内容: 保育スタッフが自宅に訪問し、マンツーマンで保育・療育。最大8時間預かり。
- 対象: 未就学児。外出が難しい医療的ケア児向け。自治体の保育認定が必要。
- 特徴: 自宅環境で安心。感染予防に適した訪問型。
- 医療的ケアシッター ナンシー(2019年開始、看護師訪問型)
- 内容: 小児科経験豊富な看護師が自宅訪問。たんの吸引、経管栄養、人工呼吸器管理などの医療的ケアに加え、遊び・学び・発達支援、通学支援を提供。レスパイトケアとしても利用可能。
- 対象: 0歳〜18歳(就労認定不要の場合あり)。シッター形式で柔軟。
- エリア: 東京23区、横浜・川崎一部、仙台など拡大中。
- 特徴: 保育以外(休日・夜間・短期集中)のニーズ対応。家族の自由時間確保。
これらサービスは相互連携可能で、ヘレン・アニー・ナンシー全体で2025年3月までにのべ406名の子どもを支援。
その他の取り組み
- 研修事業: 医療的ケア児支援法施行後、一般保育園の受け入れが増加。フローレンスはノウハウ提供として、2024年11月からオンライン研修「フローレンスの『医療的ケア児保育』はじめて研修」を開始(動画+ヘレン現場体験)。2025年8月時点で15都道府県から151名受講。2025年9月には保育現場支援者向けオンラインコミュニティ「医療的ケア児保育まなびば」をオープン。
- インクルーシブ・テック推進: 視線入力デバイスなどで医療的ケア児の自己表現(絵描き・ゲーム)を支援。
- 地域展開: 渋谷区など自治体と連携した受け入れサポート、仙台でのキャンペーンなど。
フローレンスの医療的ケア児支援は、個別支援から制度改革、全国普及までをカバー。利用相談は公式サイト(https://florence.or.jp/)や専用ページから可能で、寄付による低所得家庭支援も行っています。最新情報は公式発表を確認してください。
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