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フィンランドはつり目問題で国内の政局を優先させている?

フィンランドの「つり目問題」(2025年12月頃に発生したアジア人差別とされるジェスチャーに関する騒動)について、政府が意図的に国内政局を優先させて対応を遅らせたり軽視したりしているわけではないようです。むしろ、騒動の中心が連立与党内の右派政党(フィンランド人党、Finns Party)にあるため、政局への影響を考慮しつつ迅速に批判・謝罪対応を取っている状況です。

騒動の概要

  • 発端:2025年のミス・フィンランド(Sarah Dzafce氏)が、SNSで目尻を引っ張る「つり目」ポーズの写真を投稿(キャプションに「中国人と食事中」など)。これがアジア人差別として国際的に批判され、称号剥奪。
  • 拡大:連立与党のフィンランド人党所属の国会議員ら(Juho Eerola氏ら3人)が、ミス女性を擁護する形で同様のポーズ写真を投稿。これがさらに炎上。
  • 背景:フィンランド人党は反移民・ポピュリスト政党で、過去にも人種差別的発言が問題化。連立政権(ペッテリ・オルポ首相率いる4党連合)の一角を占めるため、党内・連立内の緊張を生んでいる。

政府・首相の対応

  • オルポ首相:投稿を「軽率で愚か」「国に損害を与えている」と強く批判。議員の処分を所属政党に委ねつつ、連立与党会派代表らが処分検討。
  • 謝罪:12月17日頃、日本・中国・韓国向けに大使館SNSで正式謝罪。「侮辱的な投稿に心からおわび」「人種差別はフィンランドの価値観に反する」「政府は人種差別と闘う」と声明。
  • その他:教育相らが「幼稚で無責任」と非難。在日フィンランド大使館も「人種差別と闘う」と声明。

政局優先の側面?

  • フィンランド人党の議員投稿は、党のコア支持層(反移民・反「WOKE」層)へのアピールと見る分析あり(例: 反人種差別指針への抵抗メッセージ)。
  • しかし、政府全体としては国際イメージ悪化(観光ボイコット呼びかけ、フィンエアー影響など)を懸念し、迅速に火消し。連立維持のため厳罰を避けつつ批判・謝罪でバランスを取っている形。
  • 過去(2023年政権発足時)も同党閣僚の人種差別発言で不信任投票があったが、連立は維持されており、今回も政権危機レベルの崩壊には至っていない。

つまり、国内政局(連立安定)を完全に無視しているわけではなく考慮はしているものの、国際非難の高まりを受けて謝罪・批判を優先していると言えます。北欧の「人権先進国」イメージを守るための対応が目立ちます。

katchan17