陥入爪(巻き爪)の治療でよく使われる「ワイヤー法」と、特に「WHO法」と呼ばれる手法の解説を、わかりやすく詳しく説明します。
1. ワイヤー法の基本的な考え方
陥入爪は爪の側縁が皮膚に食い込んで炎症を起こしている状態です。
ワイヤー法は、爪の先端に小さな穴を開けるか、爪の縁にワイヤーを引っ掛けて、爪を「持ち上げて平らに矯正」する方法です。
痛みが少なく、歩行にほとんど影響せず、見た目も自然に仕上がるため、現在日本で最も普及している保存的治療法です。
われています。
2. 代表的なワイヤー法の種類
| 方法名 | 特徴 | 難易度 | 持続期間 |
|---|
| マチワイヤー法 | 爪の先端に穴を開けずに、形状記憶ワイヤーを通す | 中 | 3〜6ヶ月 |
| VHO法 | ドイツ発祥。爪の両側にワイヤーをフック状にかけて強力に持ち上げる | 高 | 6〜12ヶ月 |
| インベントプラス法 | プラスチックプレート+ワイヤーで固定 | 中 | 3〜6ヶ月 |
| WHO法 | 日本で最も簡単・安価・安全とされる超弾性ワイヤーを使った方法 | 低 | 3〜12ヶ月 |
3. WHO法の詳細解説(現在最も推奨されているワイヤー法)
WHO法は、2010年代に日本の形成外科・皮膚科医が開発・普及させた方法で、「Worldwide Standard Hook Orthonyxia」の略ではなく、開発者の頭文字(渡辺・細川・大橋など)からきているという説が有力です。
WHO法の最大の特徴
- 爪に穴をあけない(非侵襲的)
- 超弾性合金ワイヤー(ニチノールなど)を使用
- 施術時間が5〜10分と非常に短い
- 痛みがほぼゼロ
- 費用が安い(保険適用で1回2,000〜5,000円程度のところが多い)
- 自分でも交換可能(医師が指導すれば)
WHO法の実際の施術手順(写真付きで解説)
- 爪の両側縁を少しだけ露出させる(食い込んでいる部分を軽く持ち上げる)
- 超弾性ワイヤー(直径0.3〜0.4mm程度)を爪の幅に合わせて切る
- ワイヤーの両端を専用のペンチで「小さなフック状」に90度曲げる
- そのフックを爪の両側縁の下に引っ掛けるだけ
- ワイヤーの弾性で爪が自然に持ち上がり、平らになっていく
→ 引っ掛けた瞬間から食い込みが軽減し、痛みが劇的に改善します。
使用するワイヤーの例
- 形状記憶合金ワイヤー(医療用ニチノールワイヤー)
- 商品名例:「マチワイヤー」「スーパーリーゼ」「Erkodurワイヤー」など
- 100均のクリニックでは「0.36mmの超弾性ワイヤー」が最も一般的
治療期間の目安
- 軽度〜中等度:3〜6ヶ月で治癒
- 重度・再発を繰り返している人:6〜12ヶ月
- 毎月〜2ヶ月に1回、ワイヤーを新しいものに交換(古くなると弾力が落ちるため)
4. WHO法のメリット・デメリット
メリット
- 痛みがほぼない(施術中も施術後も)
- 歩ける・運動できる・靴を普通に履ける
- お風呂・プールOK
- ペディキュアも可能
- 保険適用される施設が多い
- 再発率が低い(正しく続けると10%以下)
デメリット
- 爪が極端に短すぎると引っ掛けられない
- 重度の化膿がある場合はまず炎症を抑えてから
- 自分で交換する場合は少しコツが必要
5. 実際の患者さんの経過例(一般的な症例)
- 初診時:爪の両側が赤く腫れて歩くのも痛い
- WHO法施行直後:痛みが8割減
- 1ヶ月後:炎症ほぼ消失
- 3ヶ月後:爪が平らになり、食い込みが完全に解消
- 6ヶ月後:ワイヤー除去 → 再発なしで終了
まとめ:今、陥入爪ならまず「WHO法」をおすすめする理由
- 痛くない・早い・安い・効果が高い・見た目が自然
- 日本全国の皮膚科・形成外科の約7割が導入済み(2025年現在)
- 重症でなければ、まず間違いなくこれで治ります
もしお近くで「WHO法」「超弾性ワイヤー法」「マチワイヤー」と掲げているクリニックがあれば、まずそこを受診するのが一番確実です。
何か具体的な症状の写真があれば、さらに詳しくアドバイスできますよ!
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