つり目問題のフィンランド　フィン人党の歴史

フィン人党（Perussuomalaiset）の歴史

フィン人党（通称：フィン人党、英語：Finns Party）は、フィンランドの右翼ポピュリスト政党で、現在は極右・反移民を強調する立場として知られています。以下にその歴史を時系列で詳述します。

前身と設立（1959〜1995年）

• 前身：フィンランド農村党（Suomen Maaseudun Puolue, SMP）
• 1959年に設立。Veikko Vennamoが中心となり、農民や地方の「忘れられた人々」を代表するポピュリスト政党として誕生。
• 1970年代にピークを迎え、議席を18まで伸ばすが、内部分裂と経済変化（都市化・工業化）で衰退。
• 1990年代初頭の不況で財政破綻し、1995年に解散。
• フィン人党の設立（1995年）
• SMPの残党（Timo Soiniら）により設立。初代党首はRaimo Vistbacka（1995〜1997年）。
• 当初は小政党で、農村ポピュリズムを継承。反エリート・反EUの色彩が強かったが、移民問題はまだ中心ではなかった。
• 英称は当初「True Finns」（真正フィンランド人）とされ、ナショナリズムを強調。

Timo Soini時代：台頭と大躍進（1997〜2017年）

• Timo Soiniの党首就任（1997年〜2017年）
• Soiniはカトリック教徒で、左派的経済政策（福祉重視）とポピュリズムを組み合わせ、党を「労働者寄りの非社会主義政党」と位置づけ。
• 2000年代は議席1〜5程度の小政党。EU批判と反移民感情を徐々に取り入れ、支持を拡大。
• 大躍進（2011年議会選挙）
• 「jytky」（大勝利）と呼ばれ、得票率19.1%、議席39（第3党）。
• EUのギリシャ救済反対と移民批判が国民の不満を吸収。Soiniのユーモアと庶民派イメージが寄与。
• 初の与党入り（2015〜2017年）
• 2015年選挙で第2党（得票率17.7%、議席38）。
• 中道右派のSipilä政権に連立参加。Soiniは外相に就任。
• しかし、厳しい緊縮政策で支持低下。党内では反移民強硬派（Jussi Halla-ahoら）が台頭。

分裂と右傾化（2017年〜）

• 2017年党首選挙と分裂
• Soini引退後、Jussi Halla-aho（反移民強硬派）が党首に選出。
• 連立パートナーが「Halla-ahoとの協力拒否」を宣言。
• Soiniら20人の議員が離党し、「青の改革」（Blue Reform）を結成（後に消滅）。
• 党は野党に転落したが、Halla-ahoの下で明確に右翼ポピュリスト・ナティビスト（土着主義）へシフト。イスラム批判や移民制限を強調。
• Halla-aho時代（2017〜2021年）
• 2019年選挙で第2党復帰（得票率17.5%、議席39）。
• Halla-aho自身は過去のヘイトスピーチ（イスラム関連）で有罪判決歴あり。党のイメージを「極右」へ固定化。
• Riikka Purra時代（2021年〜現在）
• 2021年、Purraが党首就任（Halla-ahoは燃え尽き症候群で辞任）。
• 2023年議会選挙で第2党（得票率20.1%、議席46）。オルポ政権（国民連合党主導）に連立参加。Purraは財務相に。
• 移民政策厳格化を推進する一方、2023年夏に複数の人種差別スキャンダル（Purraの過去投稿、閣僚のナチ関連発言など）が連発。政府全体の信頼を揺るがす。
• 最近（2025年）のミス・フィンランド事件関連投稿も、党議員の人種差別的行動として批判を浴びている。

イデオロギーと特徴の変遷

• 初期（Soini時代）: 農村ポピュリズム、EU懐疑、福祉ショービニズム（フィンランド人優先の福祉）。
• 現在（Halla-aho/Purra時代）: 明確な反移民・ナショナリズム。欧州のポピュリスト右翼（フランス国民連合、スウェーデン民主党など）と類似。
• 人種差別スキャンダルの歴史: 党員のヘイトスピーチ、ネオナチ関連疑惑が繰り返し発生。党は「ゼロトレランス」を宣言するが、強硬派の影響で実効性が疑問視される。

現在の位置づけ

• 2025年現在、議会第2党。与党の一角を占め、移民制限・緊縮政策を推進。
• 支持基盤: 地方・労働者層、反グローバリズム感情。
• 国際的に: 欧州保守改革グループ（ECR）に所属。極右政党として監視される一方、フィンランド政治の「正常化された一部」とも見なされる。

フィン人党は、フィンランドの右傾化と移民増加を背景に急成長しましたが、党内分裂とスキャンダルが課題です。欧州のポピュリスト右翼の典型例として、連立政権での影響力が今後も注目されます。