イランの核プログラムは、現在(2026年2月19日時点)で、2025年6月のイスラエル・米国による攻撃(12日間戦争、または「Midnight Hammer」作戦)により大幅に破壊・後退した状態にあります。攻撃前は高度に進展しており、核兵器級(90%)に近い60%濃縮ウランを大量保有し、ブレークアウトタイム(兵器級ウラン生産までの時間)が数週間レベルだったと評価されていましたが、現在は遠心分離機の稼働がほぼ停止し、再構築が進行中です。以下に詳細をまとめます。現在の全体状況(2026年2月時点)
- 主な影響:2025年6月の攻撃で主要3施設(Natanz、Fordow、Isfahan)が深刻な損傷を受け、遠心分離機の多くが破壊。IAEA(国際原子力機関)の監視も2025年後半から遮断され、正確な在庫量は不明だが、攻撃前の推定では60%濃縮ウラン約400-441kg(兵器10発分相当の理論値)が存在し、一部が瓦礫下に埋まったままか回収不能の可能性が高い。
- 再構築の動き:イランは地下施設の強化・新設を急いでおり、衛星画像で確認されている。攻撃でプログラムは数年遅延したが、科学的知識と一部のHEU(高濃縮ウラン)は残存。遠心分離機の再稼働は確認されておらず、2025年6月以降「単一の遠心分離機も回転していない」との分析あり。
- 交渉状況:米国とのジュネーブ間接交渉(2026年2月)が進行中。イランは一時的な濃縮停止(3-5年)を提案するが、ゼロ濃縮やミサイル制限を拒否。米国は「すべてのオプション」(軍事含む)をテーブルに置き、経済制裁解除を条件に濃縮放棄を要求。進展はあるが、合意は遠い。
主要施設の現状イランの核プログラムの中心はウラン濃縮で、主に以下の施設が関与。
- Natanz(ナタンズ)
イランの主要濃縮施設。攻撃で壊滅的打撃を受け、現在は修復・強化作業中。衛星画像でプライバシー覆いやトンネル入口の強化が確認。Pickaxe Mountain(ピックアックス・マウンテン)と呼ばれる近隣の深部地下施設(深さ80-100m、GBU-57耐性想定)で新遠心分離機設置の可能性が高く、再構築の最重要拠点。 - Fordow(フォルドウ)
山岳地下の耐爆施設で、高濃縮(60%)の主力拠点だった。攻撃で重大損傷。攻撃前はここで最高レベルの濃縮が行われていた。現在は稼働停止、再構築は遅れている。 - Isfahan(イスファハン)
ウラン変換・研究施設。UF₆(六フッ化ウラン)生産や金属ウラン加工の拠点。攻撃で損傷し、トンネル入口が土で封鎖・コンクリート強化中。衛星画像で新屋根や土被覆が確認され、残存HEUの保管・保護が目的と見られる。 - その他の動き
Parchin(パルチン)軍事複合施設内のTaleghan 2など、核兵器関連実験サイトの再建も進行。ロシア(Rosatom)との25億ドル規模の民間原子力協力も進むが、軍事転用懸念あり。
濃縮ウラン在庫と技術レベル(最新推定)攻撃前のIAEA報告(2025年5-6月頃):
- 60%濃縮ウラン:約408-441kg(+133kg増加傾向だった)。
- 20%濃縮:約184-274kg。
- 低濃縮(5%以下):数トン規模。
攻撃後:
- 在庫の多くが施設破壊で損耗・紛失の可能性。IAEAアクセス遮断で正確不明。
- 理論上、残存60%ウランで粗悪な核兵器10発分が可能(さらに濃縮不要の低効率型)。
- 現在は新たな濃縮活動なしのため、ブレークアウトタイムは大幅に延長(数ヶ月〜数年)。
今後の展望
- 外交ルート:次回交渉(2週間後)でイランが大幅譲歩(一時ゼロ濃縮+HEU希釈)すれば合意可能だが、最高指導者ハメネイが「濃縮権利」と「抑止兵器(ミサイル)」を必須と宣言しており、低い確率。
- 軍事リスク:米国・イスラエルは再攻撃準備中。イランは地下移行で耐性を高めているが、完全復旧には時間がかかる。
- 全体評価:プログラムは「劣化(degraded)」状態で、攻撃のコストが既に発生。外交でゼロ濃縮を受け入れやすい局面だが、体制維持のため強硬姿勢を崩さない可能性が高い。
この情報はISW、IAEA関連分析、衛星画像専門機関(ISIS)、Al Jazeera、Reuters、NYTなどの最新報道に基づきます。状況は急速に変化する可能性があるため、続報を注視してください。
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