味の素(主成分:グルタミン酸ナトリウム、以下MSG)は、1909年に日本で発売された以来、世界中で広く使われるうま味調味料です。しかし、「体に悪い」「化学調味料で危険」といったデマが100年以上にわたり根強く残っています。このデマは科学的根拠が薄く、WHOや厚生労働省が安全性(通常摂取量で問題なし)を繰り返し確認していますが、なぜなくならないのか? 初出から現代までの歴史を時系列で分析し、要因をまとめます。最後に今後の予想を述べます。
味の素のデマは、発売直後から始まり、社会・メディアの影響で変遷。主なタイムラインは以下の通りです。
| 時期 | 主な出来事・デマ内容 | 背景・影響 |
|---|---|---|
| 1908-1920年代(初出) | 東京大学教授・池田菊苗が「うま味」を発見し、鈴木商店がMSGを「味の素」として商品化。発売直後から「原料は蛇(まむし)」「体に毒」という噂が広がる。1923年の関東大震災後、工場焼失で供給不安からデマ加速。 | 化学調味料の新しさへの恐怖。1927年の書籍『味覚極楽』(子母沢寛著)で「蛇の箱がこぼれて駅が蛇だらけ」という都市伝説が記述され、広まる。味の素社は工場見学会で小麦原料を公開し、対抗。 |
| 1950-1960年代(戦後定着) | NHKの料理番組で商品名「味の素」を避け、「化学調味料」と呼称。これが「人工・化学=危険」のイメージを植え付け。50年前、一部製品で石油由来原料(アクリロニトリル)使用の噂も。 | 戦後復興期の「自然志向」ブーム。行政分類も「化学調味料」だったが、1980年代に「うま味調味料」に変更。石油由来は一時的で、現在はさとうきび発酵法。 |
| 1968-1970年代(国際デマの輸入) | アメリカで「中華料理店症候群(Chinese Restaurant Syndrome)」報告:MSG入り中華食後、頭痛・動悸などの症状。1969年、米でベビーフードへのMSG使用自粛勧告。動物実験(マウスに注射で異常)も誤解招く。日本ではこれが輸入され、「MSGは神経毒」「脳に悪影響」とのデマに。 | 米の反添加物運動(合成着色料など並行)。日本では1970年代のマウス実験(人体の数百倍投与)が「催奇形・網膜異常」と誤報。JECFA(国連機関)が1970年代に「関連なし」と結論も、イメージ残る。 |
| 1980-2000年代(メディア拡散) | 漫画『美味しんぼ』(1983年~)で「化学調味料は体に悪い」と描かれ、国民的ブームで定着。1990年代、ネット初期で「石油由来」「味覚破壊」の噂。2001年頃、海外で「MSGは依存性あり」との誤情報。 | グルメブームの逆風。「自然食」流行で「無添加」商品増加。ファクトチェック団体が否定も、書籍・TVで繰り返し。 |
| 2010年代~現在(SNS時代) | X(Twitter)で「味の素禁止」「バカ舌になる」投稿がバズ。2023年、料理研究家リュウジ氏がMSG推奨で炎上、反ワクチン陰謀論と絡む。2024年、デイリー新潮記事で「科学的に否定」も、Xで数万RTのデマ投稿。2025年現在、TikTok/Instagramで「海外禁止」動画が拡散。 | アルゴリズムが感情的な投稿を優先。2024年のWSJ記事で「米での反MSGは人種差別由来」と指摘も、無視されるケース多し。 |
この歴史から、デマは「新奇性への恐怖」→「国際誤解の輸入」→「メディア定着」→「SNS加速」のサイクルで進化。科学的反証(例: 腸・肝臓で代謝され脳に届かず、血液脳関門で保護)が出るたび、無視or「企業陰謀」と反発。
デマの持続は、心理・社会・技術的要因の複合。主な3つを挙げます。
これらにより、デマは「科学的否定」より「感情的共感」で生き残る。味の素社はNPO設立や情報発信で対抗中ですが、根絶は難しい。
結論:デマは「人間の不安を映す鏡」。味の素は適量で安全(1日3g未満推奨)で、むしろ食の豊かさを支える存在。情報源を疑い、公式(厚労省/味の素HP)で確認を。デマに振り回されず、美味しく食べましょう!
背景の概要 2025年11月7…