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トランプ大統領のABCレポーターへの発言の詳細

トランプ大統領のABCレポーターへの発言の詳細

2025年11月18日、ホワイトハウスでのサウジアラビア王太子モハメド・ビン・サルマン(MBS)との会談中、ABCニュースの首席ホワイトハウス特派員メアリー・ブルース(Mary Bruce)記者が、2018年にイスタンブールのサウジ領事館で殺害されたジャーナリスト、ジャマル・カショギの事件について質問を投げかけました。カショギの殺害はサウジ政府によるものとされ、MBSの関与が国際的に疑われています。

トランプ大統領はこれに対し、激しく反発。ブルース記者を「terrible reporter(ひどいレポーター)」と呼び、ABCニュース全体を「fake news(フェイクニュース)」と非難しました。さらに、「ABCのニュースはあまりにもフェイクだから、ライセンスを剥奪すべきだ」と述べ、連邦通信委員会(FCC)による放送免許の取り消しを脅迫する発言をしました。 11 12 このやり取りはオーバルオフィスで公開されており、トランプはMBSを擁護する形で「カショギは非常にcontroversial(物議を醸す人物)だった」とも発言し、事件を軽視する姿勢を示しました。 13

この事件は、トランプの過去のメディア攻撃の延長線上ですが、外交の場(サウジ王太子の訪米中)で起きた点が特に注目を集めました。ホワイトハウスは後日、プレスリリースでABCを「fake news」と再び攻撃し、過去の報道ミスを挙げて正当化を図りました。 14 15 また、同時期にエプスタイン事件関連の質問でも、トランプはブルース記者に「crappy company(クソみたいな会社)」と罵倒し、FCCライセンス剥奪を繰り返し主張しています。 18

一方で、X(旧Twitter)上ではこの発言が即座に拡散され、トランプ支持者からは「メディアの偏向を正す」と擁護する声が、一方で批判者からは「報道の自由への脅威」との反応が見られます。例えば、X投稿では「Trump calls ABC reporter ‘Fake News’」という動画が共有され、議論を呼んでいます。 2

分析解説

この発言は、トランプ大統領のメディアに対する敵対姿勢の典型例です。トランプは大統領時代から「fake news」をスローガンに、CNNやNYTなどのメディアを攻撃してきましたが、2025年の再就任後、FCCライセンス剥奪という具体的な脅しをエスカレートさせています。これは、単なる口撃ではなく、行政権力を使った報道規制の可能性を示唆しており、米憲法修正第1条(言論の自由)を脅かすとして、メディア団体や民主党から強い非難を浴びています。 16

  • 政治的文脈: 会談の相手がMBSという、米サウジ関係の要人である点が問題視されています。トランプはサウジとの経済・軍事同盟を重視し、カショギ事件を「過去のもの」として棚上げしたい意向ですが、質問を封殺する形で対応したため、国際的に「米国の報道の自由が後退している」との印象を与えました。X上でも、「これがMBSに与えるシグナルは?」と懸念する投稿が見られます。 0
  • ジェンダー・人種的側面: ブルース記者は女性で、過去にトランプの女性蔑視発言(例: 2016年のAccess Hollywoodテープ)を追及した経歴があります。また、同時期の別の事件で、トランプがブルームバーグの女性記者ペギー・ルーシー(Peggy Lucey)に対し「Quiet, piggy(静かにしろ、豚)」と発言したことが、女性蔑視として炎上。Xではこれを「Peggyのミスリスニング」と擁護する声もありますが、全体としてトランプの女性記者への攻撃パターンを指摘する声が強いです。 17 4
  • メディアへの影響: ABCはトランプ政権の批判報道を続けていますが、この発言後、ホワイトハウス記者団全体の緊張が高まりました。NPRの分析では、トランプのこうした行動が「パターン化」しており、支持基盤の「メディア不信」を煽る戦略だと指摘されています。 16

今後の予想

  • 短期(数ヶ月内): トランプ政権はFCC委員長に忠実な人物を任命し、ABCや他の「敵対メディア」への調査を強化する可能性が高いです。ただし、FCCは独立機関で、議会の民主党や司法の抵抗が予想され、ライセンス剥奪は実現しにくいでしょう。代わりに、税務調査や訴訟による間接的な圧力が増すと見られます。X上での拡散が続き、#FakeNewsキャンペーンが再燃するでしょう。
  • 中期(2026年以降): 米サウジ関係の深化(石油・AI投資)の中で、トランプは外交の場でメディア質問を制限する「プール制」を拡大するかも。エプスタイン関連法案の署名(11月20日)のように、支持者向けの「成果アピール」と並行してメディア攻撃を続けるパターンが定着。 19 しかし、2026年中間選挙で共和党の議会支配が揺らげば、弾劾論議の火種になる可能性。
  • 長期: トランプのメディア敵対は、米民主主義の分断を深め、国際的な報道自由ランキング低下を招く恐れ。支持率は保守層で安定する一方、リベラル層の反発が強まり、2028年大統領選での「反トランプ」勢力の結集を促すでしょう。全体として、報道の多様性が損なわれないよう、メディア側の連帯が鍵となります。
katchan17