2025年11月25日、福井県の杉本達治知事(57)は、臨時の記者会見で、複数の県職員に対してセクシュアルハラスメント(セクハラ)と疑われる内容のメールやテキストメッセージを送っていたことを認め、辞任を表明しました。知事は「私の言動により深く傷ついた方々に心よりお詫び申し上げます」と謝罪し、調査の長期化による県政停滞を避けるための一日も早い決断を強調しました。通報は約1カ月前の10月下旬に外部窓口へ寄せられ、県が委嘱した外部弁護士3人による特別調査が進行中でしたが、報告書がまとまる前に辞任を決断した形です。メッセージの具体的内容は公表されていませんが、知事本人は当初「軽口のつもりだった」と認識していたものの、「今見ればセクハラに当たる」と反省の意を述べています。
杉本知事は2018年に初当選し、2022年に再選された福井県政のトップで、特に関西電力の原子力発電所(大飯、美浜、高浜など)の再稼働や運転延長を容認する立場から、原発立地県の知事として注目されてきました。しかし、10月下旬に県職員1人から「知事から不適切なテキストメッセージを受け取った」とのセクハラ通報が寄せられ、県は即座に全庁調査を開始。通報者は匿名で保護されており、公益通報者保護制度が機能した好例として評価されています。調査は外部弁護士主導で、11月22日時点で1カ月経過していましたが、報告書の詳細は非公開のまま。知事は当初、事案を「軽微」と位置づけ、辞任を否定していましたが、世論の批判や県政への影響を考慮し、25日午後4時の会見で辞意を固めました。
この問題の深刻さは、知事が「複数の職員」に同様のメッセージを送っていた点にあります。セクハラの定義(性的な言動による職場環境の悪化)から、単発ではなく継続的な可能性が高く、県内のハラスメント意識向上を掲げてきた知事の信頼失墜は深刻です。過去の類似事例として、2017年に風俗店通いの疑いで辞任した新潟県の米山隆一知事や、1998年に不倫スキャンダルで辞任した大阪府の横山ノック知事が挙げられ、地方首長のセクハラ・スキャンダルが辞任に直結しやすいパターンを示しています。
会見では、知事が「コメントを控えたい」とメッセージの詳細を避けた点が、さらなる批判を招いています。一方で、調査結果を待たずに辞任を表明したのは、県政の迅速な再建を優先した現実的な判断と言えます。福井県は原発依存の経済構造が強く、知事不在の停滞がエネルギー政策や地域振興に悪影響を及ぼす懸念があったためです。しかし、内部通報制度の有効性を示す一方で、知事室のコンプライアンス体制の甘さが露呈。X(旧Twitter)上では、「兵庫県知事(斎藤元彦氏)のパワハラ問題と違い、福井は通報者が守られた」との比較投稿が見られ、地方自治体のガバナンス格差を浮き彫りにしています。
X上では、ニュース共有が相次ぎ、約20件の最新投稿から主な反応をまとめると:
この事件は、地方首長の私的言動が公的信頼を一瞬で崩す典型例。県民の声に耳を傾け、透明性の高い後任選出が鍵となります。