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つり目は人種差別でない?ミス・フィンランド事件の詳細概要

ミス・フィンランド事件の詳細概要

2025年のミス・フィンランド(Miss Suomi)コンテストでグランプリに輝いたサラ・ザフチェ(Sarah Dzafce、22歳、コソボ系移民の父親を持つフィンランド人)をめぐる人種差別騒動は、SNS上の1枚の写真が発端となりました。この事件は、単なるミスコンテストのスキャンダルを超え、フィンランド社会の潜在的なアジア人差別を露呈し、国際的に大きな波紋を広げました。以下に時系列と詳細をまとめます。

事件の発端(2025年11月末~12月初旬)

  • サラ氏は2025年9月にミス・フィンランドに選出され、11月のミス・ユニバース世界大会(タイ開催)でフィンランド代表として出場(上位入賞)。
  • 問題の写真は、匿名SNSアプリ「Jodel」やInstagram関連で拡散されたもの。サラ氏が両手の人差し指で目尻を引っ張り、目を細く吊り上げる「つり目」ジェスチャーをしながら笑う姿が写っており、キャプションはフィンランド語で「kiinalaisen kaa syömäs」(中国人と一緒に食べる、または中華料理を食べている)という内容。
  • このジェスチャーは、欧米圏で長年アジア人(特に東アジア人)を揶揄する人種差別的な表現として禁忌視されており、#StopAsianHate運動以降、SNSで即座に批判を集めやすい。
  • 写真はサラ氏本人が投稿したものではなく、友人がレストランで撮影・共有したものとされるが、拡散後に国際的な非難が殺到。特にアジア圏(中国、日本、韓国など)から強い反応。

サラ氏の釈明と初期対応

  • サラ氏は当初、「ひどい頭痛でこめかみを揉んで目を伸ばしていただけ」「友人が面白がって撮影した」「差別の意図は一切ない」と主張。自身も移民系として差別経験があると強調。
  • 追加で、過去の飛行機内動画(「ギャングは投げ捨てるが私はFinnairビジネスクラス」発言)が軽率として批判され、削除・謝罪。
  • 12月8日、Instagramで正式謝罪:「不快を与えたことを深く理解し、心からお詫び。特に影響を受けたアジア系コミュニティへ。意図せずとも傷つけたことを教訓に成長したい」。

ミス・フィンランド協会の対応と称号剥奪

  • 協会は12月10日、公式声明で「いかなる人種差別・差別的行為も容認しない」と表明。経緯の徹底検証を約束。
  • 12月11日、専門家協議と本人との直接面談を経て、史上初の称号剥奪を決定。理由:「ミス・フィンランドは国家・国際代表として高い責任を負う。行動と責任は切り離せない。コンテストの価値観(尊重・平等・人間の尊厳)に完全に反する」。
  • 準優勝者のタラ・レヒトネン(Tara Lehtonen、25歳、ヘルシンキ出身)が新ミス・フィンランドに就任。協会はアジア系コミュニティへ特に謝罪。

さらなる炎上:フィン人党議員の擁護行動

  • 剥奪決定後、連立与党の右翼ポピュリスト政党「フィン人党(Finns Party)」所属の国会議員らがサラ氏を擁護。
  • ユホ・エーロラ(Juho Eerola)議員:Facebookプロフィール写真をつり目ポーズに変更、「私はサラ!」と投稿。「頭痛緩和のポーズで、差別意図なし」と主張。
  • 他に少なくとも2-3名の議員・欧州議員が同様の写真や動画を投稿。「表現の自由」「過剰反応」と擁護。
  • これが火に油を注ぎ、国際非難が拡大。教育相から「幼稚で無責任」と批判。フィンランドの人権大使(Katja Pehrman)も抗議者をブロック・「トロール」扱いし、さらなる論争。

社会的・国際的反応

  • フィンランド国内:右派からは「キャンセルカルチャーの過剰」「ユーモアの欠如」と反発。一方、移民コミュニティやリベラル層から「構造的差別の露呈」と批判。
  • 国際的:特にアジア圏で大炎上。中国メディア(Global Times、SCMP)で「反中国差別」として報道。日本では「北欧のイメージ崩壊」「不買運動」呼びかけ。Change.orgで署名運動(アジア人差別実態調査要求)が数千集まる。
  • X(旧Twitter)では#BoycottFinlandや#FinlandRacismがトレンド。欧米メディアも「人権先進国フィンランドのダブルスタンダード」と指摘。

考察:なぜここまで拡大したか

  • 「つり目」ジェスチャーは、歴史的にアジア人へのステレオタイプ(yellowface)として問題視。意図に関わらず「影響」が重視される現代の基準に違反。
  • フィンランドの移民増加(人口10%超)と右派ポピュリズム台頭が背景。フィン人党の行動が「無自覚な白人中心主義」を象徴。
  • SNSのグローバル拡散力と、ミスコンテストの「国の顔」としての公的責任が重なり、協会の迅速対応を促した。

この事件は、2025年12月15日現在も議論が続いており、フィンランドの国際イメージに影響を与えています。協会の決定は「ゼロトレランス」の姿勢を示しましたが、国内分断を深める側面も指摘されています。

katchan17

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