Dior広告炎上事件(2023年)の詳細
2023年4月に起きたこの事件は、フランスの高級ブランドChristian Dior(ディオール)が、公式Instagramで公開したメイクアップ製品のプロモーション広告が原因で大炎上したものです。特に中国のSNSを中心に批判が広がり、国際的に報じられました。主な経緯と詳細は以下の通りです。
事件の発端
- 広告の内容: 新しいメイクアップコレクション(豹柄をテーマにしたもの)のプロモーション写真で、アジア系女性モデルが指で目尻を外側に引き上げ、「つり目」を強調するポーズを取ったクローズアップ画像。
- キャプションは「Channel your feline fierceness」(猫のような猛々しさを発揮せよ)で、猫目を表現する意図だったとみられますが、このジェスチャーは欧米圏で東アジア人(中国人、日本人、韓国人など)の目を嘲笑・侮辱する典型的な人種差別表現として認識されています。
- 広告はInstagramに投稿された後、すぐにスクリーンショットが拡散され、中国のWeibo(微博)で急速に広まりました。
反応と炎上
- 中国での批判: 「アジア人差別」「東洋人蔑視」「人種差別的ステレオタイプの perpetuation」との声が殺到。
- Weiboでハッシュタグ「Dior makeup advertisement accused of discriminating against Asians」がトレンド入りし、数千万回の閲覧を記録。
- 不買運動の呼びかけや、ブランドアンバサダーである中国女優ディリラバ(Dilraba Dilmurat)に対し「契約解除を求める」声も上がりました。
- 国営メディア(Global Timesなど)が社説で非難し、「Diorは再犯者」「誠実な謝罪を」と要求。
- 国際的な反応: BBC、Reuters、PetaPixelなどで報道され、韓国ネットユーザーからも「アジア人への侮辱」と批判。ボイコットの呼びかけが広がりました。
- 日本での反応は比較的穏やかでしたが、一部で「差別的」との意見が見られました。
Diorの対応
- 即時対応: 問題の写真をInstagramから削除(投稿全体を残しつつ該当画像を除去)。
- 公式コメント: Dior側は公的な謝罪声明を出さず、沈黙を保ちました。これがさらに批判を招き、「無視している」「認識不足」との声が高まりました。
- 結果として、ブランドイメージに打撃を受けましたが、長期的な経済影響は限定的だったようです。
背景と類似事例
- この「つり目ポーズ」は、歴史的にアジア人をステレオタイプ化する差別行為で、過去にサッカー選手や他のブランドでも問題化(例: FIFAによる処分事例)。
- Diorはこれが初めてではなく:
- 2021年: 上海の展覧会で、アジア人モデルを「小さな目」「そばかす」「陰気な表情」で描いた写真が「西洋の偏見を助長」と炎上。撮影した中国人写真家Chen Manが謝罪、Diorも写真削除。
- 2022年: 新作スカートが中国伝統衣装「馬面裙」に酷似し、文化盗用疑惑で批判。
- これらの繰り返しが、「Diorはアジア市場を軽視している」との印象を強めました。中国はDiorの重要な市場(LVMHグループの売上貢献大)であるため、敏感な反応となりました。
この事件は、グローバルブランドの文化感度不足と、アジア市場での人種差別問題を象徴する事例です。スウォッチやフィンランド事件と同様、東アジア人に対するステレオタイプ表現が国際的に許容されにくくなっていることを示しています。Dior側が明確な謝罪をしなかった点が、批判の長期化を招いた要因の一つです。
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