米山隆一氏の主張は、基本的に妥当だ。有本香氏がNHK番組で言及した「国防総省の報告書」として紹介した内容の核心部分、特に日中友好議員連盟を名指しで中国の影響工作機関だと位置づける具体的な記述は、米国防総省(DIA)の公式報告書(2019年の中国軍事力年次報告書)には存在せず、民間シンクタンクであるジェームスタウン財団の2019年報告書(China Brief)に見られるものだ。この報告書はDIAの文書を一般的に引用しているが、議連の名指しや詳細な文脈はシンクタンク独自の分析に基づく。
DIAの報告書自体は、中国の影響作戦(政治戦争)を米国や他国に対して行っていると一般論で述べているが、日本や特定団体への直接言及はない。有本氏の番組発言は、この点を混同または強調しすぎており、事実の正確性に欠ける。こうした誤認が公の場で広まった場合、謝罪や訂正は適切な対応と言える。特に、岡田克也氏のような当事者から抗議が出ている文脈では、公開討論を提案する前に事実関係の明確化が優先されるべきだ。