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日本保守党のスラップ訴訟関連の概要

日本保守党のスラップ訴訟関連の概要

日本保守党(代表:百田尚樹、事務総長:有本香)は、2023年結党以来、元党員・飯山あかり氏(イスラム思想研究者)に対する複数の名誉毀損訴訟を提起しています。これらは批判的言論(YouTube発言、雑誌寄稿など)を対象とし、総額数千万円規模に及び、スラップ訴訟(SLAPP: 言論抑圧を目的とした戦略的訴訟)として広く批判されています。国政政党が税金(政党交付金)で運営される中、個人に対する訴訟乱発は言論の自由を脅かすとして、2025年に「日本保守党の言論弾圧から被害者を守る会」が発足しました。

主な訴訟事例(主に飯山あかり氏関連)

日本保守党側からの提訴は2025年3月頃から集中。飯山氏の党批判(寄付金処理、LGBT法対応、内部運営など)がきっかけです。

  • ゴーストライター訴訟(百田尚樹個人 vs. 飯山あかり)
    事件番号:令和7年(ワ)7669(東京地裁民事42部)。
    内容:飯山氏のYouTube発言「百田氏にゴーストライターがいる聞いた話」を名誉毀損とし、220万円賠償+謝罪広告請求。
    2025年12月22日判決:飯山氏全面勝訴。請求棄却、訴訟費用百田氏負担。裁判所は発言を「皮肉・感想」と認定、文脈(両者の対立)を考慮し社会的評価低下なしと判断。判決文で「切り取り批判」を否定し、先行攻撃を重視。
  • LGBT法関連訴訟(日本保守党法人 vs. 飯山あかり)
    内容:雑誌「Hanada」寄稿で「党はLGBT法に一切取り組んでいない」との記述を虚偽とし、330万円~990万円請求。
    進行中だが、勝訴可能性低くSLAPP疑い強い。
  • 有本香・伊藤純子(党幹部) vs. 飯山あかり
    内容:「子宮摘出」関連発言やSNS批判を名誉毀損とし、990万円請求。証拠編集疑惑も浮上。
  • その他複数訴訟
  • ウグイス嬢(党関係者)からの提訴(990万円規模)。
  • 総件数:9件以上(2025年7月時点)、請求総額約4,000万円。
  • 支持者によるカンパ返還請求(数百人規模、本人訴訟):百田・有本氏が費用補填を示唆し、組織的SLAPPと批判。

飯山氏はこれに対し反訴(百田氏に1,200万円、有本氏に1,600万円など)も提起。守る会が支援。

スラップ訴訟としての特徴と批判

  • 目的の疑い:勝訴より相手の経済・精神疲弊、言論萎縮狙い。百田氏側は「誹謗中傷対応」と主張するが、裁判所が文脈重視で棄却した事例が増加。
  • 党の関与:支持者訴訟を幹部が煽り・支援。ニコニコ創業者川上量生氏が費用支援表明し、抑止力に。
  • 社会的影響:保守層分裂、党イメージ低下。署名運動や書籍(飯山氏『日本保守党との死闘』)で問題拡散。

その他の党関連訴訟

  • 河村たかし共同代表関連:党運営対立で百田氏を脅迫容疑で刑事告訴(2025年10月)。河村氏離党、党事実上分裂。
  • 全体として、党は内紛・訴訟多発で支持低迷。

今後の見通し

ゴーストライター訴訟の勝訴は先行判例となり、残る訴訟で飯山氏有利に傾く可能性。控訴があれば長期化。党側は追加提訴リスクありだが、SLAPP認定の世論逆風強まる。言論の自由 vs. 名誉保護のバランスが争点継続中。

katchan17