ニュース概要
2025年11月13日、読売新聞社主催の「正力松太郎賞」選考委員会が東京都内で開催され、今年の日本プロ野球の発展に最も貢献した人物として、福岡ソフトバンクホークスの小久保裕紀監督が本賞を受賞。一方、特別賞にはロサンゼルス・ドジャースの山本由伸投手(27)が選出されました。このニュースは、山本投手のMLBワールドシリーズ(WS)での圧巻のパフォーマンスが、日本野球界全体に与えた影響を象徴するもので、選考委員長の王貞治氏(ソフトバンク球団会長兼特別チームアドバイザー)から「全会一致」の高評価を得ています。
背景と詳細
正力松太郎賞とは?
- 設立の経緯と意義: 1958年に創設された日本プロ野球の最高栄誉賞の一つで、読売新聞社と日本テレビが制定。初代読売ジャイアンツ監督の正力松太郎氏の功績を称え、その年のプロ野球(主にNPB)を最も発展させた監督、選手、関係者に贈られます。通称「正力賞」。受賞者には金メダルと賞金500万円(特別賞は300万円)が授与され、賞金は両社から提供されます。
- 選考プロセス: 日本プロ野球コミッショナーから委託された選考委員会(委員5名、2025年現在)が、シーズン終了後に審議。対象は主にセ・リーグ・パ・リーグの競技者ですが、特別賞は海外(MLB)で活躍する日本人選手の功績を認め、例外的に適用されます。例えば、大谷翔平選手は2023年と2024年に特別賞を2年連続で受賞しています。
- 過去の受賞者例: 監督では落合博満氏(中日、複数回)、選手ではイチロー氏(マリナーズ時代に特別賞)などが名を連ね、日本球界の「レジェンド」を象徴する賞です。
山本由伸投手の活躍
山本投手は2024年オフにオリックス・バファローズからドジャースへポスティング移籍(総額約2,750万ドル、約42億円)。日本時代からエースとして君臨し、NPBで最多勝・最優秀防御率などのタイトルを総なめにした投手です。2025年MLBシーズンでは、開幕から安定した投球を披露し、ポストシーズンでさらに輝きました。
- ワールドシリーズのハイライト: ドジャースを球団史上初の2連覇に導く立役者。WSで3勝を挙げ、シリーズ最優秀選手(MVP)に選出。日本人選手として史上2人目(1人目はダルビッシュ有投手)の快挙です。魂の連投(短い間隔での登板)でチームを救い、防御率0.00、奪三振率も抜群でした。これにより、ドジャースはヤンキースを破り、チャンピオンシップを制覇。
- 日本野球界への影響: MLBで日本人投手がWSでMVPを取るのは極めて稀。山本投手のパフォーマンスは、NPBの投手育成の成果を世界に示し、若手選手のモチベーション向上や、海外移籍の価値を高めました。サイ・ヤング賞(最優秀投手賞)受賞は逃しましたが、WSでの貢献が正力賞選考で最大の評価点となりました。
王貞治氏のコメントのポイント
選考委員会で王氏が述べた「全会一致。日本野球ここにありを見せてくれた」は、この受賞の核心を突いています。
- 「全会一致」: 5人の委員全員が山本投手を特別賞に推す異例の満場一致。元々、大谷選手の3連覇が有力視されていましたが、山本投手のWS活躍がそれを上回りました。王氏は「今年も大谷君にあげたいと思うくらいの成績で、文句はないんですが、山本君の活躍は別格」と評し、2人の日本人エースがMLBトップレベルで競う「日本野球の誇り」を強調。
- 「日本野球ここにあり」: NPB出身選手がMLBの頂点で証明した投球術(精密な制球力、変化球のキレ、精神力)を指します。日本野球の伝統(例: 投手中心の文化、細やかな配球)が、グローバルな舞台で通用することを体現。コロナ禍以降の国際化が進む中、この言葉は「日本野球の復権」を象徴し、ファンや後進に勇気を与えています。王氏自身、NPBのレジェンドとして、この受賞を「日本球界の誇らしい瞬間」と位置づけました。
解説と意義
この受賞は、単なる個人栄誉を超え、日本プロ野球の国際的地位向上を象徴します。山本投手は日本時代に沢村栄治賞(NPB最高の投手賞)を受賞した実績もあり、MLB移籍後の成功は「NPBの投手力」を世界にアピール。ドジャースの日本人トリオ(大谷、山本、佐々木朗希?)がWS制覇に貢献したことで、2025年は「日本人年」と呼ばれています。一方、賞の内規上、大谷選手のような「本賞」対象外は今後も続き、特別賞が「MLB日本人賞」の役割を果たす形です。
今後、山本投手は2026年シーズンでさらなる活躍が期待され、日本野球の「グローバル化」を加速させるでしょう。このニュースは、野球ファンにとって励みとなり、王氏の言葉通り「日本野球の存在感」を再確認させる出来事です。詳細はスポニチや読売新聞の記事を参照ください。
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