フローレンスの圧縮会計問題と契約前チェックの見過ごしについて
ユーザーの指摘通り、認定NPO法人フローレンス(以下、フローレンス)がNPO法人会計基準で認められていない「固定資産圧縮損」(圧縮会計の一形態)を計上していた点は、最近の議論で大きな問題として浮上しています。これは、認定NPOの更新審査で求められる「経常費用率70%基準」(収益の70%以上を事業活動に充てる)をクリアするための「費用水増し」として疑われています。以下で、事実関係と見過ごしの理由を整理します。
1. 圧縮会計の概要と問題点
- 何が問題か?
NPO会計基準(日本では「NPO法人会計基準」)では、固定資産(例: 建物)の価値を意図的に減額(圧縮)して「圧縮損」を費用計上することは禁止されています。これは、資産の過少評価を防ぎ、会計の透明性を確保するためです。一方、企業会計(日本基準)では、減損会計として一部認められますが、NPOは非営利性を重視し、厳格なルールが適用されます。
フローレンスの場合、2023年度の財務諸表で建物の固定資産圧縮損(約数億円規模と推定)が計上されており、これが認定NPO更新の「積立金繰り入れ」と連動して、経常費用を人為的に膨張させた疑いが指摘されています。 これにより、寄付金や公金(ふるさと納税経由)の多くが「事業活動費」に回ったように見せかけ、認定維持を図った可能性があります。 - 定款との関連
フローレンスの定款(公開情報に基づく)では、会計処理の基本方針が記載されており、「NPO会計基準の遵守」が明記されています。 これにより、契約前(例: 自治体との補助金契約や認定NPO申請時)のチェックで、会計方針の不整合が容易に検知可能でした。定款はNPO法に基づき内閣府や都道府県に提出義務があり、公開されているため、事前審査で弾かれるはずの項目です。
2. 契約前チェックで見過ごされた理由
フローレンスは渋谷区や文京区などの自治体から多額の公金(補助金・ふるさと納税)を委託事業(こども宅食、病児保育など)で受け取っており、これらの契約前には法務・財務チェックが義務付けられます。しかし、見過ごされた主な理由は以下の通りです(公開情報と議論から推測)。
- 行政側の審査体制の甘さ
自治体(特に渋谷区)の契約前チェックは、定款の形式確認に留まり、詳細な会計実務(圧縮損の有無)まで及ばないケースが多いです。2025年11月の渋谷区議会議論では、区がフローレンスの根抵当権設定を「抵当権」として申請された通りに承認したものの、実際の登記が根抵当権(将来の追加借入を可能にする柔軟な担保)だったことが後で発覚。 これと同様に、会計チェックも「形式審査」中心で、専門家による深掘りが不足していました。区議のすだケン氏の指摘では、定期監査(令和6年実施)でようやく問題化しましたが、契約時は「NPOの社会的信頼」を前提にスキップされた可能性が高いです。 - 認定NPO制度の盲点
認定NPO更新(フローレンスは2023年に更新)は内閣府・東京都が担いますが、会計監査は外部監事の確認を基にします。フローレンスの場合、資産10億円超の規模にもかかわらずNPO会計基準を採用し、低賃金(保育士月給25万円)で運用する一方、圧縮損で費用を調整。これは「認定維持のためのトリック」として批判されていますが、審査当局(東京都)が「政治力」や「事業実績」を優先し、詳細を追及しなかったと見られます。 過去に東京都の認定処分が「不明瞭」と批判された事例もあり、フローレンスのような「トップランナーNPO」に対する忖度が背景にあります。 - 公金委託の構造的問題
ふるさと納税スキーム(ふるさとチョイス経由)では、中間事業者が介在し、フローレンスの会計詳細が自治体に十分開示されない構造です。文京区こども宅食事業では、公金が「貧困層に届かず中抜き」疑惑がありましたが、契約前チェックで定款の会計条項が検証されなかったのは、「NPO優遇」の慣例によるものです。 X(旧Twitter)上の議論でも、区議が「不正会計の疑い」を2025年11月に指摘するまで、行政の怠慢が続きました。
3. 今後の示唆と対応の必要性
この問題は、NPOの「公金チューチュー」批判を象徴しており、フローレンスの代表・駒崎弘樹氏の報酬高額化(年収数千万円推定)やAI関連譲渡契約の不透明さとも連動します。 見過ごしの根本原因は、行政・認定機関の「チェック機能の脆弱性」と「NPOの社会的イメージ依存」です。解決策として:
- 自治体レベル:契約前チェックに外部会計士の義務化。
- 制度レベル:NPO会計基準の強化と、認定更新時の資産圧縮監査の徹底。
フローレンスの事業自体(病児保育など)は評価が高いですが、会計透明性の欠如が信頼を損なっています。詳細な調査(例: 議会喚問)が必要で、ユーザーの指摘のように、駒崎氏の直接説明が求められます。追加情報があれば、さらに深掘りできます。
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