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日本人の祖先の議論の最新情報 2025 縄文人 弥生人 そして?

日本人類学会 下関大会の概要

2025年10月下旬に山口県下関市で開催された日本人類学会第89回大会(テーマ:人類学の新地平を拓く)では、日本人のルーツを探るDNA研究が注目を集めました。特に、縄文人や弥生人のゲノム解析に基づく発表が相次ぎ、現代日本人の祖先形成過程に新たな知見がもたらされました。大会のハイライトは、縄文人の遺伝的連続性と隔絶性を示す研究で、東京大学大学院の加藤雅彦氏(博士課程3年)が主導した報告が象徴的です。この研究では、縄文時代(約1万6000年前~約2300年前)の複数個体のゲノムデータをPCA(主成分分析)で解析し、時代を超えた遺伝的ばらつきの少なさを明らかにしました。これにより、縄文人がユーラシア大陸からの大規模な遺伝子流入を受けず、島嶼環境で独自に進化したことが裏付けられました。 25 26 また、弥生人の遺伝子は漢民族より朝鮮半島集団に近く、稲作文化の伝播とともに渡来人が日本列島に流入した経緯も議論されました。全体として、大会は古代DNAの進歩を背景に、日本列島の孤立性と多様な混血史を強調する内容となりました。

日本人の祖先の議論の最新情報

日本人の祖先形成に関する最新研究(2024~2025年)は、従来の「二重構造モデル」(縄文人+弥生人渡来系)を修正する「三重構造モデル」が主流となりつつあります。このモデルでは、現代日本人のゲノムは以下の3系統から成る:

  • 縄文系:東南アジア起源の古い系統(約2万6000年前に分岐)。狩猟採集民で、日本列島固有の基層。
  • 東アジア系:中国大陸由来の農耕民(弥生時代以降の主な渡来人)。
  • 北東アジア系:朝鮮半島・シベリア由来(古墳時代以降の追加流入)。

理化学研究所の寺尾知可史チーム(2024年)は、3000人以上の現代日本人ゲノムを解析し、祖先比率を地域別に推定。沖縄で縄文系が28.5%と最高、東北18.9%、関西13.4%と最低を示しました。 1 2 また、東京大学らの2024年研究では、弥生人ゲノムから「現代日本人の祖先集団は弥生時代に朝鮮半島渡来人と縄文人の混血で誕生した」とし、古墳時代待機説を否定。 4 2025年の大阪大学・金沢大学らの統合解析では、縄文系比率が高い個体ほどBMI(肥満リスク)上昇の傾向が見られ、表現型への影響も明らかになりました。 21 これらの知見は、ノーベル賞級の古代DNA技術(例:2025年国立科学博物館展「古代DNA―日本人のきた道―」)により加速しており、日本人の「完成」は弥生~古墳時代初期に集中した混血過程と位置づけられています。 6 23

地域差の概要

日本人の遺伝的地域差は、縄文系比率の勾配が主因で、南北・東西に明確です。東京大学・大阪大学の研究(2023~2025年)から、以下のようにまとめられます:

  • 縄文系が高い地域:沖縄(28.5%)、東北(18.9%)、北海道(アイヌ系でさらに高)。これらは大陸流入が少なく、縄文遺伝子の保存率が高い。
  • 縄文系が低い地域:関西(13.4%)、九州北部。渡来人(東アジア系・北東アジア系)の影響が強く、農耕文化の定着が早かった。
  • 全体傾向:県レベルで差異(例:東北太平洋側 vs. 内陸)。混血は未だ進行中で、離島・僻地で古代遺伝子が温存されやすい。 15 18 24
地域縄文系比率(推定)主な特徴
沖縄28.5%東南アジア起源の古層が強く、港川人(旧石器時代)との連続性。
東北18.9%北東アジア系流入が遅れ、続縄文文化の影響。
関西13.4%東アジア系渡来人が多く、漢民族親和性が高い。
九州北部15-20%弥生渡来の玄関口、混血が活発。

この差は、渡来ルート(朝鮮半島経由の東西差、南北の孤立度)によるもので、表現型(例:身長、肝機能、肥満リスク)にも影響します。 36

瀬戸内海地域について

瀬戸内海沿岸(岡山、広島、香川、愛媛など)は、遺伝的に「関西系」に近く、縄文系比率が低め(13-15%程度)で、渡来人影響が強い地域です。2021年の国立遺伝学研究所研究では、四国南部(瀬戸内側を含む)で成人T細胞白血病関連ウイルス(HTLV-1)キャリア率が高く、これは縄文・古層遺伝子の残存を示唆しますが、全体として弥生以降の東アジア系流入が優勢。 17 2025年の三重構造解析では、瀬戸内は朝鮮半島渡来の玄関口として、北東アジア系と東アジア系の混合が目立ち、現代の遺伝的多様性が高い。考古学的にも、土井ヶ浜遺跡(下関)のような弥生人骨から、半島系遺伝子が確認されており、地域差の「橋渡し」役を果たしたと考えられます。 27 24 ただし、離島(小豆島など)では縄文系がやや高く、微妙な勾配が見られます。

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