世論調査の概要
2025年10月4日の自民党総裁選で高市早苗氏が新総裁に選出されたことを受け、NHKが10月11日から13日にかけて実施した全国電話世論調査(RDD方式、対象2864人、有効回答1205人)で、高市氏への期待度が明らかになりました。全体では「期待する」が52%、「期待しない」が44%と拮抗していますが、世代別に見ると顕著な差異が生じています。若年層ほど支持が高く、特に40代以下では70%台後半に達する一方、70代以上では「期待しない」が60%を超える結果となりました。この調査は、高市氏の支持基盤が若者中心であることを示唆しています。 0 1
他の調査(例: JNNの10月5-6日調査)でも、全体の「期待する」は66%と高く、自民党支持層内では75%に上る一方、野党支持層では低調です。共同通信の10月4-6日調査では68.4%が期待を示し、派閥裏金問題に関与した議員の要職起用に77.5%が反対するなど、国民の厳しい視線も浮き彫りになりました。 2 13
世代別支持率の詳細
調査結果から、年齢層別の期待度を以下にまとめます(NHKデータベース):
年齢層 | 期待する(%) | 期待しない(%) | 特徴 |
---|---|---|---|
18-29歳 | 78 | 18 | ネット中心の情報摂取で高市氏の「保守改革」イメージが好感 |
30-39歳 | 75 | 20 | 経済・子育て世代の政策期待(例: 社会保障改革)が高い |
40-49歳 | 72 | 22 | 全体の70%台を形成、就労世代の「変革」志向 |
50-59歳 | 55 | 35 | 中間層、安定志向でやや低下 |
60-69歳 | 45 | 48 | 伝統メディア影響で批判的 |
70歳以上 | 35 | 62 | 「アンチ」層の中心、過去のスキャンダルやメディア報道の影響大 |
この傾向は、X(旧Twitter)上の議論でも顕著で、若年層の投稿では「高市さんの積極財政・国防強化に期待」「高齢者優遇の終わりが来る」との声が多く、逆に高齢者層からは「公明党との癒着が心配」「偏向報道の被害者ぶりが怪しい」といった懐疑論が目立ちます。 10 12 17
解説分析:なぜ若い世代の支持が高いのか?
この世代差の背景には、情報源の違いと政策イメージの乖離が大きく影響しています。
- 情報摂取の多様化:
- 若年層(40代以下)はSNSやYouTubeなどのデジタルメディアを主に使い、高市氏の「日本再生」演説や保守派政策(例: 積極財政、伝統文化重視)がストレートに届きます。一方、高齢層はテレビ・新聞中心で、過去のスキャンダル(LGBT理解増進法反対時の「差別」イメージ)やメディアの批判的報道が残っています。X投稿でも「テレビの偏向報道がアンチを生む」との指摘が散見され、NHK調査でも情報源別で支持率に20-30%の差が出ています。 0 10
- 政策アピールの世代適合:
- 高市氏は子なし・母・夫の介護経験から、社会保障改革(高齢者偏重の見直し)を提唱しており、現役世代の「将来不安」解消に響いています。JNN調査では、期待政策の4位に「社会保障制度改革」がランクインし、若者層の「手取り増やせ」「移民反対」志向とマッチ。逆に高齢層は、年金・医療優遇の維持を望むため、改革案に抵抗感を抱きやすいです。 19 17
- ジェンダー・世代間ギャップ:
- 高市氏(64歳)は「ガラスの天井」を突破した象徴として、60代女性を中心に一部支持を集めますが、70代以上では「ハラスメント被害の古い世代観」がネックに。X上で三浦瑠麗氏が指摘するように、60代女性は均等法世代として改革に前向きですが、70代は「被害者意識の差」でアンチ化しやすい構造です。 15
全体として、この調査は「高市アンチの高齢者偏重」を露呈し、自民党内でも「若者票の取り込み」を促す材料となっています。ただし、支持率の52%は「ハネムーン期」の水増し可能性があり、裏金問題の余波で変動しやすい点に注意が必要です。
今後の予想
- 短期(年内):支持維持の可能性高
高市内閣発足後、初動政策(例: 減税・国防強化)で若者支持を固め、全体支持率を60%超に押し上げるシナリオが濃厚。Xトレンドでは「高市期待」のハッシュタグが急上昇中ですが、公明党との連立摩擦(移民・LGBT政策)で高齢層の離反加速のリスクあり。衆院選(2025年末予想)では、若年層の投票率向上で自民優位を維持可能。 11 18 - 中期(2026年以降):改革成否が鍵
社会保障改革の実行で若者支持を70%超に伸ばせば、長期政権基盤化。一方、高齢者アンチの拡大(メディア露出増で「極右」イメージ定着)で支持率40%割れの可能性も。維新や国民民主との連携次第で、野党再編を誘発し、政権交代リスク低減。経済成長率2%超の達成が分水嶺となり、失敗すれば「期待外れ」論で急落必至。
この調査は、高市政権の「若返り」チャンスを示す一方、世代間対立の火種でもあります。引き続き、政策実行の成否に注目です。