伊坂幸太郎 最新作『さよならジャバウォック』概要とまとめ

伊坂幸太郎は、2000年のデビュー作『オーデュボンの祈り』以来、軽妙な語り口と緻密なプロットでミステリー界をリードする作家です。2025年10月22日に双葉社より刊行された『さよならジャバウォック』は、彼のデビュー25周年を記念した渾身の書き下ろし長編ミステリー。定価1,870円(税込)、ISBN: 978-4-575-24852-4。表紙は『約束のネバーランド』でおなじみの出水ぽすか氏によるイラストで、幻想的な雰囲気が作品の不思議な世界観を象徴しています。 6 9

作品概要

本作は、伊坂氏が「自分はミステリー作家だと思われていない」との不安から生まれた意欲作。典型的な「夫殺し」ミステリーの形式を借りつつ、伊坂ワールド全開のユーモアと意外性を織り交ぜ、読者を予想外の結末へ導きます。舞台は主に仙台で、現実と非現実が交錯する不思議な旅が展開。タイトルはルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』に登場する詩「ジャバウォッキー」から着想を得ており、別れや喪失、再生のテーマを象徴しています。 0 8

伊坂氏自身がインタビューで語るように、「読者をびっくりさせたい」というミステリーのエッセンスを凝縮。DV(ドメスティック・バイオレンス)という重いテーマを扱いつつ、登場人物の魅力的な会話やエピソードの積み重ねで、暗くなりすぎずエンターテイメント性を保っています。ページ数は約300ページと読みやすく、発売直後から書店ランキングで上位を独占(例: ジュンク堂書店南船橋店文芸部門2位)。 20 17

あらすじ(ネタバレなし)

物語は衝撃的な一文から始まります──「夫は死んだ。死んでいる。私が殺したのだ」。

主人公の量子(りょうこ)は、結婚直後に妊娠と夫の転勤を経験。元々優しかった夫が、次第に冷たく暴言を吐くようになり、ついには暴力を振るうようになります。息子を育てる日々の中で耐え忍んできた量子ですが、ある日、自宅マンションの浴室で夫が倒れているのを発見。夫を殺してしまったと確信した彼女は、幼い息子が学校から帰宅するまでのわずかな時間で、遺体を隠蔽し、逃亡の旅に出ます。

旅の途中で出会う奇妙な人物たち──謎の男、優しい老人、ズレた会話の友人たち──との交流を通じて、量子は夫の死の真相や自身の過去を振り返り、別れの意味を探求していきます。ミステリーの謎解き要素が徐々に明らかになる一方で、SF的な不思議な出来事やユーモラスな挿話が絡み、単なる犯罪小説を超えた深みが生まれます。ラストは「冒頭からは全く想像のつかない」驚愕の展開で、伊坂ミステリーの真骨頂を発揮。 3 7 10

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登場人物のポイント

  • 量子(主人公): 夫のDVに苦しむ主婦。内面的な強さと脆さが魅力で、旅を通じて成長する姿が心に残る。
  • 夫(故人): 物語の起点となる人物。過去の転勤が彼を変えた要因か?
  • 息子: 幼く無垢な存在。量子が守ろうとする原動力。
  • 脇役たち: 伊坂作品らしい「ほぼ善人」揃い。桂凍朗という人物の最期が特に印象的で、優しいラストを演出。 17

テーマと魅力

  • テーマ: DVの現実的な描写から、別れの寂しさではなく「また会える」ポジティブな別れの言葉として「さよなら」を再解釈。家族の絆、喪失後の再生、ミステリーの枠を超えた人間ドラマ。
  • 魅力: 伊坂氏の得意とする人物描写の巧みさ、読書初心者でも楽しめる工夫(例: 現実離れしたエピソードの挿入)。ミステリー要素は本格的だが、全体の空気感が「ふわふわ」として心地よい。タイトル回収の妙も秀逸。 5 15

読者の反応とまとめ(レビュー抜粋)

発売からわずか10日で多くの読了報告が寄せられ、X(旧Twitter)では「伊坂幸太郎らしさ全開でワクワクした」「面白かったー!!!!!」「久しぶりの伊坂ワールドを存分に堪能」と高評価。表紙の美しさも話題に。一方で、ファン歴の長い読者からは「期待値が高すぎて少し肩透かし」「プロモーションの期待させすぎが問題」との声も。全体として、ミステリーの新鮮さと伊坂氏の安定した面白さが光る一冊。結末は「誰にも言わないで!」と伊坂氏が釘を刺すほど衝撃的──ネタバレ厳禁でおすすめします。 5 12 10

デビュー25周年の節目に相応しい、伊坂幸太郎の集大成。ミステリー好きはもちろん、日常の重さを軽やかに描く作品を求める人にぴったり。特設サイト(https://fr.futabasha.co.jp/special/sayonara_Jabberwock/)で試し読みやインタビューをチェックして、ぜひ手にとってみてください!

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