ハンガリーのフォリント使用について
ハンガリーの公式通貨はハンガリーフォリント(HUF)で、1946年の導入以来、現在(2025年11月時点)も使用されています。EU加盟国(2004年加盟)として、将来的にユーロ(EUR)への移行義務がありますが、フォリントをいつまで使用するかは現時点で具体的な期限が設定されていません。以下で詳細を説明します。
ユーロ導入の現状と予定
- 導入目標日程の不在: ハンガリー政府はユーロ導入の公式なターゲット日を定めていません。欧州委員会の報告書でも、2025年現在、ハンガリーはERM II(欧州為替相場メカニズムII)への参加すらしておらず、導入に向けた準備が不十分です。過去に2010年や2020年などの目標が提案されましたが、いずれも財政赤字やインフレなどのマストリヒト基準未達で断念されています。
- 政府の立場: ビクトル・オルバン首相は2025年10月の発言で、EUの「崩壊」懸念を理由にユーロ導入に明確に反対を表明。「ハンガリーはフォリントを数十年間安定して使用し続けるべき」との姿勢です。一方、野党側(ペーター・マジャル氏ら)は導入を公約に掲げており、2026年春の総選挙が今後の転機になる可能性があります。
- 専門家の見解: ハンガリー国立銀行総裁のゲルゲイ・マトルチィ氏は2023年に「2030年頃、またはそれ以降」と推測を述べていますが、これは非公式です。2025年7月のOTP銀行CEOの発言では「導入が望ましい」との声もありますが、政府の方針が優先されます。
ユーロ導入の条件と課題
ユーロ導入には以下のマストリヒト基準を2年以上満たす必要がありますが、ハンガリーは複数で未達です:
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- 物価安定性: インフレ率が低い(2025年は改善傾向だが基準未達)。
- 財政健全性: 財政赤字3%以内、公的債務GDP比60%以内(2025年赤字は改善中だが、EU資金凍結の影響で厳しい)。
- 為替レート安定: ERM II参加必須(未参加)。
- 長期金利: 2%以内の安定。
2025年の為替レート(1EUR ≈ 390-400HUF)も変動が激しく、安定化が課題です。ブルガリアのように2026年導入の国もありますが、ハンガリーは他の非ユーロ国(チェコ、ポーランド、ルーマニア、スウェーデン)と同様、進展が遅れています。
今後の見通し
- 短期(2025-2026年): フォリント使用継続が確実。2026年選挙で政権交代なら、導入議論が加速する可能性(例: 2030年目標設定)。
- 長期: EU義務により、将来的(2030年代以降)には導入が避けられないと見られますが、政治・経済状況次第。フォリントの安定化政策が優先されており、無期限に近い使用が予想されます。
最新情報はハンガリー国立銀行(mnb.hu)や欧州委員会の収束報告書で確認してください。為替変動が激しいので、旅行・投資時は注意を。
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