ノルウェーモデル(北欧モデル)の解説と分析
~「買春罰則化」による売春の部分的非犯罪化~
1. ノルウェーモデルの最大の特徴:買春罰則化(売春購入の刑事罰化)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Sexkjøpsloven(2009年1月施行) |
| 対象 | 売春の購入行為(買春)を刑事犯罪化 |
| 罰則 | 最大 懲役6ヶ月 または 罰金(初犯は罰金が主流) |
| 売春者側 | 非犯罪化(売春行為自体は罰せられない) |
| 目的 | ① 売春需要の抑制 → 市場縮小 ② 売春者の被害者保護・支援強化 |
「売る側は被害者、買う側は加害者」というパラダイムシフト
2. 導入背景と理論的根拠
| 背景 | 説明 |
|---|---|
| フェミニズム理論 | 売春は構造的性暴力。買春者が「需要」を生み、搾取を維持 |
| 人身取引対策 | 売春市場が人身取引の温床。需要を断つことで被害減少 |
| スウェーデン先行事例 | 1999年導入 → 街頭売春70%減(公式報告) |
ノルウェーはスウェーデン・アイスランドと「北欧モデル」を形成
3. 実効性のデータ(ノルウェー・スウェーデン)
| 指標 | ノルウェー(2009年~) | スウェーデン(1999年~) |
|---|---|---|
| 街頭売春 | 約60%減少(オスロ警察) | 70~80%減少 |
| オンライン売春 | 一部増加も、全体市場は縮小 | 同様 |
| 人身取引被害 | 検挙数増加(被害者発見率↑) | 被害者支援申請 3倍 |
| 世論支持率 | 約70%が賛成(2020年調査) | 80%超が維持支持 |
需要抑制 → 市場縮小 → 搾取減少 の好循環
4. 批判と課題
| 批判点 | 反論・現状 |
|---|---|
| 売春者の収入減 → 危険な取引増加? | → 支援制度(脱出プログラム、住宅・職業訓練)が充実。自発的売春者も減少傾向 |
| オンライン売春の増加 | → 警察が買春広告サイト監視強化。摘発件数増加 |
| 性労働者の権利侵害? | → 売春者団体の一部は反対も、被害者支援団体は圧倒的支持 |
5. 日本が学ぶべきポイント(3つの軸)
① 「需要抑制」政策への転換
現状:売春防止法(1956年)は売春行為自体を禁止(処罰はほぼなし)
→ 買春は黙認(風俗業はグレーゾーン)
| 日本の課題 | ノルウェーからの示唆 |
|---|---|
| 買春需要が風俗産業を支える | → 買春罰則化で需要を根本的に抑制 |
| 人身取引被害が潜在化 | → 買春摘発で被害者発見の窓口に |
提案:風俗店での買春も「公共の場以外」で罰則化(段階的導入)
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② 売春者への「脱出支援」インフラ構築
ノルウェーの支援メニュー(参考):
- 無料シェルター(最長6ヶ月)
- 職業訓練・就労支援
- 心理カウンセリング
- 外国人被害者への在留資格特例
日本:売春防止法附帯決議で支援指針はあるが、予算・施設不足
提案:
- 全国に「脱出支援センター」設置(自治体+NPO連携)
- 外国人売春者への在留特別許可(人身取引被害者認定)
③ 法制度の「パラダイムシフト」
| 旧パラダイム(日本) | 新パラダイム(ノルウェー) |
|---|---|
| 売春は「道徳的問題」 | 売春は「構造的搾取」 |
| 売春者=加害者 | 売春者=被害者 |
| 規制は「供給側」 | 規制は「需要側」 |
日本の法改正案イメージ
「売春購入処罰法」(仮称)
- 第1条:売春購入を刑事罰化
- 第2条:売春者は処罰しない
- 第3条:脱出支援予算を国が義務化
6. 日本の導入シナリオ(段階的アプローチ)
| フェーズ | 内容 |
|---|---|
| ① 議論喚起 | 国会・メディアで「北欧モデル」特集 |
| ② パイロット | 東京都・大阪府で「買春摘発強化+支援モデル事業」 |
| ③ 法改正 | 売春防止法の大改正(買春罰則+支援強化) |
| ④ 国際連携 | ASEAN諸国と「人身取引需要抑制」共同宣言 |
結論:日本が学ぶべき本質
「売春は需要が作る」
ノルウェーモデルは、需要を罰することで市場を縮小し、被害者を救済するという逆転の発想。
日本が風俗文化・性犯罪の根絶を目指すなら、
「買う側を罰する」勇気と、
「売る側を支える仕組み」
の両輪が必要。
一歩踏み出すなら、今。
2026年WBCの「宿命の対決」ならぬ、
性搾取との宿命の対決に、日本も挑むべき時が来た。
北欧モデル #売春防止法改正 #被害者中心の法制度
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