1965年日韓請求権協定の詳細まとめ
正式名称:日本国と大韓民国との間の財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する協定(通称:日韓請求権協定)
締結日:1965年6月22日
発効日:1965年12月18日
署名者:日本の椎名悦三郎外務大臣、韓国の李東元(イ・ドンウォン)外務部長官
協定の主な内容(全8条+付属議事録)
| 条文 | 内容の要点 |
|---|---|
| 第1条 | 日本は韓国に対し、無償3億ドル(当時約1,080億円)、有償2億ドル(年利3.5%、20年据置後20年分割返済)の経済協力を供与。商用借款としてさらに3億ドル以上の民間融資を可能とする。 |
| 第2条 | 両国及びその国民(法人を含む)の財産、権利、利益及び請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決された」ことを確認。 |
| 1. 1910年8月22日以前に生じた一切の請求権 | |
| 2. 両国間の協定・条約により日本が韓国に引き渡すべき財産等 | |
| → これらは「いかなる主張もすることができない」 | |
| 第3条 | 協定の解釈・実施に関する紛争は、まず外交ルートで解決。解決しない場合は仲裁委員会に付託。 |
| 付属議事録 | 協定で言う「国民」には法人も含むことを明確化(企業への請求権も対象)。 |
供与された資金の実績(1965~1975年の10年間)
| 種類 | 金額(当時米ドル) | 現在の価値目安(2025年基準) |
|---|---|---|
| 無償供与 | 3億ドル | 約3.2兆円 |
| 有償供与(政府借款) | 2億ドル | 約2.1兆円 |
| 民間商用借款 | 約3.06億ドル | 約3.3兆円 |
| 合計 | 約8億ドル | 約8.6兆円 |
この資金は、韓国側で以下のように使われた(韓国政府公式資料より):
- ポスコ(浦項製鉄、当時の正式名称:浦項総合製鉄株式会社)の建設(日本からの技術・設備供与含む)
- 京釜高速道路建設
- 漢江総合開発事業(ダム・発電所など)
- 鉄道・港湾整備 など
協定の対象となった請求権の範囲(日本政府の公式見解)
- 朝鮮半島出身者の徴用工に対する未払い賃金・補償金
- 戦後韓国に取り残された在日韓国人の預金・保険金
- 日本が朝鮮総督府時代に建設した財産(ソウル駅舎、鉄道など)
- 個人・法人の一切の対日請求権
→ 日本政府は「個人請求権の実体は消滅していないが、国家として外交保護権を放棄したため、韓国国民は日本政府・企業に対して請求できない」と解釈。
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韓国側の公式立場(歴代政権による変遷)
| 年 | 政権 | 公式立場 |
|---|---|---|
| 1965年 | 朴正煕 | 「請求権問題は完全かつ最終的に解決」と国会で明言 |
| 2005年 | 盧武鉉 | 民官共同委員会で「強制動員被害は協定の対象外」と解釈変更 |
| 2010年 | 李明博 | 日本側に追加謝罪・補償を要求 |
| 2018年 | 文在寅 | 最高裁判決で「個人請求権は協定で消滅していない」と確定 |
| 2023~24 | 尹錫悦 | 「協定は有効。韓国側財団で肩代わり解決」を推進 |
| 2025年~ | 李在明 | 財団継続を明言する一方、司法判断を尊重(曖昧な立場) |
国際法上の評価(第三国の見解例)
- 米国国務省(1965年当時):協定を「最終的解決」と評価し、支持を表明。
- 国連人権委員会など:強制労働そのものの違法性は認めつつ、賠償責任が協定で解決済みとの見解が主流。
- ウィーン条約法条約(第27条・第30条):国内法(韓国憲法や判決)をもって国際協定の不履行を正当化できない。
まとめ:協定の核心ポイント
- 日本は総額約8億ドル(現在の価値で約8.6兆円)という巨額の経済協力を提供済み。
- 協定第2条で「完全かつ最終的に解決」と明記され、個人・法人の請求権も対象に含まれる。
- 日本政府は一貫して「協定違反」と主張。韓国司法は2018年以降「個人請求権は存続」と判断。
- 2025年現在も、この解釈の対立が日韓間の最大の火種となっている。
この協定は、当時の韓国にとって国家再建の「命綱」であり、同時に現在も両国を縛る「呪縛」となっている、まさに歴史的な文書です。
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