「育休もらい逃げ」とは
「育休もらい逃げ」は、育児休業(育休)を取得し、雇用保険から支給される育児休業給付金を受け取りながら、育休終了後に元の職場に復帰せずに退職(または転職)することを指すネットスラングです。主に女性のケースで批判的に使われることが多く、「制度の悪用」「ずるい」「将来の育休取得者に迷惑をかける」といった声が上がります。
この言葉が急に注目されたのは、2025年12月頃に読売新聞の投稿サイト「発言小町」で、育休中に転職活動をし復帰せずに退職した女性の相談が掲載され、厳しい批判コメントが相次いだことがきっかけです。SNSやニュースで拡散され、賛否両論の議論が広がりました。
- 批判側の主な意見:
- 育休は「職場復帰を前提とした制度」なので、給付金だけもらって辞めるのはモラルに反する。
- 代わりの人員を雇わず待っていた職場に負担をかける。
- こうした行為が増えると、企業が育休を敬遠し、後輩女性の取得が難しくなる。
- 擁護側の主な意見:
- 法律上は全く問題ない。育児休業給付金は復職を「促進」する目的はあるが、強制ではない。最初は復職予定だったが事情が変わるケースも多い。
- 給付金は雇用保険(税金・保険料)から出るもので、企業負担はない。
- 少子化対策として出産・育児を支援する制度の本質から、退職しても社会全体の利益になる場合がある。
- 批判は「嫉妬」や構造的な問題(育児両立の難しさ)を個人のせいにするもの。
専門家(女性労働問題研究者)の見解としても、法的には権利行使で問題なく、制度の背景は復職促進だけでなく出産・育児のしやすさにあると指摘されています。
育休の最新情報(2025年12月現在)
日本の育児休業制度は、育児・介護休業法に基づき、2025年に段階的な改正が施行されています。主なポイントは以下の通りです(厚生労働省情報に基づく)。
スポンサーリンク
2025年4月施行の主な改正
- 出生後休業支援給付金の新設:産後パパ育休(出生時育児休業)や通常育休と合わせて最大28日間、手取り額がほぼ10割(賃金の80%相当)になる給付金。
- 残業免除の対象拡大:小学校就学前(従来は3歳未満)の子を養育する労働者が請求可能。
- 男性育休取得率の公表義務拡大:従業員300人超の企業で義務化(1000人超は従来から)。
- 子の看護休暇の拡充:対象子が小学校就学前までに拡大。
2025年10月施行の主な改正
- 3歳以上小学校就学前の子に対する柔軟な働き方措置の義務化:企業はテレワーク、時差出勤、短時間勤務などを2つ以上提供し、労働者が選択可能。
その他、全体として男性の育休取得促進や、仕事と育児の両立支援が強化されています。給付金の支給要件も一部厳格化され、「もらい逃げ」批判への対応として復職意向の確認がより重視される動きがありますが、退職自体を禁止するものではありません。
育休制度は少子化対策の重要な柱です。取得を考えている方は、ハローワークや厚生労働省のサイトで最新情報を確認することをおすすめします。
スポンサーリンク