1. 原告の請求をいずれも棄却する。
  2. 訴訟費用は原告の負担とする。

詳細 解説 今後の展開

詳細

この裁判は、日本保守党代表の百田尚樹氏が、元同党所属の飯山あかり氏(イスラム思想研究者、政治家)を相手に起こした名誉毀損訴訟です。事件番号は令和7年(ワ)7669で、東京地方裁判所民事42部が担当。通称「ゴーストライター訴訟」と呼ばれています。

  • 訴訟の経緯: 2025年3月2日、飯山氏が自身のYouTubeチャンネル「飯山あかりちゃんねる」で、百田氏について「百田尚樹さんには、ゴーストライターがいるって人から、聞いたんですよ」と発言。これを百田氏が名誉毀損として提訴。百田氏は小説家としても知られ、この発言が自身の作家としての信用を傷つけたと主張し、220万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めました。背景には、日本保守党内の内紛があり、両者の対立が先鋭化していました。百田氏が飯山氏を「暗がり」などと揶揄した先行発言に対する反撃として、飯山氏が「百田構文」(百田氏の独特な推測スタイル)を模倣した皮肉を含んだ発言だったとされています。 0 2 8
  • 判決内容: 2025年12月22日、東京地裁103号法廷で判決が言い渡されました。主文は以下の通り:
  1. 原告(百田氏)の請求をいずれも棄却する。
  2. 訴訟費用は原告の負担とする。
    つまり、百田氏の主張は認められず、飯山氏の勝訴となりました。判決理由は省略されましたが、詳細な判決文によると、発言は事実の摘示ではなく感想や皮肉として理解され、百田氏の社会的評価を低下させるものではないと判断されています。傍聴席は25人程度で、傍聴券が配布される注目裁判でした。 1 3

解説

この判決は、民法上の名誉毀損(不法行為)の要件を満たさないという点が核心です。名誉毀損が成立するには、①事実の摘示(証明可能な事項の主張)、②社会的評価の低下、③違法性の3つが必要です。

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  • 事実の摘示ではないと判断: 裁判所は、飯山氏の発言を「対立状況での皮肉や感想」と位置づけました。百田氏の先行発言(例: 飯山氏の記事を「9割手直ししたんちゃうか」との推測)に対する返しで、視聴者が真実として受け取るとは考えにくい。単なる「聞いた話」のレベルで、具体的な証拠に基づく主張ではないため、事実摘示に当たらないとされました。 7
  • 社会的評価の低下なし: 両者が公人同士で激しい論争中だったため、一般視聴者は発言を「非難の延長」として捉えるはず。発言の一部を切り取って信じる人は少数で、全体の文脈から百田氏の名誉が実質的に損なわれたとは言えない。言論の自由(憲法21条)を考慮し、公人間の批判は一定の受忍限度があると見なされた可能性が高いです。 2
  • 全体の文脈: 日本保守党の内部分裂が背景にあり、百田氏側はこれを「スラップ訴訟」(言論封じのための訴訟)と批判されるケースもありますが、裁判所は百田氏の主張を退けました。保守党は他にも複数の訴訟を抱えており(例: 河村たかし氏離党関連、近藤倫子氏関連)、党のイメージに影響を与えています。一方、飯山氏は判決後、自身のチャンネルで「全面勝訴」と解説し、判決文を公開。発言の意図を「百田氏の稚拙さを皮肉っただけ」と強調しています。 5 6

この判決は、オンラインでの公人批判がどこまで許容されるかの事例として注目され、似た論争(例: 政治家間のSNS攻撃)で参考になるでしょう。

今後の展開

  • 控訴の可能性: 百田氏側が不服として東京高等裁判所に控訴する余地があります。控訴期限は判決日から2週間以内(2026年1月5日頃まで)。百田氏の代理人(福永活也弁護士)は判決を「厳しめな案件」と事前に評しており、控訴すれば審理が長引く可能性。控訴審では判決理由の詳細が争点になるかも。 4
  • 党内の影響: 日本保守党は党員費値上げや他のスキャンダル(LGBT法反対の言行不一致、被災地支援放置など)で支持率が低迷中。この敗訴で党の信頼がさらに低下し、資金面(訴訟費用負担)で圧迫される恐れ。飯山氏は党離脱後、独立した活動を続けているため、影響は限定的ですが、保守層の分裂を助長するかも。 28
  • 関連訴訟の連鎖: 保守党は飯山氏関連で他の訴訟(例: 猫組長氏のカンパ返還請求)も抱えており、泥沼化のリスク。飯山氏側が反訴を検討する可能性も指摘されています。全体として、2026年の選挙や党運営に悪影響が出る公算大です。 26
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