米国防総省(DIA)報告書の詳細について
ユーザーのクエリは、岡田克也氏と有本香氏の議論で言及された「米国防総省報告書」を指していると思われます。これは、2019年1月に米国防情報局(Defense Intelligence Agency: DIA、国防総省傘下の情報機関)が公表した『China Military Power Report』(中国軍事力報告書)です。正式タイトルは“China Military Power: Modernizing a Force to Fight and Win”(2019年版)で、米国防総省の年次中国軍事力報告書とは別物ですが、内容が重なる部分があります。
報告書の概要
- 公表年: 2019年1月
- 主な内容: 中国人民解放軍(PLA)の近代化、戦略、能力を分析。中国が米国や他の国々(日本を含む)に対して「政治戦争(political warfare)」を行っていると評価。
- 関連部分(p.99): 中国軍が日本に対する「政治闘争(political struggle)」の一環として、日中友好7団体(中日友好七団体)を利用している可能性を指摘。これには日中友好議員連盟が含まれる。
- 具体的に、中国共産党の統一戦線工作部やPLAが、これらの友好団体を活用して日本国内の世論や政策を中国側に有利に動かす「影響力作戦(influence operations)」を行っていると警告。
- ただし、報告書は「日本側の議員らが意図的に協力しているかは不明」と慎重に注記。直接的な「スパイ機関」と断定せず、利用されるリスクを警鐘。
この記述が、有本香氏の発言の根拠となっています。有本氏はこの報告書と、2019年6月のJamestown Foundation(米シンクタンク)報告書(”A Preliminary Survey of CCP Influence Operations in Japan”)を併せて引用。Jamestown報告書はDIA報告を基に、より具体的に日中友好議員連盟を「中国共産党の影響力作戦のツール」と分析しています。
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岡田克也氏側の主張と反論
- 岡田氏は「報告書に日中友好議員連盟の直接言及はない」「存在しない」と主張し、有本氏に証拠提示を要求(文書照会)。
- 実際の報告書では、日中友好7団体全体を挙げており、議員連盟を個別に名指ししていない場合が多い。ただし、複数のメディア・分析で「日中友好議員連盟が最有力」と解釈され、警戒対象として扱われています。
バランスの取れた評価
- 米側の懸念は現実的: 中国の統一戦線工作(影響力拡大のための非軍事的手法)は、米国政府・シンクタンクで広く認識。日本以外の国々でも同様の友好団体が問題視されています。
- 過度な解釈のリスク: 報告書は「利用される可能性」を指摘するもので、日本人議員の「親中派」活動を一律にスパイ行為と断定していません。外交対話の窓口として機能する側面も認められるべき。
- 最新状況: 2025年現在も、米国防総省の年次報告書(例: 2024-2025年版)で中国の影響力作戦は継続的に警告されていますが、日中友好議員連盟の具体名は最近のものでは薄れています。
この報告書は公開資料で、DIA公式サイトからダウンロード可能です。議論の文脈では、中国脅威論 vs. 日中対話必要論の対立を象徴しています。追加の具体的なページ引用が必要でしたらお知らせください。
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