テスラの欧州販売激減のニュース詳細
2025年、テスラの欧州(主にEU域内)での販売台数は大幅に減少しました。欧州自動車工業会(ACEA)のデータによると:
- 2025年1〜11月累計:約129,000台(前年比約-38.8%)。2024年同期は約211,000台でした。
- 11月単月:EU域内で12,130台(前年比-34%)、市場シェアは2.1%から1.4%に低下。
- 10月単月:約7,000台前後で-48.5%とさらに深刻。
- 主要国別の減少例(11月):
- フランス:-58%
- スウェーデン:-59%
- デンマーク:-49%
- オランダ:-44%
- ドイツ:大幅減(2年間で-64%超の市場も)
一方、欧州全体のEV市場は好調で、2025年1〜11月のバッテリーEV販売は約230万台(前年比+27%)、EVシェアは18.8%に上昇。テスラは市場成長に逆行する形でシェアを大幅に失いました。
例外はノルウェーで、税制変更による前倒し需要で販売が急増(11月で約6,200台、ほぼ3倍)。これを除くと、欧州全体の減少幅は-36%超とより深刻です。
分析:減少の主な理由
テスラの欧州販売低迷は複数要因が絡んでいます:
- 競争激化:
- 中国メーカー(BYD、SAIC/MGなど)の台頭。中国ブランドの販売は急増(BYD:+240%、MG:+39%)。
- 従来メーカー(VW、BMWなど)も新型EVを大量投入。欧州では150以上のEVモデルが選択肢としてあり、テスラのModel Y/3中心の古いラインナップが陳腐化。
- 安価な中国EVが価格競争で優位。
- Elon MuskCEOの政治的発言への反発:
- Musk氏の欧州極右政党支持や政治介入が、特にリベラル層の多い欧州消費者から不買運動を誘発。
- 販売低迷が加速した2024年末頃から顕著で、ブランドイメージ悪化が指摘されています。
- モデル更新の影響:
- Model Yの「Juniper」リフレッシュ版投入で、買い控えが発生。一部市場で安価版を投入したが、効果限定的。
- 市場全体の変化:
- ハイブリッド/PHEVの人気上昇で純EV需要が相対的に分散。
- 補助金削減の影響も残るが、2025年のEV市場成長に対しテスラだけが減少。
これにより、テスラの欧州BEVシェアは2024年の約16-18%から2025年には7-10%台に急落しました。
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今後の展望(2026年以降)
2026年はテスラにとって転機となる可能性がありますが、リスクも高いです:
- ポジティブ要因:
- 新モデル投入:安価な次世代モデル($25,000〜30,000クラス、Robotaxi/Cybercab含む)の生産開始予定。欧州でも低価格帯で競争力回復の期待。
- FSD(Full Self-Driving)の展開:欧州5カ国でデモ開始、2026年に本格承認・展開で差別化可能。Robotaxiの本格生産(2026年4月予定)が成功すれば、高収益のソフトウェアビジネスへシフト。
- エネルギー事業成長:Megapackなどのストレージが欧州で需要増。
- ネガティブ要因:
- 競争はさらに激化(中国メーカーの工場進出、欧州関税の影響)。
- Musk氏の政治的イメージが継続的に悪影響。
- 規制承認の遅れ(特に無人運転)でRobotaxi展開が遅れるリスク。
- 価格競争でマージン圧迫継続の可能性。
全体として、2026年は「自律運転と新モデル次第」で回復するか、さらにシェア喪失かが分かれる年になりそうです。アナリスト予想では、欧州販売の底打ちを期待する声もある一方、ブランド回復が鍵と指摘されています。テスラのグローバル成長(特に米国・アジア)が欧州の低迷をカバーする形が続く可能性が高いです。
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