BYDのPHEV技術詳細（2025年現在）

BYDのプラグインハイブリッド（PHEV）技術は、主にSuper DM（Dual Mode）技術と呼ばれるシステムで、欧州市場向けに展開されています。中国国内では第5世代DM技術（2024年発表）が主力で、欧州モデルもこの進化版を基にしています。従来のPHEVとは異なり、電気駆動を優先した設計が特徴で、EVのような走行感を実現しつつ、ガソリンエンジンを補助的に活用します。

基本コンセプト：Super DM技術

• 電気優先（Electric-first）アプローチ：主動力は高出力電動モーターと大容量バッテリー。ガソリンエンジンは主に発電機（レンジエクステンダー）として機能し、必要時のみ直接駆動を補助。
• 従来PHEVの逆：多くのPHEVはエンジン主導だが、BYDは「EVの快適性 + ハイブリッドの実用性 + ガソリン車の利便性」を統合。
• DM-i vs DM-pの違い：
• DM-i：効率・燃費重視（Intelligent）。前輪駆動中心で、日常使いに最適。欧州のSeal U DM-iやSealion 6などがこれ。
• DM-p：性能・パワー重視（Powerful）。四輪駆動で加速・ハンドリング強化。欧州では一部モデルに採用。
• 充電で最大節約可能だが、充電しなくても高効率（バッテリー切れ時も低燃費）。

主要コンポーネント

1. エンジン：

• 主にXiaoyun 1.5L（自然吸気またはターボ）専用ハイブリッドエンジン。
• 第5世代では熱効率46.06%（世界最高レベル）。従来の43%から向上。
• 高効率ゾーンを80%に拡大し、低負荷時も最適発電。

1. 電動モーターとEHS（Electric Hybrid System）：

• 高統合型：デュアルモーター、デュアルコントローラー、オイル冷却技術。
• モーター効率97%以上、電力密度最大5.5 kW/kg。
• E-CVT（無段変速）でスムーズな動力伝達。

1. バッテリー：

• Blade Battery（LFP、リン酸鉄リチウム）の専用版。
• 容量：10〜18.3 kWh（モデルによる）。純EV航続70〜125km（WLTC/CLTC）。
• 安全性高く、ハイブリッド向けに最適化。

1. 制御システム：

• インテリジェント管理：モード選択不要で自動最適化。
• 回生ブレーキ + 外部充電対応。

性能例（欧州主力モデル：Seal U DM-i）

• システム出力：218 PS（160 kW）、トルク300 Nm以上。
• 加速：0-100 km/h 約8.9秒。
• 燃費：ハイブリッドモードで約0.9〜2L/100km（充電時）。バッテリー切れ時も低燃費。
• 総合航続：1,000km超（中国第5世代モデルでは2,100km達成）。
• 駆動：FWD（前輪駆動）中心。一部AWD。

第5世代DM技術の進化点（2024-2025主力）

• 世界記録：エンジン熱効率46.06%、損失電時燃費2.9L/100km、総合航続2,100km。
• アーキテクチャ向上：動力・熱管理・E/E（電気電子）統合。
• 欧州モデルもこの恩恵を受け、充電インフラ不足の市場でPHEV需要を捉える。

強みと欧州戦略への適合

• 航続距離不安解消：純EVモードで日常、エンジンで長距離。
• 低コスト・高効率：自社バッテリー/モーター生産で価格競争力。
• 課題：ブランドイメージ構築、規制対応。

BYDのPHEVは、テスラの純EVとは異なり「移行期の最適解」として欧州で急成長中。2025年以降、新モデル投入でさらに進化が期待されます。