いいえ、医学的には許容範囲ではありません。特に他人が(たとえ夫婦でも)「食べさせる」行為は、非常に危険で推奨されない対応です。話題になっているケースは、弁護士の福永活也氏がXで「蟹アレルギーの妻に無理やり蟹を大量摂取させてます」などと投稿し、炎上した事例ですね。妻(元アイドルの中西香菜さん)が後から補足で「血液検査で軽~中等度陽性だったが、医師の指導のもと少量から試して症状が出ず、今は食べられている」と説明しています。ただし、これは結果的に大丈夫だった個別の成功例であって、一般論として推奨できるものではありません。以下に医学的な観点から整理します。血液検査の「軽度~中等度陽性」(クラス2~3程度)の意味

  • 日本でよく使われる特異的IgE抗体検査(RASTやImmunoCAPなど)では、クラス分けで陽性度を示します。
    • クラス0:陰性
    • クラス1:疑陽性~弱陽性
    • クラス2:軽度陽性
    • クラス3:中等度陽性
    • クラス4以上:強陽性
  • 陽性=必ず症状が出るわけではない。特に甲殻類(エビ・カニ)はダニやゴキブリとの交差反応で偽陽性が出やすいです。
  • 逆に、数値が低くてもアナフィラキシー(重症アレルギーショック)を起こす人もいます。
  • 診断のゴールドスタンダードは**「実際に食べて症状が出るかどうか」**(経口負荷試験)です。血液検査だけでは「感作(抗体がある状態)」はわかっても、アレルギー疾患とは確定しません。

カニアレルギー(甲殻類アレルギー)の特徴とリスク

  • 成人の食物アレルギーで頻度が高く、重症化しやすい代表格です。
  • 主なアレルゲンはトロポミオシンというタンパク質で、エビとカニは交差性が高い(エビアレルギーの人の2/3以上がカニでも反応)。
  • 症状は即時型(摂取後数分~2時間以内)が典型的:蕁麻疹、口周囲のかゆみ、腹痛、嘔吐、呼吸困難、アナフィラキシー。
  • 特に怖いのは食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA):カニを食べてから2時間以内に運動・飲酒・入浴・ストレスなどで急激に重症化するタイプ。予測不能です。
  • 一度アナフィラキシーを起こした人は、次回は微量でも重症化するリスクが跳ね上がります。

「食べさせてみる」行為の医学的評価

スポンサーリンク
  • 医師の管理下で少量から段階的に行う経口負荷試験 → これは専門施設で安全に実施される診断・治療の一環で、許容されます。
  • 自己判断や家族の判断で「試しに食べさせる」 → 絶対に推奨されません。理由:
    • 症状が出る閾値(どれくらいの量で出るか)が個人差が非常に大きい。
    • 軽度陽性でも、突然アナフィラキシーを起こすケースがある。
    • 万一重症化したら、エピペン(アドレナリン自己注射)や救急対応が必要だが、家庭では即座に対応しにくい。
  • ガイドライン(日本アレルギー学会・日本小児アレルギー学会)でも「感作だけで除去を決めず、必要最小限の除去」「負荷試験は専門医のもとで」と明記されています。
  • 結果的に症状が出なかったケースは「良かった」で終わりますが、出ていたら命に関わる可能性があります。

結論

  • 妻本人が医師の助言のもとで少量から試して問題なかった、というのは個別の幸運な結果です。
  • しかし「血液検査で軽度~中等度陽性だから、家族が無理やり食べさせてみる」は医学的に許容範囲外です。リスクが大きすぎます。
  • アレルギー疑いがある場合、必ずアレルギー専門医(呼吸器内科・アレルギー科・小児アレルギー科)を受診し、適切な負荷試験や管理方針を決めましょう。自己流の実験は命取りになる可能性があります。

アレルギーは「食べられるか食べられないか」の二択ではなく、「どのくらいの量までなら安全か」を専門的に評価する疾患です。軽視は本当に危険なので、真似しないでください。

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください