石ノ森章太郎の作品(特に代表作『サイボーグ009』や『仮面ライダー』シリーズ)は、反戦・平和主義・軍産複合体批判・人間性・差別問題などのテーマが強く描かれているため、政治的文脈で引用・解釈されることが非常に多いです。作者自身が生前、反戦を訴える発言を繰り返し、赤旗(日本共産党機関紙)への連載や寄稿歴もあり、左派・リベラル側から「政治利用」されやすい傾向があります。一方で、作品のテーマが普遍的であるため、擁護側からは「故人の思想を勝手に政権批判に使うのは冒涜」「政治利用だ」との反発が起き、議論が白熱しやすいです。主な政治利用の例(特に最近のもの)

  • 2026年2月の高市政権批判での『サイボーグ009』引用(最もホットなケース):
    • 高市早苗首相の施政方針演説(2026年2月20日)で武器輸出解禁・防衛力強化が強調された直後、X上で「石ノ森章太郎先生がご存命だったら、高市政権を許さないと思う」とのポストが拡散(『009』の敵組織「ブラック・ゴースト(黒い幽霊団)」=「死の商人(戦争を煽って武器を売る軍産複合体)」を、高市政権の政策に重ねて批判)。
    • 批判側:武器輸出は「死の商人」と同じで、石ノ森の反戦思想に反する。高市政権の安保政策(スパイ防止法、武器輸出拡大)は平和主義を脅かす。
    • 擁護側(栗原正尚氏ら):故人の作品をスクショ付きで政権批判に使うのは「政治利用」。石ノ森先生が高市政権を許さない根拠は不明で、作者の意向を憶測で使うのは不適切。石森プロに訴えろとの声も。
    • この議論はXトレンド入りし、数千リポスト・いいねを記録。石ノ森の地元・宮城県出身の高市首相との同郷ネタも絡み、炎上を加速。
  • 『仮面ライダーBLACK SUN』(2022年配信)関連
    • 白石和彌監督版リメイクで、1970年代全共闘・学生運動・浅間山荘事件・差別問題(在特会・ヘイトスピーチなど)をモチーフに、自民党的な権力を「巨悪」として描く。
    • 政治利用批判:歴史的事実を「自民党=絶対悪」に集約し、左翼運動の内ゲバ・失敗を外部責任に転嫁。思想をアクセサリー化し、視聴者の知性を軽視しているとの批評多数。
    • 石ノ森原作の政治性(革命・差別・権力批判)を継承したと擁護する声もあるが、過度に現代政治に寄せすぎとの指摘が強い。
  • その他の歴史的・散発的な例
    • 『サイボーグ009』のベトナム戦争編(1965年頃):ベトナムを舞台に「死の商人」の武器供給を批判。反戦運動や9条擁護で引用されやすい。
    • 赤旗日曜版連載『おわりからはじまる物語』:共産党系メディアでの執筆自体が「左翼的」と見なされ、政治利用の象徴に。
    • 仮面ライダーシリーズ全体:全共闘・左翼思想の敗北史として解釈(ブラックサン批評など)。「仮面ライダーに政治を持ち込むな」という批判自体が、石ノ森作品の政治性を無視したものだとの反論も。

なぜ政治利用されやすいか?(解説)

スポンサーリンク
  • 作品のテーマが明確に反戦・反軍産・反権力:『009』のブラック・ゴーストは軍産複合体そのもの。『仮面ライダー』もショッカー(政府・企業癒着の悪)を描く。冷戦・ベトナム戦争下の時代背景が、現代の安保・武器輸出議論に重ねやすい。
  • 作者の左派的側面:赤旗連載、反戦発言、世界一周旅行後の平和主義転換。生前「戦争はご免だ」的な信念を公言。
  • 普遍性と曖昧さ:テーマが強いが、作者の実際の政治スタンスは「面白いマンガのためなら右も左も叩く」エンタメ優先。戦中・戦後の変遷もあり、一面的解釈が批判を生む。
  • 現代の分断:高市政権の支持率が高い(60-70%台)中、ネット(特にX)でイデオロギー対立が激化。作品を「盾」にした批判 vs. 「利用反対」の応酬が繰り返される。

今後の展望高市政権の安保政策(武器輸出・防衛強化)が国会で本格化すれば、『009』の「死の商人」引用はさらに増える可能性大。参院選前後で反戦団体・左派メディアが活用し、X炎上が再燃するかも。一方、石森プロや研究者・ファンからは「作品の文脈を尊重せよ」「作者の意図を超えた憶測は避けろ」との声が強まり、過度な利用は逆効果に。真の議論のためには、スクショ頼みではなく政策のメリット・デメリットをデータで検証する方向へシフトする必要があるでしょう。石ノ森作品は「政治の道具」ではなく、人間の愚かさと尊厳を描く普遍的な物語として読むのが、作者の真意に近いはずです。

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください