坂口志文氏のノーベル賞受賞と経歴

2025年10月6日、スウェーデンのカロリンスカ研究所は、2025年のノーベル生理学・医学賞を、坂口志文氏(大阪大学特任教授、京都大学名誉教授)ら3人に授与すると発表しました。受賞理由は、過剰な免疫反応を抑える「制御性T細胞」の発見とその免疫疾患における意義の解明です。この発見は、自己免疫疾患やがん免疫療法の基盤となり、賞金総額1,100万スウェーデンクローナ(約1億7,000万円)が3人で分けられます。授賞式は12月10日にストックホルムで開催されます。 0 1 2 3

坂口氏の研究は、免疫系の暴走を防ぐ制御性T細胞のメカニズムを明らかにし、がん治療やアレルギー治療への応用が期待されています。以下に、坂口氏の主な経歴をまとめます。

基本プロフィール

  • 生年月日・出身: 1951年1月19日生まれ、滋賀県出身。
  • 学歴:
  • 大阪大学医学部卒業(1975年)。
  • 大阪大学大学院医学研究科博士課程修了(1980年、医学博士)。
  • 現在の所属: 大阪大学免疫学フロンティア研究センター(IFReC)特任教授、京都大学名誉教授、大阪大学栄誉教授。

職歴と研究の歩み

  • 1980年代: 大阪大学医学部助教授として免疫学研究を開始。初期はT細胞の機能解析に注力。
  • 1990年代: 京都大学分子生物学研究所教授に就任。制御性T細胞の存在と役割を体系的に解明する研究を推進。当時は「免疫抑制」の考えが主流でなく、逆風の中での研究でした。
  • 2000年代: 京都大学免疫学・遺伝学分野教授。2006年頃に制御性T細胞の分子マーカー(Foxp3など)を特定し、国際的に注目を集めます。
  • 2010年代以降:
  • 2011年: 大阪大学免疫学フロンティア研究センター(IFReC)招聘教授。
  • 2016年: バイオベンチャー企業「レグセル(RegCell)」を共同設立。制御性T細胞を活用した疾患治療(がん・自己免疫疾患)を目的とし、坂口氏が最高技術責任者(CTO)に就任。妻の坂口教子氏も共同創業者。
  • 2019年: イギリス・バーミンガム大学から名誉学位授与。以降、同大学との共同研究を強化。
  • 2022年: レグセルが東京大学エッジキャピタルパートナーズなどから約5.5億円の資金調達。IFReCの国際共同研究プロジェクトに参加。

主な受賞歴(ノーベル賞以前)

  • 2008年: エンゲル賞(Engel Prize)。
  • 2010年: 井上学術賞。
  • 2013年: 文化功労者顕彰。
  • 2014年: 日本学術振興会賞。
  • 2018年: ケルヴィン・メダル(英国免疫学会)。
  • その他: 多くの国際学会賞や論文賞。制御性T細胞研究の第一人者として、数千本の論文を発表。

坂口氏のキャリアは、基礎研究から臨床応用への橋渡しが特徴で、不遇な時期を妻・教子氏と乗り越えたエピソードも知られています。 7 2 この受賞は、日本人研究者の免疫学分野での貢献を象徴するものです。詳細はノーベル財団公式サイト(https://www.nobelprize.org/)で確認可能です。

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