ニュースの概要
2025年10月4日、自民党総裁選で高市早苗氏が新総裁に選出された直後、公明党の斉藤鉄夫代表は同日午後、高市氏と党首会談を実施しました。この会談で、斉藤代表は自民党との連立政権継続に向け、「三カ条要求」として3つの懸念事項を強く伝達しました。公明党側はこれを「多くの支持者が心配している事項の解消なくして連立政権はない」と位置づけ、連立離脱の可能性もほのめかしました。
このニュースは、10月7日の自公党首会談で連立合意が持ち越されたことでさらに注目を集めています。背景には、自民党の「政治とカネ」問題(裏金事件など)や高市氏の保守色が、公明党の支持母体である創価学会の平和・中道志向と衝突する懸念があります。以下で内容を解説し、連立維持の可能性を分析します。
三カ条要求の詳細解説
斉藤代表が提示した3つの要求は、公明党の伝統的な価値観(平和主義、人間主義、公正な社会)を反映したものです。主に会談後の記者会見や関係者コメントから明らかになりました。
- 政治とカネの問題のけじめと企業・団体献金の規制強化
- 内容: 自民党の政治資金不記載問題(裏金事件)をめぐり、企業・団体献金の全面禁止や政治資金の透明性向上を求める。公明党は長年、この規制強化を主張しており、選挙大敗の原因となった自民党のスキャンダルを「最優先課題」と位置づけています。
- 背景: 高市総裁は総裁選で「政治改革」を掲げましたが、公明党は曖昧な対応を懸念。いさ進一氏(公明党関係者)の解説動画では、「これを曖昧にすれば連立は崩壊する」と強調されています。 0
- 影響: 国会召集(予定15日)がずれ込む要因の一つで、両党の協議が難航中です。
- 歴史認識と靖国神社参拝
- 内容: 靖国神社参拝が中国・韓国との外交問題を引き起こす可能性を指摘し、「適切な判断」を要求。高市氏の過去の参拝歴や総裁選での発言を念頭に、戦没者追悼は重要だが外交バランスを優先するよう求めました。
- 背景: 高市氏は保守派として靖国参拝を支持する立場ですが、公明党は創価学会の平和主義からこれを警戒。斉藤代表は「これまで外交問題に発展してきた」と具体例を挙げ、支持者の不安を強調しました。 6 中国大使との面談例も挙げられ、無闇な参拝は「危険」との声が公明党内から上がっています。
- 影響: 高市氏は「適切に判断する」と応じましたが、公明党は安倍政権時代の「閣僚の私的参拝」ルール遵守を期待。
- 外国人との共生
- 内容: 在日外国人(労働者・留学生など)の人権尊重と公正な社会構築を求める。ルールを守る外国人にはケアを提供し、違反者(例: 犯罪や人権侵害)は厳正対応するバランスを要求。
- 背景: 高市氏の移民政策や外国人労働者規制の保守的スタンスが、公明党の「人間らしい対応」を重視する姿勢と対立。いさ進一氏の動画では、「能力を発揮できる社会」をキーワードに、共生社会の議論を促す内容が語られています。 0
- 影響: 少子高齢化対策で外国人労働が必要な中、この要求は政策の柔軟性を試すもの。
これらの要求は、10月4日の初会談で提示され、7日の2回目会談でも再確認されました。公明党は「支持率低下を招く自民の体質」を問題視し、学会幹部との極秘会合で連立離脱の議論も浮上しています。 2
連立政権維持の可能性
可能性が高い理由(維持シナリオ: 70-80%)
- 選挙・集票の相互依存: 自民党は公明党の組織票(特に都市部)が不可欠で、公明党も自民との連立で政策実現(福祉・平和外交)を優先。過去の安倍・菅政権下でも、靖国問題で妥協してきました。国民民主党の古川元久氏も「自民は公明を甘く見るな」と指摘する一方、離脱は「現実的でない」との見方が強いです。 8
- 高市総裁の柔軟性: 高市氏は会談で「政策協議を進める」と応じ、靖国参拝を「適切に判断」と柔軟姿勢を示しました。10月中に臨時国会で首相指名選挙を行うため、合意急ぐ圧力があります。
- 外部要因: 野党(立憲・維新)の分裂状態で、自公連立が政権基盤の安定を提供。公明党の支持率(約3-5%)も連立で維持しやすい。
可能性の低い理由(離脱シナリオ: 20-30%)
- 公明党内・支持者の反発: 創価学会内で「高市氏の保守色は許容不能」との声が高まり、連立離脱論が広がっています。 9 斉藤代表の「温厚さ」が強調される中、ここまで強い発言は異例で、党内圧力が強まれば離脱へ傾く可能性。
- 自民側の対応次第: 「政治とカネ」で抜本改革が進まなければ、公明党は「連立拡大」(維新など)を検討する動きも。7日の会談で合意持ち越しは、隔たりが深い証拠です。 3
- タイムラインのプレッシャー: 国会召集が遅れれば、予算編成や外交に悪影響。公明党が「解消なくして連立なし」との線引きを崩さない場合、少数与党化のリスク。
全体の見通し
連立維持の可能性は高いものの、10月中の協議で「政治とカネ」の具体策(献金規制法案提出など)が鍵。公明党は「現実的な要求」として位置づけ、高市政権の「試金石」としています。離脱すれば自民党の支持率急落(現在約25%)を招き、衆院解散総選挙の引き金になる可能性も。最新動向は、10月8日以降の党首会談次第です。詳細は産経ニュースや日本経済新聞の報道を参照してください。