ニュース解説:サンリオの2026年3月期決算発表と株価急落
2025年11月5日、サンリオ(8136)は2026年3月期第2四半期(4-9月)決算を発表し、通期業績予想を上方修正しました。しかし、市場の期待を下回ったと見なされ、翌6日の東京株式市場で株価は前日比1,153円(15.44%)安の6,310円まで急落。3カ月ぶりの安値を更新し、売買高も活発化しました。この動きは、決算発表直後の「材料出尽くし」と、修正幅の「物足りなさ」が主因です。以下で詳細を解説します。
決算のハイライト
- 上期(4-9月)実績:
- 売上高:876億円(前年同期比39.6%増)
- 営業利益:391億円(同66.1%増)
- 好調要因:ハローキティをはじめとする自社キャラクターの国内外人気拡大、グローバル複数キャラクター戦略の成果(例:ライセンス事業の全地域伸長)。国内ではテーマパーク(サンリオピューロランド)と店舗のインバウンド需要が寄与。海外では万博関連コラボ施策も上積み。
- 通期予想の上方修正:
- 売上高:1,843億円(前回予想比9.2%増、前年比27.1%増)
- 営業利益:702億円(同4.3%増、前年比35.5%増)
- 経常利益:740億円(同4.8%増、前年比33.3%増)
- 純利益:530億円(同4.0%増、前年比18.3%増)
- 配当:年間62円(中間31円、期末31円、前回予想比2円増、増配実施)。
これにより、サンリオは3期連続の増収増益を維持する見通しです。会社側は「グローバル戦略の成功とキャラクター人気の高まり」を強調しています。
なぜ株価が15%安? 市場の反応分析
株価急落の背景は、業績の「質」と「期待値のギャップ」にあります。以下に主なポイントを整理します。
- 修正幅の控えめさ(「物足りない」評価):
- 上期の爆発的成長(売上39.6%増、利益66.1%増)に対し、通期修正は売上9.2%増、利益4-5%増と相対的に小幅。市場コンセンサス(アナリスト予想の経常利益約732億円)をわずかに上回ったものの、第1四半期のモメンタム継続を期待した投資家には「サプライズ不足」。特に、下期(10-3月)の成長鈍化を示唆する内容が失望を呼んだ。
- X(旧Twitter)上でも、「上方修正なのに15%安はおかしい」「期待が大きすぎた」との声が散見され、短期トレーダーのパニック売りが加速。
- 海外事業の減速懸念:
- 上期は日本部門(インバウンド効果)が牽引したが、米州・アジア地域で前四半期比(QoQ)減速が見られた。一過性の万博効果剥落リスクや、為替変動(円高圧力)が下期の重しになるとの分析。全体PER(株価収益率)は約40倍と高水準で、成長鈍化の兆しが「割高感」を助長。
- 市場全体のセンチメント:
- 11月5日の決算発表日、サンリオはトヨタなど大型株の決算ラッシュと重なり、全体相場が軟調。材料出尽くしで利益確定売りが集中し、PTS(夜間取引)では下落幅が抑えられていたが、本格取引で一気に崩れた。
| 項目 | 前回予想 | 新予想 | 修正率 | 前年実績比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,690億円 | 1,843億円 | +9.2% | +27.1% |
| 営業利益 | 673億円 | 702億円 | +4.3% | +35.5% |
| 純利益 | 510億円 | 530億円 | +4.0% | +18.3% |
(出典:会社発表資料)
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今後の予想:回復基調もボラティリティ高め
- 短期(1-3ヶ月):下落は「買い場」との見方あり。アナリストの目標株価は平均8,600円前後で、現在の6,310円は割安圏。Xでは「パニック売り後の反発期待」の投稿も。12月の下期進捗発表でインバウンド継続を確認できれば、7,000円台回復の可能性。ただし、米中貿易摩擦や円高進行で海外売上圧迫リスクあり(確率:50%程度)。
- 中期(6-12ヶ月):グローバル戦略の継続で売上2,000億円超え、利益率20%超を維持可能。ハローキティ50周年(2024年完了後遺産)や新IP(知的財産)展開が成長ドライバー。2027年3月期は前年比15-20%増益予想。ただし、競合(ディズニーなど)のキャラクター飽和やテーマパーク投資負担が課題。
- 長期:キャラクターIPの安定収益モデルが強み。配当利回り(約1.0%)は低いが、株主還元強化(自社株買い含む)で魅力増。推奨:成長株として保有継続、押し目買い推奨。
全体として、決算は堅調ですが、市場の「ハイエクスペクテーション」が裏目に出た形。投資家は下期の海外回復を注視し、冷静なエントリーを。最新株価は変動するので、リアルタイム確認を。
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