ニュース解説
このニュースは、2025年11月11日(FA権行使申請期間の最終日)に発表されたもので、北海道日本ハムファイターズの松本剛外野手(32歳)と東北楽天ゴールデンイーグルスの辰己涼介外野手(28歳)が、国内FA権の行使を正式に球団に申し出たことを指します。NPB(日本プロ野球機構)のFA制度では、国内FA権取得選手が権利を行使する場合、11月7日から12日までの期間に申請書類を提出し、11月13日から他球団との交渉が可能となります。両選手とも今季で国内FA権の資格を新たに取得しており、松本は14年目のベテランとして、辰己は7年目の若手リーダーとして、キャリアの転機を迎えた形です。
- 松本剛の場合: 帝京高校から2011年ドラフト2位で日本ハムに入団。内野手から外野手に転向し、2022年に打率.347でパ・リーグ首位打者(バットタイトル)を獲得するなど遅咲きの活躍を見せました。しかし、2025年は出場機会が減少(推定打率.236前後)し、選手会長としての役割が中心に。権利行使の理由として「他球団の評価を聞いてみたい」と本人が語っており、球団からは高額残留オファー(推定年俸1億円超えの複数年契約)が提示されたものの、市場価値の確認を優先した模様です。
- 辰己涼介の場合: 2019年ドラフト1位で楽天入団。俊足巧打の外野手として即戦力となり、2024年には最多安打タイトルを獲得するなどチームの中心選手に成長。2025年は不振(114試合で打率.240)とメジャー挑戦の意向が重なり、国内FA権取得(9月6日)直後にポスティングシステム(メジャー移籍の入札制度)の要望を球団に伝えましたが、シーズン中の複数回の話し合いで今オフの容認を拒否されました。海外FA権は最短2027年オフ取得のため、国内FA行使はメジャーへの「橋渡し」として位置づけられます。本人は「メジャーへの思いは変わらない」と強調し、楽天残留も視野に交渉を継続中です。
この発表は、FA戦線が本格化する直前のタイミングで、両球団のファンに衝撃を与えました。日本ハムは若手中心のチーム再建中、楽天は低迷脱却の途上で、主力流出のリスクを背負うことになります。
スポンサーリンク
分析まとめ
選手側の視点
- キャリアアップのチャンス: 松本は32歳と年齢的に「今が最後」の移籍機会。首位打者経験と守備力(外野手としてゴールデングラブ賞候補常連)を武器に、セ・リーグの強打球団(巨人、阪神など)からオファーが期待されます。辰己は28歳の若さで、メジャー志向が強く、国内移籍で年俸アップ(推定7000万円前後→1億円超え)と実績積みを狙い、将来的なポスティング容認を交渉材料に。両者とも「感謝の意」を球団に伝え、円満な移籍を望んでいますが、国内FA宣言は「残留交渉のレバレッジ」としても機能します。
- リスク: 移籍失敗で日本ハムや楽天に残留した場合、チーム内の立場が微妙に(例: 松本の選手会長ポスト)。辰己の場合、メジャー要望が国内移籍を複雑化させる可能性あり。
球団側の視点
- 日本ハム: 新庄剛志監督体制下で五十幡亮汰や矢野雅哉ら若手外野陣が台頭中。松本の流出は精神的支柱の喪失ですが、FA補償(人的・金銭的)で穴埋め可能。残留オファーを提示済みで、13日からの交渉で引き留めを図るでしょう。
- 楽天: 今季最下位(推定)と低迷続きで、辰己の離脱は打線の崩壊を招く恐れ。ポスティング拒否の背景には「譲渡金が少なく、チーム再建に寄与しない」との判断があり、国内FAでも残留を強く希望。国内FA宣言で他球団争奪戦になれば、補償金(最大2億円級)が得られますが、ファン離れの懸念も。
市場全体への影響
パ・リーグの外野手市場は流動的。松本・辰己の宣言で、阪神の近本光司(残留決定)やロッテの藤岡裕大ら他のFA選手との連鎖反応が予想されます。セ・パ交流戦の観点からも、両選手の移籍先次第で2026年シーズンの勢力図が変わる可能性大。ファンコメント(Yahoo!ニュースなど)では「選手の夢を応援」「球団のメリット不足で反対」の賛否が分かれ、NPBのFA制度の「選手有利」な側面を象徴しています。
今後の予想
- 交渉スケジュール: 11月13日から全球団(12球団)との交渉解禁。松本はセ・リーグ(巨人、ヤクルト)から打撃面のオファー、辰己はパ・リーグ残留(ソフトバンク、オリックス)かメジャー橋渡し球団(ロッテ)へ。交渉期限は12月8日までで、早期決着が濃厚。
- 移籍確率と行方:
- 松本剛: 移籍確率70%。巨人(岡本和真の負担軽減)や阪神(外野補強)へ移籍し、年俸1.2億円前後で複数年契約。残留なら日本ハムがDH/代打のベテラン役で活用。
- 辰己涼介: 移籍確率50%。楽天残留が本線だが、ポスティング再要望で折り合わず、ソフトバンク(俊足外野手不足)へ。メジャー挑戦は2026年以降にずれ込み、国内で打率.280以上復活が鍵。
- 全体予想: 両選手とも2025年12月中旬までに決着。成功すれば「遅咲きFA」の好例となり、NPBのグローバル化を加速。失敗時は両球団の「囲い込み」戦略が強まり、2026年開幕戦で新天地デビューが話題に。楽天のメジャー容認次第で、辰己の「二刀流」キャリア(国内+メジャー)が現実味を帯びます。
スポンサーリンク