膵臓がんの「早期発見」に関する正しい知識(2025年現在)
1. 現時点で一般向けに「膵臓がんを早期発見できる」検査は存在しない
- 膵臓がんは非常に発見が難しく、ステージⅠ(2cm以下)の発見率は一般検診で2~3%程度しかありません。
- 人間ドックや健康診断の腹部超音波・腫瘍マーカー(CA19-9など)では、ほぼ見逃されます。
2. 医学的に有効性が認められている唯一の早期発見法高リスク群(家族歴・遺伝性疾患のある人)に対する定期的な画像検査のみです。
| 方法 | 対象者 | 頻度 | 発見率(ステージⅠ) |
|---|---|---|---|
| MRI+MRCP | 家族性膵がん家系、遺伝性膵炎など | 1年に1回 | 約30~40% |
| 造影CT+内視鏡超音波(EUS) | 同上 | 1~2年に1回 | 約40~50% |
→ 一般の人が受ける意味はほぼありません。3. 詐欺・誇大広告の典型的な特徴(2025年現在も横行中)
| 手口・文言 | 実態・問題点 |
|---|---|
| 「血液1滴で膵臓がんを99%早期発見」 | 存在しない。マイクロRNA、線虫、AI血液検査などすべて研究段階か精度極低 |
| 「がんリスク検査キット」郵送で数万円 | 精度0に近いものを「リスク評価」と称して販売 |
| 「CA19-9が正常でも見つかる最新マーカー」 | 実際は感度・特異度が悪すぎて保険適用外、偽陽性だらけ |
| 「有名大学と共同開発」「論文発表済み」 | 論文は予備研究レベル、臨床試験なし |
| 「ステージ0・1で発見実績100人以上」 | 症例報告すら存在しない、捏造か他疾患との混同 |
| 「人間ドックで発見できないがんも発見」 | 事実と逆。人間ドックですら見逃すのに、民間検査で発見できるはずがない |
| 体験談だらけで医師の説明がない | 典型的なステルスマーケティング |
4. 2025年現在、実際に問題になった主な詐欺的検査(実名)
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- マイクロRNA検査(某社「ミアテスト」など)→ 精度30%以下で集団訴訟中
- 線虫がん検査(N-NOSEの膵臓がん版)→ 感度30%程度で「娯楽レベル」と専門医が警告
- アミノ酸インデックス(味の素系)→ 膵臓がんは精度極めて低く広告停止命令済み
- 某クリニックの「1.5テスラMRI+特殊血液検査パッケージ」15万円 → ほぼ見逃し
5. 本当に心配な人が今できる現実的な対応
- 家族に膵臓がんが2人以上いる → 大学病院の「膵臓がんハイリスク外来」へ(保険診療でMRI年1回)
- 50歳以上で急な糖尿病発症・原因不明の背部痛 → すぐ消化器内科を受診(EUS+造影CT)
- それ以外 → 現時点では有効な早期発見法はないと割り切る
結論:
「誰でも簡単に膵臓がんを早期発見できる」という広告は、2025年現在も100%詐欺か誇大広告です。
お金と時間を無駄にせず、信頼できる消化器専門医に相談するのが唯一の正解です。
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