解説トヨタ自動車は2025年11月25日、商用バン「プロボックス」の一部改良モデルを発売しました。このモデルは、発売から23年目を迎えるロングセラー(2002年デビュー、累計販売台数100万台超)で、商用車市場のトップシェア(約40%)を維持する主力商品です。今回の改良は、主に安全機能の拡充を軸とし、乗用車で実績のある最新技術「トヨタセーフティセンス(TSS 3.0)」を商用車に本格導入。背景には、交通事故死者数の高止まり(2024年約2,600人)と、商用車の事故割合(全体の25%超)が課題となる中、トヨタの「安全第一」方針(Vision Safety 2025)が反映されています。 具体的には、プリクラッシュセーフティの検知対象に「自動二輪車(昼間)」を追加し、交差点での歩行者横断支援を強化。また、パーキングサポートブレーキ(踏み間違い時自動ブレーキ)を全車標準化し、商用車の日常シーン(配送・駐車場)での事故低減を狙います。さらに、内装ではデジタルメーターと新デザインのハンドル(ステアリング)を採用し、近代化を図りました。 ハイブリッド(HV)モデルも継続し、燃費向上と環境対応を両立。価格はガソリン車191万8,400円~214万9,400円、HV車202万9,900円~226万1,600円(税込)と、商用バン市場の標準水準を維持し、即時受注生産を開始しています。 この発売は、トヨタの電動化シフト(2026年までにHV全車種化)の一環でもあり、商用車分野での競争力強化を意図したものです。 車の性能・サイズ・値段改良プロボックスは、商用バンとして「積載性」「耐久性」「燃費」を重視したスペックを継承しつつ、安全・快適性を向上。以下に主な性能・サイズ・価格をまとめます(データはトヨタ公式および最新報道に基づく)。 性能(主なスペック)
- エンジン:
- ガソリン: 1.5L直噴エンジン(1,496cc、M15A-FKS型、116PS/14.5kgf・m)。2WD/4WD対応。
- ハイブリッド: 1.5Lエンジン+モーター(システム出力122PS)。燃費重視で、市街地走行に適す。
- 燃費(WLTCモード):
- ガソリン2WD: 約15.4~16.0km/L。
- ガソリン4WD: 約14.2km/L。
- HV: 約25.0~26.5km/L(クラストップ水準)。
- 安全装備(新改良点中心):
- プリクラッシュセーフティ: 車両/歩行者/自転車に加え、バイク(昼間)検知。交差点での左折時支援強化。
- パーキングサポートブレーキ: 全車標準(アクセル踏み間違い時、障害物検知で自動ブレーキ)。
- その他: プロアクティブドライビングアシスト(前方車両との距離維持支援)、レーダークルーズコントロール、レーントレーシングアシスト。
- 積載・実用性: 最大積載量350kg、荷室長1,890mm(後席格納時)。100V/1500W電源コンセント標準(一部グレード)。
- その他: デジタルメーター(4.2インチTFT)、新ハンドルデザイン(皮巻きオプション)。フロントグリル微変更でセンサー大型化対応。
サイズ(全長×全幅×全高、ホイールベース)
- 標準ボディ: 4,420mm × 1,695mm × 1,510mm(WB: 2,550mm)。
- スーパーロングボディ(オプション): 4,695mm × 1,695mm × 1,510mm(WB: 2,825mm)。
- 最小回転半径: 4.8m(コンパクトクラス並みの取り回し良さ)。
値段(希望小売価格、税込)
| グレード例 | 駆動方式 | 価格(円) | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| DX(ガソリン) | 2WD | 1,918,400 | ベーシック、安全装備標準 |
| DX(ガソリン) | 4WD | 2,149,400 | 悪路対応強化 |
| GL(ガソリン) | 2WD | 2,009,400 | 快適装備追加(オートエアコン) |
| HV(ハイブリッド) | 2WD | 2,029,900 | 燃費重視、静粛性高 |
| HV(ハイブリッド) | 4WD | 2,261,600 | 最高級エコ仕様 |
オプション(例: ナビシステム10万円前後、4WD追加約20万円)で変動。リース価格は月額2万円台から可能。ライバルとの比較プロボックスは商用バン市場でシェアNo.1を誇りますが、主なライバルは日産「NV200バネットバン」(シェア約20%)とホンダ「N-VAN」(シェア約15%、軽商用寄り)。以下にスペック・価格・強みを比較(2025年最新モデル基準、WLTC燃費・価格は税込)。
| 項目 | トヨタ プロボックス (改良モデル) | 日産 NV200バネットバン | ホンダ N-VAN |
|---|---|---|---|
| 価格範囲 | 191.8万円~226.2万円 | 180万円~220万円 | 140万円~180万円 |
| サイズ (L×W×H) | 4,420×1,695×1,510mm | 4,400×1,695×1,860mm | 3,395×1,475×1,850mm (軽) |
| 燃費 (2WD) | 15.4~26.5km/L (HV) | 13.6~14.0km/L | 15.2~25.4km/L (HV) |
| 積載量 | 350kg、荷室長1,890mm | 350kg、荷室長1,860mm | 350kg、荷室長1,910mm |
| 安全装備 | TSS 3.0 (バイク検知、踏み間違い全標準) | インテリジェントエマージェンシーブレーキ (歩行者/自転車、バイク未対応) | Honda SENSING (歩行者/自転車、バイク未対応) |
| 強み | 安全機能最先端、耐久性高、HV燃費優秀。シェアNo.1の信頼。 | 低価格、広い室内高。EV版(e-NV200)オプション。 | 軽規格で税制優遇、旋回性抜群。低燃費HV。 |
| 弱み | 価格やや高め、内装シンプル。 | 燃費劣る、安全機能旧式。 | サイズ小、積載実用性で劣る(軽限定)。 |
| 中古相場 | 50~150万円 (流通多) | 40~130万円 | 30~100万円 |
- プロボックス vs NV200: プロボックスが安全・燃費で優位(5勝1敗)。NV200は価格安いが、改良遅れでシェア縮小中。走行安定性ではNV200が僅差。
- プロボックス vs N-VAN: N-VANは軽規格の税・維持費メリット大だが、サイズ・積載でプロボックスに劣る。安全面は互角も、プロボックスHVの静粛性が商用長距離で有利。 全体として、プロボックスは「総合力」でリード。配送業・小規模事業者向けに最適で、2025年販売目標は前年比10%増の見込みです。