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2025年12月1日、自民党の高市早苗首相と日本維新の会の吉村洋文代表が首相官邸で会談し、衆議院議員定数の約1割(45議席)削減に関する法案の骨子で合意しました。この法案は、いわゆる「プログラム法案」として、与野党による選挙制度改革の議論を1年以内に進める工程を定め、結論が出なかった場合に自動的に削減が発効する仕組みです。削減の内訳は、小選挙区289から25議席減、比例代表176から20議席減で、総定数465から420へ減少します。

具体的な小選挙区の削減対象は、自民党の試算によると、東京都3減、大阪府2減を中心に20都道府県に及びます。これは人口変動に基づく一票の格差是正を名目に、自動適用される内容です。法案は今国会で成立を目指し、12月5日にも衆議院に提出される見込みです。与党は「自動削減条項」を明記して実効性を担保する方針ですが、野党や党内からは「乱暴すぎる」との反発が相次いでいます。

分析

この法案の背景には、高市政権が連立樹立時に維新側と交わした「定数1割削減」の公約履行があります。維新は長年、議員の身を切る改革を掲げており、自民党はこれを政権維持の対価として受け入れざるを得ませんでした。しかし、自動削減の導入は異例で、過去の選挙制度改革(例: 2013年の定数是正)では合意形成を優先したのに対し、今回は「結論なき議論」を避けるための強引な装置です。

メリット:

  • 行政効率化: 議員数減少により、歳費(約2,300億円/年推定)の節減が可能。1議席あたり約5億円のコストカットが見込まれ、国民負担軽減に寄与。
  • 一票の格差是正: 人口減少が進む地方の小選挙区を減らすことで、都市部偏重を緩和。最高裁の違憲状態判断(2024年)を回避する効果も。
  • 政治改革の象徴: 維新の支持基盤(都市部改革派)を固め、自民のイメージ刷新につながる可能性。

デメリットとリスク:

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  • 党内・野党反発: 自民党内では地方議員の反発が強く、党幹部への一任が持ち越しになるほどです。立憲民主党などは「議論の先送り」と批判し、廃止を主張。X(旧Twitter)上でも「民主制廃止レベル」「合理的根拠なし」との声が広がっています。
  • 選挙への影響: 小選挙区25減は地方の自民・公明優位を崩す恐れがあり、維新の躍進を後押しする一方で、与党の議席減リスクを高めます。比例20減は中小政党の存続を脅かし、多様な意見の国会を弱体化させる懸念。
  • 国際比較: 日本の衆院定数(465)は人口比で中位(例: 米国下院435、ドイツ連邦議会736)ですが、これ以上の削減は「合理的根拠が乏しい」との指摘あり。自動条項は「政治の質より量の削減優先」との批判を招き、長期的に政策議論の停滞を招く恐れ。

全体として、この法案は短期的な改革アピールに有効ですが、与野党の合意形成を欠けば、来年の通常国会で修正や廃案の可能性が高く、政治的不安定要因となりそうです。維新の影響力が自民の政策を「維新化」させる象徴的事件と言えます。

今後の予定

  • 12月5日頃: 与党が衆議院に法案提出。自動削減条項の明記で最終調整中。
  • 12月中旬~来年1月: 今国会(臨時国会)で審議入り。与野党協議を1年以内に義務付け、結論なければ2026年末に自動発効。
  • 2026年以降: 削減実施後、次期衆院選(2028年予定)で新定数適用。追加の制度改革(合区解消など)も並行議論。
  • 不確定要素: 自民党内反発が強まれば提出延期の可能性あり。野党の修正要求で「自動」条項が骨抜きになるシナリオも。X上での世論動向(現在、批判寄り)を注視。
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