ニュース解説

2025年11月28日、高市早苗首相（自民党総裁選勝利後、女性初の首相就任）が、首相官邸で開催された第80回総合科学技術・イノベーション会議（CSTI）でのものです。会議では、小野田紀美男科学技術担当大臣から、第7期科学技術・イノベーション基本計画（2026年度開始予定）の検討状況と、ムーンショット型研究開発制度（革新的未来社会創造に向けた基礎研究）の進捗評価が報告されました。高市首相は、これを踏まえ、「高市政権の『新技術立国』実現に向け、科学技術の再興と国際競争力強化を急ぐ」との観点から、関係閣僚に3点の具体的な指示を出しました。これは、第6期基本計画（2021-2025年度）の総仕上げと連動し、AI・量子コンピューティング・バイオテクノロジーなどの戦略分野で日本を「勝ち筋産業」に導くための布石です。

発言の冒頭「優れた科学技術力、そしてイノベーションを興す人材は、強い経済の基盤です」は、高市政権の政策スローガン「新技術立国」を象徴。背景には、2025年の国際情勢（米中技術摩擦の激化、EUのグリーンイノベーション投資拡大）が挙げられ、日本の実質R&D投資比率（GDP比3.3%）が先進国平均を下回る中、基礎研究の停滞（論文引用数世界3位から低下傾向）が課題となっています。指示の核心は、①国立大学法人運営費交付金（2025年度約1,100億円規模）の増額と②基礎研究投資の大幅拡充（文科省予算の20%超を目安に、総額数兆円規模の積み増し検討）で、これにより大学・研究機関の「基盤的経費」（人件費・設備費）を強化し、短期成果主義からの脱却を図ります。全体として、2025年3月の「統合イノベーション戦略2025」策定以来の継続施策で、X上では「高市政権の科学投資ブースト」「基礎研究復活でノーベル賞連発か」との好意的な反応が広がっていますが、一部で「財源は消費税増税か？」との懸念も。 この発言は、2026年参院選前のアピールとしても機能し、経済成長率1.5%目標達成に向けた「技術立国」ビジョンを国内外に発信するものです。

今後の展開

第7期科学技術・イノベーション基本計画は、2025年末までに素案を公表し、2026年3月頃に閣議決定予定。小野田大臣主導で関係省庁（文科省・経産省・財務省など）が横断的に調整し、指示の3点（基盤経費拡充、一気通貫支援、安全保障視点）を反映した内容が盛り込まれます。具体的に、①運営費交付金の増額は2026年度予算案（総額1,200億円超）で実現の見込み、②研究開発税制の新設（戦略技術領域型・大学拠点強化型）は2026年税制改正大綱に反映、③科学技術外交は、外務省との連携でG7科学技術大臣会合（2026年日本開催）でのイニシアチブ発揮が予定。加えて、赤澤亮正経済再生担当大臣を中心に、2026年夏までに「新技術立国戦略」を策定し、研究開発法人の社会実装促進（例: 防衛調達での量子技術活用）や規制改革（AI倫理基準の国際規格化）を推進します。

影響として、大学研究者の処遇改善（ポスドク年収アップ）やスタートアップ創出（投資額2倍目標）が期待され、GDP成長寄与率0.5%押し上げ効果が見込まれます。ただし、財源確保（国債依存の懸念）や官僚間調整が課題で、2026年1月の予算案審議で焦点化。Xでは「イノベーション人材の海外流出止まるか」との議論が活発で、成功すれば高市政権の「技術立国」レガシーに繋がるでしょう。