背景と事実の概要
このニュースは、日本保守党の有本香事務総長と立憲民主党の岡田克也元外相（日中友好議員連盟副会長）との間で起きた対立を指している。発端は2025年12月21日のNHK「日曜討論」でのやり取りだ。有本氏は、岡田氏が副会長を務める日中友好議員連盟（日中議連）を「米国防総省が、中国が日本の世論や政策を中国側に有利に動かすための機関だと報告している」と指摘。これに対し、岡田氏は「侮辱だ」と抗議し、3日以内に根拠を示すよう文書で要求した 6 。
これを受けて、有本氏は12月26日、日本保守党のYouTubeチャンネル「あさ8」で反論動画を公開。米国防総省の年次報告書（2022年・2023年版）や米戦略国際問題研究所（CSIS）の資料を「証拠」として挙げ、日中議連が中国共産党の統一戦線工作（対外影響力行使）のツールとして機能している可能性を主張した。具体的に、報告書では中国の対日工作が「日本の政治家や議員連盟を通じて世論を形成する」と記述されており、有本氏は「米側が何を警告しているかは明らか」と強調。また、岡田氏の過去の発言（「国民の感情をコントロールしていかないと」）を「日本は中国や北朝鮮ではない。国民感情を国がコントロールする考えを持つ政治家に政権を任せてはならない」と批判し、公開討論を要求した 1 0 。
X（旧Twitter）上では、この対立が活発に議論されており、有本氏の反論を支持する投稿が多く見られる。例えば、米国防総省報告書の存在を指摘するものや、岡田氏に公開討論を促す声が目立つ。一方、岡田氏側を擁護する投稿は少数で、有本氏の主張を「思い込み」とする意見も散見されるが、全体として保守層の支持が強い傾向だ 9 10 18 42 46 。
情報の分析
1. 有本氏の「証拠」の妥当性
有本氏が挙げた米国防総省の報告書は、中国の軍事・対外戦略を分析した公式文書で、中国共産党の「統一戦線工作部」が外国の政治家や団体を通じて影響力を拡大していると指摘している。具体的に、日中議連のような友好団体が、中国のプロパガンダやロビイングの手段として利用されるリスクを警告。CSISの資料も同様に、中国の対日工作を「議員連盟を通じた世論操作」と記述しており、これらは公開情報として入手可能だ 19 31 36 。
ただし、これらの資料は日中議連を直接「工作機関」と名指ししているわけではなく、中国の全体的な戦略の一例として言及している点に注意が必要。岡田氏の抗議は、この解釈が「根拠のない侮辱」だというものだが、有本氏の主張は米側の見解を基にした推論であり、完全な「事実」ではなく解釈の余地がある。保守派からは「米側の警鐘を無視するのは危険」と支持される一方、議連側は「友好促進のための正当な活動」と反論可能で、両者の対中認識のギャップを象徴している 7 23 44 。
2. 政治的文脈と両者の立場
- 有本氏（日本保守党）: 保守党は対中強硬派で、中国の影響力拡大を警戒。党首の百田尚樹氏も過去に同様の主張をし、この対立を党のPRに活用している。X投稿では、保守層から「岡田氏を論破した」との評価が高く、党の支持率向上につながる可能性がある 16 24 32 。
- 岡田氏（立憲民主党）: 立民は外交でバランスを重視し、日中議連は超党派の友好団体として機能。岡田氏は元外相として中国との対話を推進してきたが、保守派からは「親中」と批判されやすい。この抗議は、名誉毀損を防ぐための防衛策だが、感情的な反応（「侮辱だ」）が逆に火に油を注いだ形だ 5 14 25 。
この対立は、日本国内の対中政策の二極化を反映。米中対立の激化や台湾有事の懸念（高市首相の関連発言も背景に）で、保守派の警戒論が強まっている。一方、議連のような友好団体は経済・文化交流を促進する役割を果たすが、中国の「シャープパワー」（影響力工作）の標的として国際的に疑念を抱かれやすい 38 40 47 。
3. メディアと世論の反応
産経新聞を中心に報じられ、保守メディアでは有本氏寄りの論調が強い。一方、Xでは議論が過熱し、岡田氏を「逃げている」と揶揄する投稿が多いが、これは保守層のエコーチェンバー効果の可能性がある。左派側からは有本氏の主張を「陰謀論」とする声も上がるが、少数派だ 2 3 8 34 35 39 43 45 。
今後の展望
- 公開討論の実現性: 岡田氏が応じるかは低い。立民側は「相手にする価値なし」とスルーする可能性が高いが、Xでの拡散が続けば世論圧力で動くかも。実現すれば、対中政策の公開論戦として注目を集め、保守党の存在感を高めるチャンスになる。一方、拒否すれば「逃げた」とのイメージが定着し、立民の対中イメージがさらに悪化するリスク 11 12 15 17 20 22 28 30 33 37 41 。
- 政治的影響: 保守党は小政党だが、このような対立で支持を拡大する戦略を取っている。立民にとっては、対中政策の弱点を突かれ、党内分裂の火種になる可能性。全体として、日中関係の緊張（経済制裁やスパイ防止法議論）が続く中、議連のような団体の透明性向上が求められるかもしれない。米側の資料がさらに注目され、国際的な視点から日本の対中政策が再評価されるきっかけになる展望もある。