SLAPP防止法の日本での状況(2025年12月現在)

SLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation、市民参加に対する戦略的訴訟)とは、批判や言論を封殺・威圧する目的で提起される訴訟を指します。主に名誉毀損を理由に高額賠償を請求し、勝訴より相手の疲弊を狙うのが特徴です。日本では近年、政治家・企業による事例が増え、社会問題化していますが、専用の防止法(反SLAPP法)は制定されていません

海外の状況(参考)

  • 米国: 1990年代から多くの州で反SLAPP法を制定(例: カリフォルニア州)。被告がSLAPPと主張すると、原告側に「正当性を証明する」立証責任が移り、認められれば早期棄却・費用原告負担。
  • EU・カナダなど: 同様の規制が進み、国連ビジネスと人権ワーキンググループも反SLAPP法制定を提言。
  • これにより、言論の自由が保護され、濫用が抑止されています。

日本の現状

  • 法整備なし: 米国のような早期排除制度が存在せず、通常の民事訴訟として進行。被告は長期間・高費用で対応を強いられ、萎縮効果が生じやすい。
  • 既存の対策:
  • 最高裁判例(1988年): 訴訟提起が「著しく相当性を欠く」場合、不法行為(民法709条)として原告に損害賠償責任を認める可能性。ただし、立証ハードルが高く、適用例は稀。
  • 被告側が反訴(不当訴訟として賠償請求)可能だが、勝算低く費用倒れリスク大。
  • 議論の進展:
  • 書籍・論文・メディアで立法化を求める声多数(例: 『スラップ訴訟とは何か』烏賀陽弘道著)。
  • 参議院に「反スラップ法の制定に関する請願」提出例あり。
  • 日弁連(日本弁護士連合会)は直接的な声明を出していないが、表現の自由関連で問題視する動き。
  • 2025年現在、政府・国会での具体的な法改正法案は提出・成立しておらず、手付かず状態。百田尚樹氏関連の敗訴事例(2025年12月)で再び注目されたが、即時の法整備には至っていません。

問題点と今後の展望

  • 日本では裁判を受ける権利(憲法32条)が強く保護されるため、SLAPP規制が「訴訟権の制限」との反対論あり。
  • 一方、SNS時代に言論抑圧が増加。ジャーナリスト・市民活動家・内部告発者が標的にされやすい。
  • 専門家からは、米国型早期審理制度の導入や、費用負担の原告移転を提案する声が高まっています。公共参加の保護のため、将来的な法改正議論が期待されますが、現時点では被害者は個別対応(弁護士相談、カンパ活用の透明化など)に頼る状況です。

SLAPP被害疑いの場合、早めの専門家相談をおすすめします。追加情報が必要でしたらお知らせください!

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