最近、トルコリラが暴落していると言うニュースを耳にします。その原因としてアメリカの制裁があるとされています。
実際のところ、トルコとアメリカの関係悪化に関して、その原因はなんでしょうか?また、経済への今後の影響は?これらについてまとめました。
トルコリラ暴落とアメリカについて
日本の投資家の関心の高い高金利通貨の代表格の1つ、トルコリラの下落が発生しました。
投資家で大金を失ったと言う話もネットで耳にします。
トルコリラは前週末の8月10日、対米ドルや対円で前日比一時20%以上も下落しました。8月13日に入っても過去最安値を更新。
また、日本人投資家が主に手がけている対円相場でも、1トルコリラ=15円台まで急落する場面がありました。
この急落の背景は以下の通りです。
8月10日、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、「われわれアメリカとトルコの関係は現在よい状態ではない。」とツイート。そして、関税に関して、トルコからの輸入品の鉄鋼製品とアルミニウム製品にそれぞれ従来の倍の率となる50%、20%の追加関税を課すことが明らかになりました。
このように、政治家の短いツイートが世界経済に影響する時代となりました。
この同じ日の8月10日、ECB(欧州中央銀行)関係者が「欧州大手銀行のトルコ向け債権に対する不安、懸念が強くなって来た」が発言したことが報じられたことで、投資家の不安がさらに高まってしまいました。
また他の要素として、トルコリラ暴落に、日本の投資家の強制ロスカットも関係していると言われています。
トルコエルドアン大統領のアメリカへの対決強硬姿勢
これに対し、トルコのエルドアン大統領は同日、国民への演説で
「枕の下にあるドル、ユーロ、金を銀行でトルコリラに両替するべきである」「ドルがわれわれトルコ人の道を阻止することは不可能であり、心配はご無用である」と述べました。
しかしながら、この対米強硬姿勢を見せた発言も、トルコリラ下落への解決策にはならず、さらにこれから長期にわたりアメリカとトルコの対立が続く可能性も否定できない状況であり、トルコリラ安が一気に進みました。
トルコとアメリカの関係の悪化について
このトルコとアメリカの関係の悪化は以下の状況です。
今年の7月末以降の流れですが、まず、 2016年に発生したトルコでのクーデター未遂事件に絡み、トルコ当局によって拘束されていたアメリカ人牧師の身柄を即時釈放することをアメリカ・トランプ政権が求めました。
それととともに、トルコの2閣僚に対する制裁措置を発動するなどの強硬な態度をとりました。
これに対抗して、トルコのエルドアン大統領はアメリカ政府の2閣僚への報復制裁を発表しました。
さらに、それに対して、トランプ政権はトルコに対する一般特恵関税制度(GSP)に基づく非関税アクセスを見直すことを発表しました。
このような制裁の応酬の後、さらに、トランプ大統領は鉄鋼製品及びアルミ製品に対する制裁関税措置において、トルコに対して税率を倍に引き上げることを決定しました。
これによって、鉄鋼製品は25から50%、アルミニウム製品は10から20%となりました。
その上で、Twitterで「アメリカとトルコとの関係は現在、良好ではない。」と発信しました。
これらのアメリカからの連続する制裁と大統領自らのツイートで、リラ安圧力に拍車が掛かりました。
そして、現在の段階でも、両国の関係の改善の見込みは見えていません。
この状況を「経済戦争」とトルコは見なしております。
トルコリラ暴落と経済の影響について
トルコ経済の現状と今後の影響はどうでしょうか?
トルコは、この状況でもIMFへの支援要請をしない、と言う姿勢を示しています。
かと言って、トルコ当局による経済政策運営がこれからうまくいくと言う保証も特にありません。
トルコの問題は他にもあります。例えば、欧州系金融機関に巨額の債務を負っていることも挙げられます。
米国との関係改善が果たされない場合には、さらにこれらの状況が同時に悪化、深刻化する可能性もあります。
そして、トルコ大統領の強硬な姿勢もあり、トルコリラに関する良い情報はいまの段階でありません。
トルコと世界経済への影響は?
経済への影響ですが、国際金融市場においては、トルコリラの急落が市場のマインド悪化を引き起こし、一般的な株価の下落を招いている状況です。
これによって、いわゆる新興国からの資金流出の圧力は強まっており、「新興国リスク」が取りざたされています。
また、多くの新興国の通貨が先週から安くなっています。他の国も巻き添いを食っている形です。
トルコのリラ安、そしてインフレの進行の問題もありますが、一方で、トルコの実質経済は大きな問題が発生しているわけではないので、今後回復に必ず向かうと言う楽観論も出ております。
今後もトルコとアメリカの「経済戦争」目が離せませんね。また、投資家は慎重な判断が必要でしょう。
<関連情報>
トルコリラ暴落、アメリカの動きと下落要因、経済の見込みと底打ち判断について
まとめ
最近、トルコリラが暴落しました。その背景にあるトルコとアメリカの関係悪化に関して、その原因をまとめました。
さらに、経済への今後の影響もまとめました。トルコの実質経済は破綻しているわけではないのが救いと思われますが、予断を許しません。投資家は慎重な判断が必要でしょう。
出典
https://toyokeizai.net/articles/-/233445
https://toyokeizai.net/articles/-/233470