2017年のノーベル賞受賞式、そして晩餐会が12月10日行われました。
今年は残念ながら、日本人の受賞者はいませんでしたが、日系のイギリス人カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞を受賞して、この授賞式と晩餐会に参加しました。
そこで、イシグロ氏のノーベル賞授賞式と晩餐会でのスピーチについてまとめました。そこには娘ナオミ氏と妻ローラ氏も参列していました。
カズオイシグロ氏のノーベル賞授賞式について
2017年12月10日、スウェーデンの首都、ストックホルムのコンサートホールにて、今年のノーベル賞受賞者の授賞式が行われました。
この受賞式には、スウェーデン国王と王妃、そして皇太子妃らも出席する、非常にフォーマルな式典です。招待客ら合わせて1千人以上が参列しました。
モーツァルトの行進曲が流れる中、平和賞以外の5つの賞、すなわち、物理学賞、化学賞、医学・生理学賞、文学賞、そして経済学賞に選ばれた11人が入場しました。
式典のはじめにノーベル財団のヘルディン教授がスピーチしました。
「アルフレッド・ノーベルの、人道的な思考様式や批判的な検証に基づいて人々は行動すべきである、という考えは、今の世界でとても重要だ」と述べ、ノーベル賞受賞者の今後の活動への期待を語りました。
続いて、各賞の受賞者の功績が紹介されメダルと賞状が渡されました。そして、ノーベル文学賞の選考委員をつとめたダニウス教授から、イシグロ文学は記憶と忘却が主要なテーマであり、過去と現在の関係性を探ること、そして、激動の歴史、終わりなき暴力の時代の中にいて、失った人間の本質を見せてくれる、自らを見つめなおす拡大鏡を読者に与えてくれている。との講評が読まれました。
この後、イシグロ氏は、スウェーデン国王、カール16世グスタフから、受賞記念のメダルと賞状を受け取りました。
会場からは割れんばかりの大きな拍手がイシグロ氏におくられました。そして彼は笑顔を浮かべながら、観衆に頭をさげて、その拍手にこたえていました。
カズオイシグロ氏のノーベル賞晩餐会に娘ナオミロ氏と妻のローナ氏も参列
受賞者らは場所を移動して、ストックホルム市庁舎での4時間にわたる晩餐会に出席しました。
この晩餐会には、イシグロ氏の娘ナオミ・イシグロ氏、妻のローナ・マクデューガル氏も参加していました。
ただし、会場の中央の長いテーブルには受賞者と王室関係や政府関係などの貴賓だけが座るので、家族は別のテーブルでした。
スウェーデンのテレビ局の生中継では、ナオミ氏がインタビューに答えて、とても素晴らしいパーティーだと笑顔でやや興奮気味に語っていました。
ノーベル賞晩餐会でのイシグロ氏のスピーチ
コース料理を食べ終わり、賞を創設したアルフレッド・ノーベルの遺言に従って、各受賞者がそれぞれスピーチを行いました。
イシグロ氏のスピーチは 要約すると以下になります。全文はノーベル財団の公式サイトに掲載されています。
それは、故郷長崎が、原爆によって壊滅的破壊を受けたわずか14年後のことでした。幼いながらも私は、ヘイワというものが何か大事なものだということを理解しました。ノーベル賞は分断の壁を乗り越え、人類がともに立ち向かっていくのが何なのかを思い出させてくれます。
私はこの賞、ノーベルショウをもらって、栄誉であるか?もちろんそうです。
私は91歳になる母に受賞の報告の電話をしました。
自分が長崎の子供の頃のように、この賞の精神を理解していると思います。そして、賞の長い歴史の中に名前を連ねることができて嬉しいです。
スピーチのあと、テレビ画面は妻のローラさんを捉えました。
彼女も満足そうな表情を浮かべていました。
スピーチはこのように、長崎での子供の頃の思い出の中でのノーベルとノーベル賞に関する思い出から語られました。さらに、タタミ、ノーベルショウ、ヘイワ、という日本語の単語も使用され、彼の中の日本についての想いの深さも知ることができました。
彼のこの短いスピーチは、被曝の地長崎を故郷にしていることを強く意識した平和への思い、そして、現在の断絶の時代における、人類とその歴史における文学の役割についての強い想いが表現された素晴らしいものでした。
4時間の晩餐会の後、出席者は階段を登って退場し、ダンスフロアに向かいました。晩餐会にはダンスが付いているのが西洋式です。
イシグロ夫妻がダンスをしたかどうかはわかりませんでした。
まとめ
2017年12月10日、日系のイギリス人作家、カズオ・イシグロ氏はストックホルムでのノーベル賞受賞式に参加、メダルと賞状をスウェーデン国王から授与されました。
式典後の晩餐会では、長崎での思い出の中にすでにあったノーベル賞、それを受賞した今の気持ちと決意を伝える素晴らしいスピーチを披露しました。
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