江口寿史氏のイラスト「トレース問題」のリストアップと解説分析
2025年10月13日時点で、漫画家・イラストレーターの江口寿史氏(69歳)に対する「トレース問題」(通称「トレパク」)がSNSを中心に大炎上しています。発端は2025年10月3日、氏のX投稿で明かされたルミネ荻窪「中央線文化祭2025」の広告イラストが、Instagramの一般女性写真を無断トレースしたものだったこと。これをきっかけに、ネットユーザーによる「特定班」の検証が加速し、過去の商業イラストの多くが実在写真や他作品のトレース元と一致する事例が次々と発掘されました。
江口氏は10月3日のXで「インスタに流れてきた完璧に綺麗な横顔を元に描いた」と説明し、事後承諾を得たと述べましたが、謝罪は明示せず「使ってもらえて光栄」とのニュアンスで炎上を助長。企業側は使用停止を相次いで発表し、同業イラストレーターの中村佑介氏も仲裁を試みたものの、疑惑の多さに「お手上げ」との声明を出しています。以下に、主な事例をリストアップし、各々の解説と全体分析を加えます。情報は報道・SNS投稿から抽出(画像比較はX投稿に基づく)。
1. 主なトレース事例のリストアップ
以下は、2025年10月13日時点で指摘された主な事例。多くは商用広告で、ポーズ・構図・衣装・表情の類似が顕著。トレース元は主にSNS写真、ファッション誌、広告画像。
事例 | トレース対象イラスト | 疑われるトレース元 | 詳細・類似点 | 企業/関係者の対応 |
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1. 中央線文化祭2025ポスター (発端) | ルミネ荻窪イベントの女性横顔アップイラスト | Instagramの金井球氏(モデル/俳優)の横顔写真 | 髪の流れ、鼻・顎のライン、耳の形状、カメラアングルがほぼ一致。江口氏本人が「インスタから流れてきた」と認める。 | ルミネ荻窪:10/3にポスター撤去、10/6に「今後一切使用しない」と発表。金井氏と事後和解。 |
2. Zoffコラボキャンペーン | 眼鏡チェーンZoffの広告女性イラスト | non-no誌面/公式SNSのモデル写真(新木優子氏ら) | 指先の位置、ポーズ、衣装のシワ、背景のぼかしまで重なる。髪の毛の重なりが特に指摘。 | Zoff:10/4に謝罪文をXで投稿。「事実関係を精査中」。使用停止。 |
3. デニーズ広告 | ファミレスデニーズのキャンペーンビジュアル(女性モデル) | 実在の広告写真(詳細非公開、SNS写真推定) | 全体構図と表情の一致。複数パターン指摘。 | デニーズ:調査開始を発表。使用を控える声明。 |
4. クレディセゾン広告 | クレジットカード会社のプロモイラスト | ファッション誌のモデル写真 | ポーズと衣装の類似。 | クレディセゾン:10/7に「使用を控える」とHPで発表。 |
5. EDWINコラボ | ジーンズブランドEDWINの広告イラスト | Levi’s(リーバイス)のモデル写真 | 着用ポーズ、脚のライン、背景の一致。「広重の絵を参考」と江口氏が過去発言も、北斎風トレース疑惑。 | EDWIN:調査中。リーバイス側も問い合わせ殺到。 |
6. 桜美林大学コラボ | 大学イベントのイラスト | 岸本セシル氏の画像(SNS/写真) | 顔の輪郭と表情の重なり。 | 大学側:使用停止検討中。 |
7. 水俣市イラスト | 水俣市プロモーションイラスト(女子高生2人) | Men’s non-no 2016年4月号の写真 | 江口氏「自分で撮った」と主張も、構図・歩き方が一致。嘘の疑い。 | 水俣市:商品(Tシャツ)販売停止。謝罪文発表。 |
8. 熊本ワインファームTシャツ | ワイナリーのデザインイラスト | 非公開写真(フリー素材?) | 全体ポーズの類似。 | 熊本ワインファーム:10/上旬に「取り扱い停止」と発表。 |
9. 葛飾北斎/歌川広重トレース | 過去のイラスト作品(鯉や観音像) | 北斎の浮世絵(著作権切れ) | 「広重参考」と言いながら北斎を完全トレース。おっぱい部分のみ加筆。倫理的問題。 | 非商用だが、SNSで「冒涜」と批判。 |
10. その他(展覧会ポスター、公募/商店街キャンペーン) | 複数過去作品 | non-noモデル、SNS写真など | ポーズ・衣装の一致多数。特定班が画像検索で次々発掘。 | 該当イベント:使用停止ラッシュ(詳細未集計)。 |
※上記は主なもの。X上で「キリがない」との声が多く、10月12日時点で20件超の指摘(例: 商店街ビジュアル、過去展ポスター)。比較画像はX投稿(例: post:24, post:26)で拡散。
2. 各事例の解説
- 共通パターン: トレースは主に「横顔アップ」や「全身ポーズ」で、髪の毛・指先・背景の微細な一致が特徴。江口氏の「江口風」タッチ(セクシーでポップな女性像)が加わるが、基盤は写真の「なぞり絵」レベル。発端のルミネ事例では、デジタル抽出(線抽出ツール使用?)の疑いも(post:52)。
- 法的側面:
- 著作権侵害: 写真の構図・表現を複製した場合に該当(判例: 写真の「創造的表現」部分)。ただ、写真→イラストの変換は「変形利用」としてグレーゾーン(友利昴氏の解説: post:54)。フリー素材ならOKだが、無断SNS写真はNG。
- 肖像権侵害: 実在人物の顔・姿を無断商用利用。金井氏のようなモデルが特定されやすい。事後承諾で一部解決も、企業責任大。
- トレース技法自体: 美術の標準技法(ぬこー様: post:50)。問題は「無断・商用・オリジナル装い」。江口氏自身、過去に他者のトレースを批判(「トレースするな」発言)していた矛盾が指摘(post:11)。
- 時系列の推移: 10/3発覚→10/4-6企業謝罪ラッシュ→10/7-9 EDWIN/北斎事例拡散→10/11「取り下げラッシュ」加速(東洋経済: web:14)。中村佑介氏のXスペース(10/5)で議論も、余罪多さで中断。
3. 全体の分析:背景・影響・示唆
- 背景: 江口氏は1970-80年代のギャグ漫画家(『すすめ!!パイレーツ』『ストップ!!ひばりくん』)としてデビュー後、締切違反などで漫画界から離脱(web:15)。イラストレーター転向後、広告界で「女性のセクシーイラストの巨匠」として活躍(Zoff、デニーズなど)。しかし、SNS普及前はトレースがバレにくかった(note: web:6)。2025年の発覚は、画像検索ツール(Google逆画像検索)の進化と「特定班」のSNS検証力が鍵。過去の「漫画描けなくなった」エピソード(精神面の病?)が、トレース依存の要因か(web:6)。
- 社会的影響:
- 企業側: 確認コスト激増(Yahoo!ニュース: web:2)。Zoffら複数社が赤字覚悟で使用停止。イラスト発注時の「トレースチェック」義務化が進む可能性(弁護士解説: web:8)。
- クリエイター界: 同業者(中村佑介氏)も巻き込まれ、トレース技法の議論再燃。「トレースは技術不要?」vs「独自性が必要」(Togetter: web:10)。YOASOBIのAyase氏トレース炎上(2023)と類似、業界の倫理基準強化へ。
- 江口氏の対応: 沈黙続き(10/13現在)。「説明するのでお待ちを」(毎日新聞: web:13)で火消し失敗。擁護派(「画力は本物」: post:10)も減少し、キャンセルカルチャー化(全作品ボイコット論: post:42)。
- 世論の二極化: Xで擁護(「技法」: post:51)vs非難(「虚言癖」: post:23)。女性モデルへの「性的」視線が「キモい」との声(post:45)。高齢クリエイターの「時代遅れ」象徴に(post:59)。
- 示唆と今後: この騒動は「SNS時代のリスク」を露呈。トレースは「参考」ならOKだが、無断商用は「盗用」。AI生成画像の台頭で、手描きクリエイターの「独自性証明」が課題に(web:4)。江口氏の今後: 謝罪・引退か再起か不明だが、業界全体で「事前同意・オリジナル宣言」のガイドライン化が進む可能性大。法的訴訟(金井氏ら)は和解傾向だが、集団告訴の兆し(web:14)。詳細は公式Xや報道を追跡を。
この問題は「技術の有無」より「倫理・権利」の本質。江口氏の功績を否定せず、教訓として活かしたいところです。追加情報があれば更新します。