百田尚樹氏の暴言と日本保守党代表継続の背景
百田尚樹氏は作家・政治家として長年、保守層を中心に支持を集めてきましたが、その一方で、外国人や女性、地方住民に対する過激な発言（いわゆる「暴言」）が繰り返し物議を醸しています。例えば、2024年11月にはYouTube番組で少子化対策の文脈で「30歳超えたら子宮を摘出する」などのSF的な例えとして述べた発言が批判を呼び、翌日にはX（旧Twitter）で「不快に思われた人に謝罪します」と撤回しました。 5 7 9 また、2025年7月には街頭演説で「大阪の女性は10人中9人ブス」との発言がルッキズム（外見差別）を助長するとしてSNS上で非難が相次ぎ、支持離れの兆しも見せました。 8 さらに、外国人労働者を「ルール無視、暴行・窃盗の常習者」と貶める発言もヘイトスピーチの疑いを指摘されています。 1
これらの発言は、朝日新聞社説で「公党の党首たりえない」と厳しく批判されるなど、メディアや野党から「政党代表にふさわしくない」との声が上がっています。 0 X上でも、党員や支持者から「党として謝罪会見を」「百田氏更迭レベル」との内部批判が散見され、党内対立（例: 共同代表の河村たかし氏との衝突）を象徴する投稿が複数あります。 17 21 それでも百田氏が日本保守党の代表として活動を続けられる主な理由は、以下の通りです。これらは政治・社会的な文脈を考慮した分析に基づきます。
1. 強固なコア支持層の存在と「ストレートな物言い」の魅力
- 日本保守党は2023年9月に百田氏と有本香氏を中心に設立され、LGBT理解増進法への反発や安倍晋三元首相亡魂後の自民党批判を旗印に、保守・右派層をターゲットにしています。 0 6 党の支持基盤はXやYouTubeなどのSNSを活用したオンライン中心で、百田氏の過激な発言が「忖度なしの正直者」「既存メディアが嫌う本音」として一部の支持者に受け入れられています。
- 例えば、鳥取県を「バカが多い」とディスった2024年の発言も、謝罪はしたものの、支持者からは「余計なひと言」と軽く受け止められるケースが見られます。 2 Xの投稿分析では、批判ポストのエンゲージメント（いいね・リポスト）が高い一方で、擁護派の「百田氏のユーモアが魅力」という声も根強く、党の支持率低迷（2%未満の選挙結果）にもかかわらず、熱心なファンが離脱しにくい構造です。 15
2. 選挙制度と公党要件のハードルの低さ
- 2024年10月の衆院選で3議席を獲得し、比例得票率2%超で公党（政党交付金受給資格）となりました。 9 これにより、法的・制度的に党の存続と百田氏の代表職が保障されています。参院選（2025年）でも比例で2議席を確保し、百田氏自身が参議院議員に当選したことで、党首としての地位が強化されました。 10 11
- 日本では政党代表の辞任は党内の総意や選挙敗北が主なきっかけで、単独の発言スキャンダルだけでは強制されません。自民党の過去事例（例: 安倍政権下の閣僚辞任）でも、謝罪で乗り切るケースが多く、百田氏も同様のパターン（即時謝罪・撤回）を繰り返しています。 13 党内では河村氏との対立（2025年4月の「殴ったら死ぬぞ」脅迫疑惑）で刑事告訴されましたが、党として百田氏を擁護する姿勢が続いています。 10
3. 表現の自由とヘイトスピーチ規制の限界
- 百田氏の発言はしばしば「ユーモア」「比喩」「政治的風刺」と主張され、ヘイトスピーチ解消法（2016年施行）で規制される「特定集団への差別扇動」に該当しにくいグレーゾーンに位置づけられます。 1 法的措置（名誉毀損訴訟など）は散発的に起きていますが、党代表としての活動停止には至っていません。Wikipediaなどの情報源でも、百田氏の過去発言（南京事件否定など）が「保守派のアイコン」として位置づけられ、批判が支持をさらに固める逆効果を生んでいます。 10
- Xの議論では、「暴言は問題だが、保守党の政策（消費税ゼロ化、移民制限）が魅力」との擁護が目立ち、発言の「ドギツさ」を「個性」とする文化的な寛容さも背景にあります。 14 20
潜在的なリスクと今後の展望
一方で、党内分裂の兆し（河村氏離脱の可能性）や支持率停滞が続き、2025年の参院選後には「悔い残った」と百田氏自身が振り返るほどです。 11 Xポストから、党員の離脱呼びかけが増えており、長期的に持続可能かは疑問符がつきます。 19 23 最終的に、百田氏の継続は「支持者の忠誠心と制度の緩さ」に依存していますが、さらなるスキャンダルで党の解体リスクも否定できません。政治は有権者の選択次第—この点で、百田氏の「暴言」は党の「鏡」でもあると言えるでしょう。