先日10月22日、第48回衆議院議員総選挙が行われ、衆議院の与党の議席が3分の2を再び獲得した、という結果となりました。
ここで、この場合の与党とは何か、また、野党とは何を指すのか、がわからない人もいるかと思います。
そこで、国会での与党と野党との意味、現在の議席数についてまとめました。
国会の与党と野党の意味について
与党とは、政権を担当している政党を指します。与党もしくは政権党、政権与党と表記します。
与党以外の党が野党です。
日本の国会における与党とは、内閣を組織している一つの政党、もしくは複数の党の連合の事を指します。内閣を組織するためには、首班指名投票で勝たねばなりません。このためには、与党は過半数を超えていないといけません。そして、内閣総理大臣は常に与党に所属しています。
ここで、国会とは立法府(立法を主な職務とする機関)であり、その国会で多数派となった与党政党が内閣すなわち行政府(行政の事務を職務とする機関)
を構成します。これを議院内閣制と呼びます。
内閣が一つの党だけで組織される場合には「単独内閣」と呼ばれ、内閣が複数の党で組織される場合には「連立内閣」と呼ばれます。
議員数が一番多い党が与党ではないの?
ここで注意したい点としては、単独では国会内で最も議員数の多い政党だからと言って、政権与党と同一であるとは限りません。
例えば、A党という政党が単独では一番議席数が多いとしても、過半数以下の場合は、 B党、C党、D党、E党の4党が同盟を結んで、共同で一人の議員を首相に指名した場合、その4党が擁立した候補がA党の擁立した候補に多数決で勝利する場合があります。
この場合、政権与党連合はB党、C党、D党、E党となり、A党は野党、ということになります。
今までの日本の政治史においても、このような状況の期間は存在しました。
1990年代前半に、自民党の長期政権に嫌気がさした国民が、自民党以外の党にも多く投票するようになりました。
そして、1993年8月9日に8党連立の細川内閣が誕生したのです。この時の自民党の衆議院での議席数は223議席で議席数最多の党でしたが、単独過半数ではありませんでした。首班指名投票で自民党の投票した人は過半数を取ることができず、野党となりました。
日本新党は、自民党と非自民勢力どちらにも、連立政権参加の条件を提示しておりました。このように、2つの勢力が拮抗し、いずれも過半数を制することができない場合、第三の勢力として、事実上の決定権を行使できる立場になることができます。このような政党はキャスティングボートを握る政党と呼ばれています。
細川氏は首相指名などの好条件を得て、非自民党勢力につきました。
ちなみに、細川護煕首相の日本新党の議席数35議席は、連立与党内において社会党、新生党、公明党に次ぐ第四番目の勢力でした。
このように、与党連合の中でも、議席数が一番多い政党から内閣総理大臣が選ばれない場合があります。自社さ連立内閣での村山富市首相もその例の一つです。
国会の与党の現在の議席数について
10月22日の衆議院選挙の結果、自民党284議席と公明党29議席を合わせた与党の議員数は313人となりました。また、現在の参議院の自民党125議席、公明党25議席、を合わせて与党の議席数は150議席となっております。
これはどちらの議員数の3分の2を超えております。
与党の議員数が衆議院、参議院の3分の2を超えることの意義は、憲法改正の動きに関わります。すなわち、憲法改正の発議が出て、両院のそれぞれの本会議にて3分の2以上の賛成で可決した場合において、国会が憲法改正の発議を行い国民に提案したものとみなされます。
まとめ
与党とは、政権を担当している政党を指します。与党が選出した内閣総理大臣が内閣を組織して、行政府を構成します。与党は単独の場合もしくは複数政党の場合があります。議員数が最多の政党が与党とは限らず、また、与党連合の中でも、議席数が一番多い政党から内閣総理大臣が選ばれない場合があります。野党とは与党以外の政党を指します。現在の衆議院参議院の与党はそれぞれの議院で3分の2を超えております。
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