2015年、ドイツのメルケル大統領の政策で大量の移民がヨーロッパに流入しました。これを契機にドイツのみならず、それぞれの国で反移民の政党が勢力
を増しました。
そして、2018年9月9日、スウェーデンでは国政選挙がありました。
この選挙には難民移民問題が争点の一つとされています。
そこで、スウェーデンの選挙の結果と反移民極右政党の躍進がなぜ起こったのか？結果と背景をまとめました。
スウェーデンの選挙2018について
スウェーデンでは４年に一回、国政、県、市の選挙が同日一斉に行われます。
そして、今年、２０１８年９月９日がその選挙日でした。
現在、スウェーデンの選挙は世界中から非常に注目されています。
それは、これまでのスウェーデンの政策の一つであった、寛容な移民や難民の受け入れ政策に対して、国民がどのような選挙での審判を下すのか、という問題、そして、極右ポピュリスト政党がどこまで勢力を伸ばすのか？さらに政権入りするのか、という問題です。
スウェーデン選挙2018で反移民極右政党の民主党が躍進
スウェーデンで総選挙が９月９日に行われ、開票が終了しました。
起源がネオナチで、政策として「反移民」「移民制限」を主張する極右政党、スウェーデン民主党が２０１４年の前回選挙から大きく得票を伸ばし躍進しました。ただし、第３党にとどまりました。
そして、社会民主党を中心とする現在の与党、左派勢力と、4年前に下野した野党の中道右派４党は、ともに過半数に届かったため、今後の政治的な不安定さが予想されます。
新しい政権発足に向けて、どのような連立がされるのか？与党と野党、そして第三勢力のスウェーデン民主党を合わせた協議が難航し、そこに民主党が政権政策に入り込んで、今後、難民や移民政策が変容する可能性があります。
スウェーデン議会（定数３４９）与党の社会民主党が得票率２８・４％で第１党を維持しました。
社会民主党は得票率は約100年ぶりに３割を下回り、前回2014年の選挙から2.8%支持率を下げました。
議席数も改選前より12議席少ない101議席となりました。
一方、中道右派の穏健党は１９・８％で第二党を維持しましたが、前回から3.5%も支持率を下げています。
議席数は改選前の84から70と14議席失いました。
そして、民主党は選挙前の勢いが失速したもの、１７・６％の第三党でした。これは前回から4.7%の大幅な増加です。
議席数も改選前の49議席から63議席へ14議席も増加、国会での勢力を伸ばしました。
中道左派勢力（３党）の得票率は合わせて４０・６％で144議席（１５議席減）、対抗する中道右派４党は４０・３％、142議席（1議席増）とどちらも過半数（175議席）に届かないばかりか、数も拮抗、2議席しか差がありません。
すなわち、63議席のスウェーデン民主党をどちらの陣営も無視できない、キャスティングボートを握ったことになります。
スウェーデン選挙で反移民極右政党の民主党が躍進。その背景とは？
スウェーデンは以前から、移民や難民には寛容な政策をとってきた結果、スウェーデンの移民の人口に占める割合は２０％を超えているとされています。
さらに、２０１５年のドイツのメルケル大統領の政策によるヨーロッパへの難民流入で、多くの難民がスウェーデンで申請をしました。
その数は、移民局の許容量をはるかに超えており、この年だけで１５万人以上を受け入れることとなりました。
そしてそれ以降、スウェーデンの治安は悪化、さらに、医療福祉への不公平感も増してきました。
しかしながら、与党政党も野党も、移民難民の大幅な制限に及び腰でした。そこでスウェーデン民主党の支持率が急速に上昇しました。
与党の社会民主党最大の支持基盤は労働組合であり、スウェーデン最大の労働組合、スウェーデン全国労働組合連盟（ＬＯ）でも、スウェーデン民主党支持者が増えました。
彼らは移民政策と直結する外国人労働者の流入という現状に大いに不満を持っていました。
一般市民も、移民による犯罪の増加、そして、重い税金の負担を移民がフリーライダーとしてお金を得ている、と言った不満があり、今回スウェーデン民主党は、4年前の12.9%から17.6%と4.7%の躍進です。これだけ勢力が増したのはこの党だけで、社会民主党はマイナス2.8%、穏健党はマイナス3.5%でした。
まさに、スウェーデン民主党の一人勝ちの選挙だったと言えるでしょう。
まとめ
スウェーデンの選挙２０１８年、反移民極右のスウェーデン民主党がさらに躍進しました。
その背景としてのスウェーデンの難民移民問題の現状をまとめました。
今後の他のヨーロッパでの選挙にも影響を与えると予想されています。