3月27日に日本の国会で、佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が行われました。
その中で、55回にわたり、野党の質問に対して返事をしない、証言拒否をする、という事態が発生しました。
そこで、国会の証人喚問とはそもそも何か、佐川氏の答弁の助言をしていた補佐人の弁護士について、そして、佐川氏が黙秘、証言拒否をすることの是非を考察しました。
国会の証人喚問とは?
ところで、証人喚問(しょうにんかんもん)とは、何を指すのでしょうか?
これは、国会の各議院もしくは地方議会の百条委員会において、証人を喚問することを指します。
国会においては、憲法62条で、「国会の各議院は、議案等の審査及びその他国政に関する調査のため、証人を喚問し、その証言を要求することができる」とされており、「議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(議院証言法)」がこの憲法を立法化するために制定されています
この証人喚問権は「各議院」の権限とされています。
そして、衆参各議院はそれぞれ独立してこの権限を行使できます。
各議院から証人として出頭及び証言又は書類の提出を要求されたときは、議院証言法に別段の定めのある場合を除いて、何人もこれに応じなければならない、ということが、議院証言法第1条で定められています。
この法律に応じて、佐川氏は証人喚問に応じました。
佐川氏の証人喚問と補佐人弁護士について
証人は、宣誓及び証言の拒絶に関する事項に関して助言できる補佐人を弁護士から選任することができます。
今回、佐川氏の補佐人は弁護士の熊田彰英が担当されました。
検事から転身した、いわゆる「ヤメ検」弁護士です。
熊田氏は、京都大法学部を卒業後の平成10年に検事に任官しました。
その後、東京地検特捜部にも在籍していました。
また、韓国の日本大使館で1等書記官を務めた経歴もあります。
平成26年に弁護士登録、専門分野は、企業コンプライアンスや経済犯罪などで、小渕優子元経済産業相の事務所の政治資金規正法違反事件などを担当しました。
証人喚問と佐川氏の黙秘権証言拒否について
佐川氏の証人喚問での証言拒否についてはどのように考えたらよいでしょうか?
彼は、改ざんの経緯や自身の関与などをただす質問に対しては「私自身、刑事訴追を受ける恐れがある」「捜査対象となっている身」と述べ、「答弁は控えたい」「ご容赦ください」と証言することを拒絶しました。
その際に、補佐人の助言を得ていることもありました。
議院証言法、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律では、証人喚問において、証言を拒むことができる条件がいくつか規定されています。
すなわち、議院証言法4条1項にて、自己や自己の一定範囲の親族等、後見人・後見監督人・保佐人、被後見人・被保佐人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれがあるときは証言を拒むことができるとされています。
今回の場合、佐川氏が自分が刑事訴追を受ける恐れがあるので、証言拒否をすることはこの法律で認められています。
より正確に言うと、黙秘権はないが、条件次第では証言を拒否することができる、という事です。
なので、国会で口汚く罵った一部野党議員の方が完全に間違っている、という事を確認しておきましょう。
そもそも、このように佐川氏が対応するという事態は事前に十分予測されていました。また、総理とその妻の関与は今回の事例に全くない、と佐川氏は明言しており、今回のいわゆる森友に関する総理とその妻の疑惑というものは終了しました。
これ以上の国会の場での野党のこの問題の追及は明らかに国益を損ねる行為ということを国民は覚えておきましょう。
まとめ
佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が先日行われました。証人喚問について、答弁の助言をしていた補佐人の弁護士について、そして、証言拒否の是非についてまとめました。結論として、彼の証言拒否は正当な行為です。