最近の報道で、人工透析中止に関わるニュースが取り上げられています。
これは今後大きな議論になると思われます。
そこで、人工透析治療を中止すること、導入しなかったことについての病院側の主張、人工透析の種類についてまとめました。
人工透析治療の中止について
毎日新聞などの報道によると、公立福生病院(東京都福生市)で、人工透析治療をやめる選択肢を示された腎臓病患者の女性(当時44歳)が死亡しました。
そして、福生病院が2013年4月~17年3月、最初から透析治療をしない「非導入」の選択肢をいずれも終末期ではない患者に示し、20人が死亡していたとのことです。
人工透析治療の中止について病院側の主張
公立福生病院の人工透析治療を巡る問題で、44歳女性担当の外科医(50)は2014年ごろ、透析治療中止という方針を松山健院長(当時・副院長)に提案し、松山院長が了承していたとのことです。
その後、患者に対して治療をやめる選択肢の提示が始まり、昨年8月に亡くなった女性(当時44歳)以外にも30代と55歳の男性ら数人が治療をやめる選択肢を示され、少なくとも2人が死亡したとのことです。
この外科医の提案を了承した理由について松山院長は「選択肢を患者に提示することが普通の医療だから」と説明しました。
そして今回の女性の件でも、 松山院長は「いろいろな選択肢を本人に与え、透析治療の中止を選んだ。意思を複数回確認しており、適正な医療だ」との見解を示しております。
人工透析を導入しないことに関しての病院の主張
公立福生病院では13年4月~17年3月、最初から透析治療をしない「非導入」の選択肢を終末期ではない患者計149人に示し、20人が死亡しております。
松山院長は「非導入の選択肢は必要で、その方が倫理的だ。非導入の選択肢はないと表向きは言うかもしれないが、患者を診ていたら非導入があり得ることは医療人の誰もが思っていることだ」と説明しております。
人工透析と種類について
人工透析とは、一時的または慢性的に腎臓の機能が低下した患者さんに対して行う治療です。一時的な腎機能の低下への処置であれば、人工透析は腎機能が回復した後では終了することができますが、慢性的な腎機能低下が末期的な状況になった患者さん、慢性腎不全に関しては、人工透析を始めない、もしくは途中で中止することは、患者さんの死亡を意味します。
人工透析には、血液透析療法と腹膜透析療法があります
血液透析療法について
血液透析法は、日本語で人工透析、と言われた場合に一般的に指している治療法です。この治療には血液透析器を使います。
血液を体内から体外へ取り出し、血液透析器にて、本来腎臓が行う役割である、血液中の老廃物や余分な水分を除去します。
そしてその後で、この浄化された血液を再び体内に戻す、というのが血液透析療法です。
循環している血液を体外に取り出すために、太い血管に透析専用の管、カテーテルを挿入留置するか、もしくは、あらかじめ行われている腕などの静脈と動脈をつなぎ合わせるシャント手術で拡張した静脈に太い針を2本さすことが必要です。
多くの場合で、患者さんは週3回程度、透析病院で数時間の透析治療が必要となります。
今回の44歳の女性に関しては、このシャントが閉塞した状況で紹介されて病院にきた患者さんへの医療行為の説明、治療法の選択、実際の経過が適切、適法であったかが問われるでしょう。
そして、死亡に直結する選択肢、透析中止、を示したことへの非難の声がすでに上がっています。
腹膜透析療法について
腹膜透析療法とは、お腹の中、腹腔内に透析液を注入し、腹膜の作用を利用して、体内で血液を浄化する方法です。
腹腔内に透析液を注入して、4~8時間程度そのままにしておくと、体に不要な老廃物や余分な水分が、血液から腹膜を介して、透析液側に出てきます。
この腹膜の作用を利用した慢性腎機能不全への治療法が、腹膜透析です。
腹腔内の透析液を数時間後に今度は体外に排液することで、腎臓が本来行う働きである。体内の老廃物が除去をすることができます。
この治療を行うためには、透析液を出し入れするために腹膜透析用カテーテルと呼ばれるチューブを腹腔内に挿入、腹部に埋め込む手術があらかじめ必要となります。
在宅治療が可能で、通院も頻回である必要がないのですが、チューブを通しての感染症の可能性があります。日本では他の国よりも普及が進んでいないのが現状です。
今回の病院の件では、患者が途中で透析を再開したいという意思を医療従事者に示したのか、それに対して適切な対応がなされたのか、また、人工透析が導入されなかった人たちに関して個々の症例においてそれが適切であったのか、ということが今後議論の対象となるでしょう。
まとめ
公立福生病院の人工透析治療を巡る問題にて、人工透析治療を中止したこと、導入しなかったことについての病院側の主張、人工透析の種類についてまとめました。
出典
https://mainichi.jp/articles/20190310/k00/00m/040/013000c
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