平昌オリンピックで、カーリング女子日本代表「LS北見」が食べていて、美味しかった、と発言したことで、一躍世間の注目を集めることになったのが、韓国産のイチゴです。
しかし、その発言は思わぬ波紋を呼びました。
そこで、韓国へのいちご流出問題について。種苗法と国際条約、他の品種の流出についてまとめました。
韓国へのいちご流出問題とは?
オリンピックの女子カーリンメンバーから「韓国のいちごはびっくりするぐらいおいしかった」との発言が飛び出した数日後、3月2日の会見で斎藤健・農林水産相が「その美味しいいちごとは、日本から流出した品種をもとに韓国で交配されたものがメインである」と発言しました。
ちなみに、いちごが美味しいと発言したのは、カーリング女子銅メダリスト、鈴木夕湖選手です。
彼女に何の非もないのですが、日本のいちご農家は、『韓国のイチゴ』と明言されたことについて、残念であると語った人もいます。
では、何が問題なのでしょうか。
農林水産省は昨年、日本のイチゴが韓国に流出したことで、日本産イチゴの輸出機会が奪われたことに関して試算したところ、5年間で最大220億円の損失が発生したと概算しました。
そして、韓国のイチゴ市場からのロイヤリティの損失は、年間16億円にのぼるとの試算をまとめて発表しました。
すなわち、現在の韓国のイチゴ栽培面積の9割以上は、日本で改良されて美味しい味となった品種をもとに開発された品種なのです。それが流出、という形で彼らが手にしたものです。
例として、わかっているだけで、韓国で開発された『クムヒャン(錦香)』は日本の『章姫(あきひめ)』と『とちおとめ』を交配に用いています。
そして、『ソルヒャン(雪香)』は日本の『章姫』と『レッドパール』を交配に用いています。
また、愛媛のイチゴ農家、故、西田朝美が交配し開発された『レッドパール』は、韓国人に品種を分けられましたが、それが韓国国内で違法に栽培され、さらに盗難にあったとのことです。そして、一時は韓国のイチゴの6割は『レッドパール』となり、そのうち3分の2は盗まれた種苗だったとのことです。
これらの日本の品種は、もし、韓国国内で育成者権を取得できていれば、現在も日本にロイヤリティは入ってきたわけですが、実際はそのロイヤリティは入っておりません。
また、韓国はこうした品種のイチゴをアジア各国に輸出してそこで利益も得ており、そもそも日本産の韓国への流出が防げていれば、それらアジアへの輸出は日本産で代替できていたはずですね。
種苗法と国際条約について
種苗法とは、国内で品種登録された作物(植物すべて)の権利について、UPOV(ユポフ)条約(植物の新品種の保護に関する国際条約)を締結した他国においても同様に権利主張できる、という主旨の法律です。
その国際条約ユポフ条約には、日本は82年に批准しています。その後、91年には、育成者権の存続期間を延長した新条約に改正されています。日本の種苗法は、その改正に合わせて改正されております。
そして、問題は、当時は韓国で種苗法という法律がなかったことです。
韓国がその国際条約に加わったのは2002年のことですが、イチゴを保護対象から外しており、その期間は12年まででした。
すなわち、韓国はUPOV条約に参加していたものの、韓国内でイチゴに対しては例外的に対象外と、していました。
これによって、日本のいちご農家が韓国に対して、権利を主張する事が出来なくなっていました。
ただし、もし日本のいちご農家が日本の種苗法に従って品種登録をしていれば、韓国産イチゴの日本への輸入差止めの請求は可能であり、現在では韓国産イチゴの日本への輸入はほとんどないとのことです。
ただし、他の国への輸出は止められません。
他の品種の流出について
日本ブランドの流出はイチゴ以外にもあるとのことです。日本品種の盗難と海外への違法流出への警笛が鳴らされています。
例えば、甘い果物、ぶどうや桃もターゲットです。今まで認定されているのは、福岡県産のいちご「あまおう」、静岡県産いちご「紅ほっぺ」ブドウ「シャインマスカット」などです。そして、カーネーションや菊なども被害に遭っています。
また、北海道産の白いんげん「雪手亡(ゆきてぼう)」の種苗は、中国に盗まれました。そのインゲンが、日本に輸出されたこともあるそうです。
まとめ
韓国へのいちご流出問題について、種苗法と国際条約についてと、他の品種の流出問題についてもまとめました。
日本の農家の皆さんにはくれぐれも被害に遭わないようにして欲しいですね。